深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

不謹慎はどちら?

少し前のこと、周囲の子どもらが身体を揺らす地震ごっこをしていた。 原発を素材に爆発ごっこで笑う子どもらも。 止める気はなかった。 無意識が追い詰められていたのだもの、 解放のために遊んでいたのだもの。

筋力について/娘と・52

口もとが緩んだり、背中が伸びたり、腰が落ち着いたり──。 人の心にはどうしても身体が必要。 お前の心に咲くやわらかい筋力が好きだよ。 息をゆるく吹きかけられるだけで、今は何もいらないよ。 朝が来たね。

試行2011/都市サバイバル・ノート139

栄華に腐心する不可思議な風景。 薄気味悪い空気が舞い、視界を曇らせるばかりだ。 が、慟哭が、東京の外れにいる身心たちをも貫き、耳から離れない。 母なる大地・父なる空も呪咀の対象か。 今日を試みていく。

お互い様

「あっ」 強風で帽子が飛ばされた。 振り向けば、高齢者が手にしてニッコリ。 感謝の辞を述べれば、「お互い様」、そうして、「こんなときだものね」と。 再び、「あっ」と呟けば、飄々と通り過ぎていく爺さん。

春、春よ/ラブソング・5

風が吹き、あなたの髪がなびいたのなら、遠い森からの贈り物。 指を何気なく見つめたくなったら、春の小川が囁き出したから。 けれど本当は、おれの仕業。 あなたのことは考えちゃいない、深く感じているだけさ。

本質って何?/都市サバイバル・ノート138

緊急時、人の本質がよく分かるとは、よく言うなあ。 指摘して高見の見物か。 その先を言わなければ、何も言ったことにならないんだ。 大切なのは関係の変容化、 もし愚かさがあるのなら、出なくてもいい関係の創出。

潜る/都市サバイバル・ノート137

天災後の世界に、戦争が露出している。 ギミー・シェルター。 困難は常態化、生き延びていくことを立て直す。 ギミー・シェルター。 だが、どのように? ギミー・シェルター。 身心半分、地下に潜らせていく。

身近な遠くへ/都市サバイバル・ノート136

不必要な略奪で、人々に辱めを与える者たち。 「何故、生きているの?」 怒りの背景の微笑、微笑に裏打ちされた怒りもまた、消そうというのか。 わたしたちを育ててくれた、大切な覚えていないことを訪ね始める。

見たよ、雨を/娘と・51

待ち望んだ華やかさが、ふっと疎ましい。 何だか、何だかさ、昔をしきりに思い出してしまうんだ。 でもさ、食卓を片付け、出掛けるときがきたね。 止まぬ雨の中、歩き出そうか、そのために立ち上がっていこうか。

娘の胸に耳をしばらく当てていた。 わたしの古くなった耳は、それでも安らかな寝息と力強い鼓動をキャッチする。 仰向けになり天井を眺めれば、遠くの山で跳ねる雨の音が重なってきた。 生きている、生きてゆく。

感謝/娘と・50

雨が風景を変えて降っているよ。 不安、いや恐怖を与える、その1点でもう手は伸びないものさ。 今朝も、お前の屈託ない笑顔と再会できたね。 ただただ、あたたかいものを欲しているときに、心底感謝しているよ。

握る/娘と・49

好きな食べ物? 今はそうだなあ、やっぱり握られたおにぎりかな。 最高・最上・最善とは口にしたくないが、ついね。 叡智とさえ言いたくなるよ。 大好きな原っぱで食べたいんだ、共に生きることを共有しながら。

明日なき前夜2011/都市サバイバル・ノート135

沈む船に最後まで残る船長を強いられているのか。 この肉の船を漕ぎ続けようとしているだけなのだが。 民不在、人質の国で。 おれたちは今朝も、まず食卓を囲もう。 食材は豊かではないが、逆に身心は満たされるさ。

武蔵野3・11深夜の僥倖/都市サバイバル・ノート134

画面に吸い込まれるはずの『トムとジェリー』。 ただ、室内はざわつくばかり。 いくつもの角を曲がり、歩いて深夜、学校にたどり着いた母たちの疲労。 子どもたちの笑顔、転じて涙顔と再会し、ふっと溶けていく。

手2011

子どもの右手は、やや上方へ自然と差し出された。 その手を、母がやわらかく握る。 2人は、ゆっくりと歩き出す。 父が降りるはずの駅まで。 強風はすでに、吹き始めていた。

