深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

商品だらけ/この領土で・294

今に残っているものは売れてきたもの。 たった今、最後の1つが売れたから、店頭にはないけれど。 ないけれどある。 あるけれどない。 できれば、巧妙に売りつけようと、売られたものでなければいいのだけれど。

冬の想い/還暦百番勝負・62

必要不可欠なあたたかさ。 人々が集い、発見し合って育っていく文脈を想う。 呼ぶ・呼ばれる営為なき出逢い――。 腹蔵なき暮らし、思想ではない想い、見つめ合うだけでない共有。 生きていく、生きていくのだ。

洗顔の効用/この領土で・293

この冬の寒さを忘れないでおく。 耐え、自ら熱を生み出していくしかない。 「寒い!」と大声を上げれば少しは温まる? 謎の微笑の如き陽射しに惹かれるが、微笑の謎にもまた。 冷水で洗顔後、顔は火照っていく。

嘘八百な演説・演説という千三つ/路上2014・2

迷惑な奴と貢献する奴の2種類しかいない――。 そう言いたくもなるグルリ。 無論、距離の取り方や、作り方等で変化するのだが。 可変的な他者を陣営に繰り込めるか、どうか。 友よ、いつか路上で、また逢おう。

たった1回だけ/唄・29

記録メディアの寿命が延びているという。 人の遺伝子にもいつか、完璧に組み込まれるのかしらん。 わたしは歌う、たった1回だけ。 100年に満たぬ時間をかけて。 届くか、どうかは、相変わらず分からぬまま。

嘘・うそ・ウソ/還暦百番勝負・61

今日まで生きてきた。 嘘のない関係は、嘘をつかないところから生まれていく。 今、生きている。 おしゃべりというより、対話を親しみを込めてできれば、それ以上の望みはあまりない。 明日へと生きていきたい。

信号が変わる前に/この領土で・292

盲導犬が中年女性に付き添い、信号待ちを。 外を眺めていた女の子が、窓を開ける。 拍手を音を立てずに送った。 暖かい陽射しは、ゆっくりと部屋の中へと。 女の子は玄関へ急いで走っていく、車椅子をめざして。

消費税アップ前夜に/還暦百番勝負・60

財布の中はスッカラカン。 それでもなお、奪われていく今春。 身ぐるみ剥がされ、後はやせ細った身ひとつだけ? が、座り込まず立っていこう、せめてスクッと。 立ち続けている姿が視界に入って来るはずだもの。

拝啓 ジョン/全裸主義者として・5

夏、全裸で歩き回れるだろうか。 仮に法律で許されていたとして。 上半身だけでもいい。 「無理だな」と弛緩した身体を見て呟く。 ここまで放っておいた、自分という他者に詫びつつ、熱い湯に浸かるばかりの冬。

「ねえねえ」/動物園物語・1

「ねえ、見て、見てっ」 子どもたちは小動物を指差し、騒ぎ出す。 そうして、一段と大きな声を上げる、「早く、来てっ!」。 大人たちに呼び掛けるのだった。 自分だけでは収拾し切れず、破裂する悦びを抱えて。

下手の効用/冒険・2

紙は特に問わない。 今日も1本の線を引くのだ。 そうして、意識的であれ何となくであれ、しばし眺めてみる。 結果、さまざまなことが視えて来るのだった。 ときに、名画が名画である由縁を体感できる場合さえ。

今日もまた/歩く・15

今ここから歩き出そうとしていた。 が、自動車のみならず、自転車が煩わしい。 そこで、裏道へ裏道へと。 厳寒ではあったが、陽射しはうかがえた。 その中へ入って行けば、身心はさらにあたたまっていくばかり。

情けないまま/天下のヨーガ野郎・2

ヨーガ初体験のときのこと。 自分の身体なのに思い通りには動かせず、難儀だった。 「偉そうなことは言えないな」 呼吸そのものへと向かおうとするばかりだった。 今も試し、情けないまま、悦びに浸ってはいる。

いやな感じ2014/この領土で・291

戦に関して、「想像力を働かせよ」と語る方が。 その一方で、平和しか知らないとの位相に立つ方も。 戦争を経済闘争の一環と見るなら? 銃弾は飛び交っていないが、今ここの戦渦。 明日の消失という戦時下――。

平日に休日を繰り込む/歩く・14

靴ヒモは、決まって結び直す。 「歩き出すぞ」と、身心に言い聞かせるために。 暖をとらずとも、歩けば熱く、暑くなる。 そうして、1本の木の前に立つ。 瞼を閉じる静けさとともに、呼吸を整えていくのだった。

