2014-10-13 父が視えなくなった日/合掌・45 思い出せない大切なことがある。 顔つきや背丈、身のこなしが朧なら手なずけられるのだが。 「まいったな」 声を忘れてしまったのだ。 爾来、雨乞いの如く、声をふとした拍子に求める己に気づかされるのだった。