今日を生きよう2011・1/都市サバイバル・ノート133/合掌・11

3月16日を3月16日として体感し、暮らすことができますように。 今日の今日を生きていくことができますように。 合掌

祈る・1/都市サバイバル・ノート132

見舞いの旅先で、東京炎上の報に遭遇。 家族の無事をどうにか知り、安堵した途端、自らの不明を恥じた。 今なお、つながることができぬ人々への思いが沸騰してきたのだ。 強く祈り、強く願い、強く祈る日々──。

呼吸・23/都市サバイバル・ノート131

拷問とは睡眠の破壊だから、まず安眠を確保。 目覚めたら、ほぐれるように伸びをして、深い呼吸を繰り返す。 その後、美しく低い声を聴こうとしながら、熱いお茶を。 おれも再び、降り積もる時間を暮らしてゆく。

言葉・27/都市サバイバル・ノート130

土砂降り気分の中、繋がるのをひたすら待ち続けていたし、いる。 犬の如く。 そうだ、今朝も熱い味噌汁を一口啜るところから始めよう。 朝食はしっかり、ゆっくりとるのだ。 言葉による深呼吸もたえず図りながら。

大丈夫/都市サバイバル・ノート129/合掌・10

大丈夫か、大丈夫か、大丈夫かと、尋ね続ける。 大丈夫であって欲しいと祈りつつ。 わたしたちに、恐怖が生み出すものは必要がない。 合掌

歩く・1/都市サバイバル・ノート128

テレビを稀につければ、突然の演歌。 「まいったね」 根腐れと言うより呼吸困難な土の状況を、ふと思う。 自分で自分を何処へ連れて行くか分からぬ衝動が頼りか。 健脚でなくてもいいさ、歩くことを歩こう。

大脱走2011

オートバイに跨がり、鉄条網にがんじがらめの状況下? おれはもう、髪に指を滑らせる女が昔、いたことを思い出すだけで十二分さ。 ただ、たとえ戦火にいても、他人の吸ったアレの火は、おれも消すと決めているんだ。

滅びの後の綻び

自ら異物を生み、飲み込むことで膨張の資本制社会。 今や脚力は衰弱、単に蒸発中だ。 なし崩し的に胸焼けも蔓延中か。 時代は玄人の素人化・素人の玄人化から素人の素人化へ変転。 ふざけているとはこのことか。

車内慕情・1

カーブで満員電車は揺れ、女はためらうものの、男につかまる。 そうして、揺れはおさまり、手は元の場所へ。 すべては一瞬の出来事だった。 ただ、2人の無意識に、長く止まるシーン。 窓の外には春の雪が――。

嘔吐2011

昔日の叶わなかった思いが、ついと立ち上がる。 哀しさや寂しさ、後悔や屈託、ましてや絶望でさえ届かない激しい思い――。 しばし耐える? いや、吐き気を抱えつつ、倒れないようにバランスをとっていくだけだ。

さあ、行こうぜ・2/娘と・48

お前はまだ後悔や皮肉、いわんや屈折を吐露してはいない。 いつかきっと口にするだろうが、わたしは伝えるはずだ。 肯定への道のりの困難さこそを歩んでごらんと。 共に暮らせる人々と出会うルートなのだものな。

まるで1本の管の如く/身体から・46

成人となり、初の便秘に苦しむ。 昔、暗闇まみれだったが、屈託なし。 今や明るく、しみったれか。 おれという引き締まった肉の時代から、溶け始めた肉への推移。 変化は勝手にやって来て、なあに、可愛がるさ。

春2011・3

古の人々が朝の公園を眺めれば、仙人の国と思うのかな。 高齢者たちが元気に体操をしているのだもの。 一方、陽だまりで寛ぐ背中たちも伸びた様子。 わたしは古の人々と同化し、背筋が緩くなったと感じているよ。

60年代少女・3

風が強くなる。 裏切らないが、あてにならぬ、お前を抱き寄せた。 束の間でいい、素面のお前に逢いたいと思いながら。 窓を閉め切り、おれたちは互いの遠くを探り始めた。 風の音はもう聞こえなくていいだろう。

春2011・2

故あり、別れた人々。 切なさより激しく、後悔より軽くて、悲しみと言うには少し遠い場所で、 大切な人々だったと痛感している。 今頃、吐き気がするほど好きな人々に、乞う。 生きていてよ、それだけでいいと。