深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

歌っていく/春2015・4

「やはり」と想う。 友人や仲間、家族などの幸を願ってきたのだと。 が、幸とは何か、明確には分からない、分かりゃしない。 つまりは踏ん張っていくしかないじゃあないか。 倒れるべきは、わたしたちではない。

いつも工事中/この領土で・271

近所では大掛かりな工事が始まった。 深いふかい穴を掘ったという。 慎重な調査が進んだそうだ。 要は、不発弾があるやなきやと――。 今日も、いや、たった今も、地続きでつながっている恐怖の源を、呑み込む。

自由に自由と/平成問わず語り・14

机に向かい、A4の紙を取り出す。 文字を記そうと、ボールペンを手にする。 しばし考え、自由と記してみる、もう1度、いや、何度でも。 意味のない行為? そうだな、でも記したい、記さざるを得ないのだった。

痛苦/この領土で・270

追従か、批判か――。 追従の批判か、批判に追従か、複雑な層を垣間見ながら、水たまりに気づく。 雰囲気は大切だろう。 とはいえだ、流されてしまうだけだったとしたら? 痛さが嫌だ、もう、金輪際、嫌なのだ。

春風が香り/春2015・3

喪って気づく。 「愚の骨頂だな、気づかないよりマシだなんて想えない」 わたしの願いは、つづめて言えば、「幸せになって欲しい、例え短期間でも」ということだった。 春風が吹く。 何と爽やかで疎ましいのだ。

忘却へ/野の花チャイルド・31

自転車に乗って坂道を下る。 すると、真正面からやって来るものが。 花々の匂いが鼻を、胸を、足もとを柔らかく打つように撫でる。 混然一体となった発光体の如き匂いの粒子。 はた迷惑な嘘さえ忘れさせていく。

対話へ/言葉・83

嘘っぱちか、おべんちゃらか――。 上下関係に依拠した言葉でしかない。 直球でも変化球でもない、相手に届けるためのキャッチボールは何処へ? 肩を作ることができ、汗をかくさえできる会話、いや、対話を想う。

おれもまた、A列車で行こう?/老道・16

練習を重ねた楽曲の響き。 会場の隅々まで、柔らかく、かつ渦となって届く。 かくして、演奏を終えた生徒たち。 拍手とともに、音楽後の音楽、笑顔がほうぼうで咲く。 隣りの高齢者たちの涙もまた、至福の賜物。

地図を鞄から出して/彼女・21

ふいに立ち止まる。 バッグから地図を取り出して確認、グルリをうかがい、考えごとを。 そうして、目を閉じる。 「どうした?」と彼。 彼女は、「花の香りがしたものだから」と伝え、別の道を歩こうと提案する。

ラーメン屋が増えた街で/この領土で・269

いわゆるラーメン道? 「何だかな」と興ざめして、街を歩いていた。 何でもない、ありきたりのタンメンが好物だ。 餃子をつけられる持ち合わせがあれば、今ここの極楽。 興が乗る、つまり生きがいというわけだ。

今を生きる2015/この領土で・268

寿命が短かったころ。 いや、死の隠蔽が今より少なかったころのことだ。 財を成し、堅牢な住居を希望するなど、多くはなかったはずである。 死がむき出しならば当然だろう。 ただもう、今を生きていくのだった。

定食屋へ/春2015・2

新しい街へ通うようになった新入社員。 定食屋の店内の様子を、おどおどと窺っていた。 そも、外食慣れしていない様子である。 いくつものことを想像させてくれた青年。 意を決して店内へと入っていくのだった。

居酒屋で・1/マネー2015・2

お金は大切だ、なくてはいけない。 この社会では、持っていれば概ね解決できることばかり。 「これって寂しかないか?」 「確かに」と頷く。 そうして、「こんな話ができる友こそ大切だ」なる言葉を脳内で呟く。

上からか、下からかだけの連中/姿勢・12

高圧的に出るか、慇懃無礼に出るか、どちらかだけの連中。 上下を呑み込みニュートラルな姿勢で話せばいいのに。 つまり、社会人でないということ。 会社員になれるわけもなし。 呆れて呆れ果てている目の窪み。

春が少し/月下の貧乏人・37

春が来た、山に、街に、路上にも。 尻がソワソワと浮き、胸が自然と開いていく。 ひょっとして腹も座り始めて。 財布にだけは来ない春? 気にするな、今夜だけは花の匂いに誘われ、公園のベンチへ座りに行こう。