気力で乗り切るだなんて/この領土で・290

報道番組で日本を代表する経営者たちが登場。 呟く、「この程度の連中だったのか」。 気が大切との発言に、「悪夢を見ているのか」と。 善意の地獄はご免だ。 が、被害なき豊かさを台なしにする精神主義もまた。

拝啓 総理大臣殿/この領土で・289

逢う機会があれば、何をどう話すだろう。 遠慮するだろうか、笑みの1つ、浮かべ。 問題を掌握するには、1対1で正対するに限る。 そうではない道筋の危うさ。 想像しているよ、追い込まれた悪路で今日もまた。

交差/路上2014・1

父が怒る。 すると、「できない、できないんだよお」と、娘は激しく泣き出す。 父は、障がいのある娘に詫びる。 路上には文房具に教科書、ノートが散乱を。 そうして、涙顔で拾い始めた父の背中をさする娘――。

愛もまた問題/還暦百番勝負・59

有史以来、問題はこうだ。 貧困に病、災害に戦争。 解決しようとして問題がさらに発生? 自覚あるなしに関係なく、狡猾で悪辣、横柄な姿勢が息苦しい。 他者の死の上に成り立つ自らの生に光明を灯したいのだが。

具体へ/言葉・64

「落ち切れば後は生きていくしかない」 確かにと感じる一方、「後は死ぬしかないときもあるな」と。 要は誰が何故いつ、発語せざるを得なかったかなのだ。 一般化できない生き死にの問題。 実は暮らしの在り様。

話をしよう/還暦百番勝負・58

光が光を貫いていく。 冬の公園で熱いお茶を飲みながら話をしよう。 馴れ合いのときも、いっそ内包し、馴れ馴れしく。 あれから何があったのか、話したいことだけを口にすればいいさ。 光は光も突き抜けていく。

心の戦/この領土で・288

四面楚歌、村八分が日常化の時代。 する側も、無意識が荒廃を。 つまりはみな、怯えていくばかりだ。 恐怖の合わせ鏡。 たった1人、たとえみっともなくても、卑怯な非国民でいられるかどうかが、試されている?

骨身にこたえて/この領土で・287

劣勢さえ快、いくつもの展望を開いていけるから――。 そうした現状ではないのが、怨めしい? 眼前の戦をもたらす人々は、いつも上にいる。 ただただ、骨のない男を目指すばかりか。 ポッキリ、折れないために。

「しょうがない」という前進/彼女・8

「栄華が禍を招くことを忘れるわけにはいかない」 床に言葉を落とした彼女。 ひっそりとした場所で暮らしていた。 「しょうがないことには狙われやすものなのよ」 呟いた言葉とは裏腹に、顔には静かな笑み――。

塵芥とともに/この領土で・286

賢くふるまうことの愚。 狡猾さが透けて見えているもの。 道徳としての解釈、羨望の闇、つまり炎、そうして隠忍という囚われ。 どれも、今はいらぬ。 安全地帯と錯覚した場所で今日もまた、塵芥が舞っているよ。

分水嶺/この領土で・286

冬。 が、浮かれた祭囃子が流れてくる。 何をどうしようと考えることなく、身心は動くものだとでも? 分水嶺なる文字をあらためて書くようにもなった。 自国の責任を問わず、他国の神経を逆なでするしかないの?

表面の深さ/身体から・83

目で視ていたら遅い、届かない場合もある。 理性としての頭や想いとしての心は躓き、間違えるときさえ。 まずは皮膚で感じていくのだ。 それも一番柔らかい場所で。 その、深さに到達していく表面の拡がり――。

日本人/言葉・63

不真面目で粘れない。 規則は守れないでもいる。 侍の如く腹はくくれず、苦境からは逃げ出したいだけ。 それでも、日本人を名乗っていい? 国家語としての国語でなく、日本語としての寝言を言っているのだもの。

剥き出し/この領土で・285

このご時世だ、内と外の均衡をとってと。 が、すべては剥き出しじゃあないか。 そも、私生活はどこに? おまけに、生存に不可欠な情報は秘密とか。 やさしい気持ちに出逢えるだけで僥倖と、またしても天を睨む。

書き初め・2/手紙2014・1

「あけましておめでとうございます」 何の変哲もない賀状が届く。 が、目を瞠ったのは、万感の想いが込められていると体感していたからだ。 寒いさむい地域からの、静かな声――。 「あらためて返事を出すかな」