2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
近代化がもたらした幸? 衛生化が寿命を延ばし、効率化が無駄を省略、しかも機械があれこれしてくれる? 法の整備も? が、大量殺戮は消えない。 つい半世紀前まで、全裸の猟師がいた情景が忘れられないのだが。
父親が残したナイフが出てきた。 何故持っていたのか知る術はなく、捨てる理由もない。 「しまう前に研いでおこうか」 が、幸運なことに、特に使い道があるわけではない。 つまり、研ぎ方も分からないのだった。
電車の座席で窓の外を眺めている子ども。 嬉々としていたのはスピードや揺れもあったからか。 窓の外の景観が過ぎていくことも愉しみ。 足下には靴がきちんと。 遠い先、通勤時に今日のことを想い出すだろうか?
まだ珍しかった缶を蹴る遊び。 昔、夢中だったことが。 タイミングを考え蹴っていた。 いつしかつぶれて変形していたが、物質であることに変わりなし。 後日、雨にやられし錆びた缶と再会したときの静かな悦び。
俗に言う、人の気持ちが分からないという批判。 確かに、鈍感な人はいる。 が、実のところどういうことなのか。 そも、いつまで経っても分からないのではと。 だからこそ、ときにむさぼるように求めて、求め合う?
上へ向かい媚びるだけ媚びる人々を批判はしない。 ただ悲しいだけ? 安心を与えようと後頭部までさらす礼をしつつ、実は舌を出しているよ。 そのくせ下や横には居丈高。 その理由をまだ理解できないだけなんだ。
あなたが立ち去ることは残念至極だ。 が、相変わらず続く無策な事態、つまり無能の証明をし続ける輩たちの現場である。 結果、無体なことばかりが発生を。 長い間誠にお疲れさま。 いつかゆっくりと一献を――。
家を失い、飼い主を探している途上、川に落ちた老犬。 空腹でもあり、しばし流されていく。 が、無事に川原に逃げおおせた途端、人が寄って来て小突く、叩く。 ねじれた愉しみのために。 同様な事態が続いている。
現状では、わたしたちも難民になる。 ここを追われ、行くあてもなく、雨に打たれるばかりの。 想いは疾風の如く飛ぶが、届かない。 寒さ、飢え、何より恐怖。 が、想像力という最後の陣地を奪われてなるものか。
視ているものが遠くなっていく。 いつものため息に冷めた紅茶。 踊らない掃除機や悲しみの足音、あるいは――。 里山に花が咲いたよ、同じ場所にさ。 かけがえのない当たり前さ、当たり前のかけがえのなさだよ。
汚いから避ける、遠ざける? そりゃあ、妙な細菌や物質は嫌だよ。 ただ、汚いからいいものや、いかしたものも。 泥まみれの子どもや、ちょっと言い難いあれも汚いさ。 地べたに座り夕陽を眺めるのも悪くないよ。
美しいものと、最近お目にはかかっていない。 絵画や音楽、あるいは物語でも。 が、実は作り出したものは遠いのだ。 人と人との親和力へ向かう関係の始まりに比して。 そっと手を差し出し、受け止めることの美。
「やれるならやっているさ」 そう、平仮名で返す。 自らの足もとを省みない、飛沫としての言葉を払いのけつつ。 そうして、「まずは正当に稼げよ」と視線で返す。 対話拒否の相手には届かないと分かっていても。
問題は、すべて働くことに収斂していく? 例えば社員を守ろうとしているのか、どうか。 家族を含めてのことなのだが。 そも、どこもかしもこも、存続が危うい状況下。 が、手を出してはいけないこともあるのだ。
いつかは分かる。 そう思い切ったとき肩の力が抜けていった。 無茶で勝手な注文を受けた際のことだ。 説明さえ憚れる話し合いが、後少し続いていたらどうなっていたことか。 言葉の飛来で鼓舞し、なだめていく。
突然想った、「違ってしまったよな」と。 二日酔いで電車に飛び乗ることができた身体と違って当然か。 もはや別人なのだ。 歩き方や食べ方、洗顔法や排泄の流儀は同じでも。 しかも、同じ名で呼ばれてもいるが。
相変わらずの満員電車を視てしまった。 「何も変わっちゃあいないよな」 いや、むしろ、悪くなっていく予感だけが大きくなって? 望んでいることは単純だ。 安心して徘徊できる街だとか、弛緩できる昼寝だとか。
病を得て病院へ。 今や当たり前のことだが、かつてはどうだったか、想い出そうとした。 自宅の陽の当たる部屋で眠り続ける日々。 もっとも、ひと間しかない家庭も。 いずれにせよ、まず眠ることが薬だったんだ。
人は分からない。 何を感じ、想い、考えているのか、すべてを知り得ないもの。 人は分かる。 わたしと分かれたのだもの、違うはずだと。 視える欲情や欲望、聴こない声や言葉の渦のなか、相変わらずの工事中だ。
夜がある幸運を想い出していた。 もはや隠れることさえできない闇ばかりだが。 でもさ、想い出したんだ、夜がやって来てくれると。 身の置き所はないが、暗さにはまだ、温和な知恵が潜んでいるさ、見くびるなよ。
今でもそっと脇の下のにおいを嗅ぐのかい? おれたちにはおれたちなりの口調があったよな。 不満や不安もあったが、概ね笑っていた? だって笑おうとしていたものな。 今日は晴天、久しぶりに想い出しているよ。
永久に続くものなどはない? 目の前には、土にいつまでも同化していかないプラモデルが落ちていた。 永久に続くものがある? 愛しい人たちは、ほら、サッサと消えたよ。 そも、永久だなんて、破滅的冗談だろう?
新たな悪が現れれば、先の悪は消し飛ぶ。 失念する。 かくして、眼前のあれこれに足もとをすくわれていく。 が、先の悪は消えていない。 気づくかどうかは置いておき、何のことはない一挙に押し寄せる悪なのだ。
わたしが今18歳だったらどうしたろう。 状況から出向きはしたはずだ。 「冗談きついよな」とブツクサ言いつつも。 責任という押し付けの変種と感じてはいただろう。 だって、45年以上も感じてきたのだから。
後手必勝のような日々。 「あり得ないよなあ」 情けは、かけられたくはない。 憐憫の情は持たれたくないし、そも、持ちたくないものだ。 であるが故に、何もないにも関わらず、先へ先へと贈与していくしかない?
ふいに爆撃する音が聴こえたよ。 頭がおかしくなっちゃったのかな。 目の前の風景は、いつもと変わりがないんだもの。 でも、確かに聴いたんだ、大きなおおきな音を。 怖いな、恐ろしいな、どうなっちゃうのかな。
男が、わたしを視ていた。 歯が抜けて、襤褸を身にまとう小さな男である。 若いのだろうが、老いているようにも視えた。 何より飛び切りの笑顔が脳髄に刻印されたのである。 もう昔むかしの日本人の写真だった。
ふいに気持ちが高ぶってしまっていた。 そうして、激烈な想いに、しっかりとつかまったのである。 「冗談じゃねえや」 そう、一気呵成に吐き捨てたかったのだ。 「冗談こけよ、気弱なことに関しては負けないぜ」
今後も格差は生まれていくだろう。 いや、生産されていくのだ。 ゴミの中を漁るアジアの子どもの映像を視た。 東京では高齢者が空き缶を集めている姿。 「世間ってやつがどうにも眩しくて、目が追いつかないよ」