この場所はいつか来た道/唄・45

素晴らしい唄がある。 悦びや怒り、哀しみや愉しみの。 が、問題は場所だ。 おれたちの場所で聴き、歌うのでなければ唄は死んだようなもの。 スペースのことを言いたいのではない、獲得する営為を言いたいのだ。

味わう/唄・44

唄は、早く作っても、歌っている時間分だけはかかる。 本当? 一瞬にして全体が視えてしまうときがあるのではないか。 瞬間的に人生がフラッシュバックするかの如く。 美味しいものは味わったほうがいいのだが。

春の通勤電車/2015春・1

うれしくもないのに笑う女優。 「いや、うれしいんだよ、大金が入るから」 春の通勤電車には旅行や転職への誘いの車内吊り。 傍らで立ち上がる言葉にハタと気づく。 そうして憮然として、「ま、関係ないよな」。

巷の仏陀/この領土で・267

周囲の不運・不幸を吸い取っていく人が。 そうして、本人は恬淡としていて、ときに微笑さえ浮かべて。 人生は不条理、無意味が人生。 そうだと分かっていても、屈託は残る。 夜道に灯はなくとも、家路を急ごう。

まるで探偵のように/詩歌・11

作るのではない。 やって来るものを、いかにして、つかまえるかだ。 が、その行為は、思い出していくことに似てはいまいか。 心もとなく訪ねるように、思い切って訊ねるように――。 自らに入り込んでいくのだ。

いいも悪いもないべさ/この領土で・266

今がどうあろうと、最終的にはいい方向へと変化? 別にいいんじゃねえのか、屈託まみれのままで。 汚泥にまみれ、這いつくばっていくだけさ。 無論、糞味噌一緒には大弱りだが。 今・ここがあるだけで、十二分。

蛇年生まれは想っていた/平成問わず語り・13

ガキのころ、蛇崩川で遊んだ。 「蛇が移動していくかの如き川の記憶があるな」 訪ねたかったが、今や暗渠に。 「それにしても」と。 「何故、蛇は、ヘビと呼ばれるようになったのだろう、そも、音訓の始原は?」

お願いがあるんだ/地声で・29

悲しみの真っ只中にいる人。 言ってはいけない言葉や、してはいけない態度がある。 気を使えば、気を使わせてしまうことも。 戸惑いは当然? 天を睨み、「お願いだ、失礼があるだろうから罵倒してくれ」と呟く。

牧歌的で反動的な想い/この領土で・265

かつて、少数とはいえ父たちがいた。 情報量が少なかった時代の話だ。 いや、逆、もしくは今と変わらない? いずれにせよ、“教えを養う”力の絶え間なき生成という光景。 かつて、父たちが刻々と産まれていた?

脳内音頭/野の花チャイルド・30

「さっ、始めようか」 そう想ったとき、演歌がかかったとしたら? うたた寝をし始めたとき、応援歌では、「チチチ」か。 今春の半歩にふさわしい音。 花の咲く音が聴こえてくるかのような場所に立つことからだ。

本にまつわる本当の事情/平成問わず語り・12

本が何故いいのか、明確に言える人が羨ましい。 そも、「本は暗い玩具」との言も。 本が生まれる前の時代の人々が、黙って静かに読む姿を不気味と思っても当然か。 いや、未来の人も想う? 構わず読んでいるが。

屋外の夜/月下の貧乏人・36

夜には火を囲もう。 そうして、生きていくうえで大切な言葉について、思いを巡らす。 静かでキレイな想いをつかむこともできるといいのだが。 美味しい飲み物で喉も潤そう。 顔を上げていけば、「あっ、月」。

涼しい顔はできないものの/当世労働者覚書・34

この際、忙しいのはいい。 いや、仕方なしの現状か。 が、どうにもこうにも困るのは忙しそうに見えてしまうこと。 寒いのに暑っ苦しいうえに相手への負担にも。 何より、いい話が転がってこないことが致命的だ。

新しかったり旧かったり/唄・43

お前が新譜だ。 初対面の日を忘れてしまうほど、もう長くつき合ってきた。 お前が旧譜だ。 とれたばかりの果実にように、新鮮な。 新旧があるようで、実はないうえに、跳ねる想いも抱かせてくれるのが唄なのだ。

ブルーサンデー/当世労働者覚書・33

雨を嘆くのは当然だ。 遊びに行けず、洗濯物も乾かない…。 そうした中、働き、大雨の中、帰路を急ぐ人々も。 びしょ濡れ、ずぶ濡れ、靴も水浸し。 ヤケクソなのか新鮮なのか、苦笑なのか微笑なのか不明のまま。