2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧
寒風の屋外、コーヒーを飲もうかと。 が、登山用ストーブに点火できない。 「齢とともに、春が待ち遠しくなってきたな」 「仕方ないな」と手元を視れば、火が。 春はもう気にせず、湯の沸くのを待ち始めていた。
事件・事故がない日はないのかな。 すべて報道機関の作りごとだったらいいのに。 アナウンサーがいつか言わないかな。 「平和な1日でした。報道することは何もないのでスイッチを消し、今宵も月をご覧ください」
自分を遺棄することもあるだろう。 ただ、手は武器を作り出してきたが、楽器も作ってきたのだ。 眼前に野卑な輩がいても、ときに素通りすればいい。 呼吸が落ち着くまでは。 知っていたはずのことじゃあないか。
単独で生き延びようとする欲求への違和。 せめて不在の人々とも生きてゆこうとする姿勢の開示を。 死した者・産まれてくる者の存在に耳を預けるのだ。 いつかすべてと、ゆりかごで眠るが如く別れていくためにも。
ベランダで小鳥たちが鳴き始める。 古の節回しで。 生きるの、死ぬのと喚いていても1回ずつ。 日々の月並みな相互扶助があれば、咲きたての花が微笑みかけていることにも気づける。 残酷・無残な今であっても。
実は守られなかった原則を変えようとしているのは何故だろう。 変えてしまえば守らせる契機になるから? 結果、人が人を殺めることが合法化されていくのか。 足もとの地上が、なくならなければいいのではあるが。
歩きたい場所がある。 暖かい陽射しの下、清涼な空気に満ちた緑道だ。 ただ、気楽な野郎だ、特にこだわりはない。 妙な物質が漂う環境からは逃げ出したいが。 握り飯を頬張れば、「もうひと歩き」となるだろう。
鋭利で明白な言葉を発することのみっともなさ。 相対化できてしまうのに。 根源不在の力にならないプラス思考。 事実を受け止めたほうがいいのに。 希望と絶望の果て、今ここから始まる感情を見つめていくのだ。
温かさを求め過ぎて、清涼さを見失っていた。 言いたいことだらけだが、考えなしの奇妙な身心を前に。 逃げ出したい人にさえ、認められなければ事態は進展しない。 空を見つめ発せられた声に惹きつけられていく。
準備は、するだけはする。 そうして、取り越し苦労は意志して消していく。 もたないものな、この排除まみれの領土では。 日本を取り戻すより、日本に開かれていく――。 強い領土より腰砕けの笑顔を愛でながら。
人に手を上げることが痛みとなる身心。 人が悲しめば感染、喜べば同調する在り方。 弱さが尊ばれて、寒風も心地よく、微笑をもたらすことに価値が置かれるコミュニティー。 まずは一番身近なこの身心からの出立。
狭い場所で片寄せ合い生息してきた。 「いただきます」と発して食べ始めることを繰り返しながら。 特に祈りはしない。 「ごちそうさま」と言い、食事を終えるようにもなっている。 ときに坂道を話題としつつも。
絶望の極北で、彼は微笑むことができた。 が、ついに倒れたという。 見舞えば、「誰にも逢いたくないな」と。 「でも、お前は別さ」と感じさせる身振り。 皆が、そう体感していたと、皆が知った中、葬儀は続く。
熱く燃える短い人生が望み? 奇妙なことを言うなあ。 高齢者で情熱的な方もいらっしゃるし、逆に若くして老いてしまった人も。 青雲の志を抱く青年が唾棄する単なる長生きでいい。 それだけで大変なことだもの。
仕事で歩き回っていた。 ふと、正統と言われる音楽も、生まれてきた瞬間は即興だと。 風が強く、冷たかった。 まず受け止める、後は着地していけばいいのだ――。 すべきことが残っていたが、家路が見えていた。
触れることができないからこその虹? 久しく観てはいないが、感じようとすれば姿を現す昔話のよう。 天と地を結ぶ淡さ、そうして空の拡がりがあるが故の物語。 胸のあたりを訪ね、たった今、触れてきたところだ。
指が滑ってゆく、流麗に、心地よく。 奏でられた音色は、会場を静かに包み込む。 人々は発することはないものの、感嘆のため息を。 成功して、家族関係も良好な幸せな演奏家。 彼が弾いたのは、悲恋の唄だった。
山間部ではすでに、冬眠中の動物たちも出番を待っているところ。 人界ではいつ野蛮なことがなくなる、いや、できなくなるのか。 あれは幻想、これも幻想、それも幻想? 「知ったこっちゃない」と今日の坂を上る。
時代の先端が今日も蒸発していく。 そうして、暮らしの前線、いや、下層からの声が、いつだって背中どころか、胸元を突いてくる。 「想いを体現しなよ」 声の叱責、乱舞。 暮らしは賑やかに、静かに続いていく。
母からは楽しむ姿勢を刻み込まれた。 父は笑った、「絶対はあり得ない、絶対」。 戦時下にも暮らした夫婦の屈託と解放。 佳きことを思う今、ふと話しかける。 人様に言うことではないが、少しは楽しんでいるさと。
言い難いことを、そっと打ち明けられ、対応する人の徳。 言葉を伝えたいのではなく、感じたことを分かって欲しいが故の囁き。 それを受け止める生きた耳の姿勢。 人こそ人の道標という地図を広げ、確認していく。
まぶたを閉じず、見えてくることもある。 まなざしで抱きしめていた風景が、ゆっくりと確かに綻び始めるころだ。 眠いまま窓を開ければ、唄の種子も舞うのがうかがえる。 身心も寒いさむい空気を破っていくのか。
加齢が成長につながるとは限らない。 幼くなる領域もあるだろう、いや、ある。 かねてより幼稚に対して解放も体感。 ただし、開かれた、それ。 鈍色のくせに軽い雪空を見上げ、阿呆として口を開け続けていた朝。
今夜、お前の唄を聴きたいな。 一緒に歌えるといい。 おれのつかまってしまった音楽も流そうか。 ともにハミングすれば、座ったままスキップするかのよう。 踊り出せば、月も首をのばして覗き込むよ、きっとさ。
かたわらを青年が猛スピードで走り抜けていった。 自転車に乗り、力強い身体にも乗って。 瞬時に小さくなっていく。 が、突然、止まった。 追いつき、見れば、彼の前には赤信号で止まっている男の子と老婆――。
不吉なことを言えば預言者になれる時代。 恥ずかしいのは自意識からではない、存在自体がもはや恥辱なのだ。 改めて、森羅万象の1つひとつを命名していく? ついと生まれる笑みが、足もとを明らかにしていくよ。
「彼女はきっぱりと席を立った」 そう感じたのは、簡単だ。 立ち上がること自体が、毅然としているからなのだった。 たとえゆっくりと周囲を見渡しながらだったとしても。 わたしもまず踏み込む、席を立つのだ。
テロは無差別、いや無区別。 やむにやまれぬものがあったとしても、恐いことは恐い。 ただ、権力はそれ以上。 親しげに近づいてきては、根こそぎ奪っていくのが常。 とどのつまり、生産するのは戦争なのだもの。