深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

発熱

受話器を置く母親。 少し困り始める。 子どもは、「困った困った」と、意味も分からず浮かれ出す。 母親は子どもの頭を撫でる。 父親は、出張準備のために帰宅するはずだ。 それまでは続く、困った母子の幸せ。

永遠なんて知らないよ/夫婦で阿呆三昧・2

「あんたっ!」 「何でえ」 「御託ばっか並べてないで」 「何でえ何でえ」 「人の生は地球の病、人の死こそ地球の健康の証ぐらい言ってごらんなさいよ」 「そ、それ、ホントか?」 「あら、どうかしらん…」

達者でナ2010

帰路の電車内で居眠りをする人々。 立ったまま軽くいびきをかき始める方も。 利用駅に着けば、不思議と目覚め飛び出していく。 頭の中、背中に声をかける。「達者でナ」 そうしてまた目覚め、起き上がる朝が。

あぢ〜っ/身体から・43

自然界同様、臓器にも夏休みはない。 だから、休日には、 風通しで生き返る廃屋の如く、 身心に風を通してゆく。

舞踏派

相手は近代ヤクザか…。 とりあえず逃げるしかないか。 津波、あるいは雪崩だもの。 「だが」 そう、肚で、明るく呟き続けながら。

ミイラ化な夏/おっさんの夏日記・20

収れんせず、弾けて、とろける音楽を鳴り響かせることが仕事。 そうした挿話が、1つ、あっていい。 いや、単に高ぶった覚醒があるだけでもいいな。 暑い、暑過ぎる日々に、わたしは多く、歩くようにしている。

心の花・花の心

棒に振った時間という薪に火をつけ、 少しずつ、そう少しずつ燃やし出す。 冷や汗を大量にかきながら。 想起するは、 日焼けならぬ花焼けをし、 時代をくぐり抜けていく人々、 比喩の刃物とさえ縁なき人々。

花の首飾り2010/『田淵行男写真展』を観て、ふと

登山家たちが観てきたのは、単なる山々ではない。 孤独の極北、静謐な世界そのものだった。 死と隣り合わせの、凶暴で残酷な──。 空にかけられた、夏雲による首飾りもまた、愛でたはずだ。

ここにいる、ずっと/身体から・42

何もかもだめになったとき、ここにいた、この身体に。 事がうまく運んだときもやはり、ここに。 もう出て行こうとはしない、出ては行けない、身体からは。 たとえ倒れこんだとしても、悦びの頂きにいたとしても。

太宰も目覚める?/アフリカ的段階2010/おっさんの夏日記・19

和太鼓のリズムが腹を打つ。 脳はすっ飛び、背骨は弾け、身体は拍子となる。 東京・三鷹、夏の夜空へ破裂してゆく阿波おどり大会。 老若男女の、私事をうっちゃった笑顔よ。 路上の舞いがふと、解放と呟かせる。

天地の間/おっさんの夏日記・18

前、どうぞどうぞ。後、いつものこと。 左、まだご存命で。右、本気かな。 上、やっだねえ。中、あり得ないって。下、困った困った。 実は前後左右上中下、丸抱えで、 夏草の上、大の字を描く天地の間の呑気者。

秋にも夏/ついに娘ネタ・10

お前が今日、どこで遊んだか、当てられるよ。 やわらかい髪の毛から、ほら、夏雲の匂い。 夏はまだ、続くね。 仮に明日、終わってしまっても平気さ。 身体の夏は、いつでもどこでも、息づいているものなんだよ。

居場所・1/身体から・41

居場所があるだけで十分。 少しでも明け渡す場所があればなおいい。 居場所がない? あるさ、心と脳、体の乗り物、身体1つ。 そここそ、かけがえのない居場所、実は旅する場所、 いつか虚空へと明け渡す場所。

プラットホームへの帰還/おっさんの夏日記・17

残暑厳しき折、戻ってきたあの顔、その顔。 苛立ちや不機嫌、何より疲労の紫煙で、視界不良に。 が、笑顔の夏が微かに、かつ確実に咲き続け、乱反射している。 目を細め、その気立てのよさに、感応してゆくよ。

手紙2010・1/おっさんの夏日記・16

友人に手紙を書き始めた。 亡き父母の件であらためて礼を書こうと。 が、手が止まってしまう。 長い年月が過ぎ、軽くなっているはずなのに。 ペンを置き、開け放った窓の遠くに拡がる夏雲を、しばし眺めていた。

風を浴びに行った/おっさんの夏日記・15

無事帰宅の報告を忘れていた。 サンダルをつっかけ外へ。 麦藁帽子は被る必要がない。 目指すは公園。 夏に木陰を編み、冬に風よけとなってくれる親戚の下へ。 いつもの如く、巨木が沈黙の涼風で応じてくれる。

畳の上で・2

平穏無事な暮らしといえども、 小さなてんやわんやの連続であり、 1つとして同じケースはない。

いつでも夢を2010

夢と現実にギャップはつきもの。 その距離をはかり、 ときに首をすくめ、 明日に委ねるべきは委ねる。 ただし、暮らしの底力・夢の、輪郭は描き続けてゆく。

逆算/言葉・20

はなっから作品へ向かわないこと。 下手でいい。 不正確な叙述で構わないし、不誠実でも。 ただただ、切実であること。 切実さが、誠実で正確、かつ巧みな作品へと向かわさせるはすだ。

断言から遠く/言葉・19

もやもやしていることを、解き明かした言葉に出合えると感謝する。 断言から遠くとも言い切れるのだと、敬服せざるを得ない。 書きしるした姿勢そのものに、身体が自然と拍手を送っている。 読み続ける者として。

残暑お見舞い申し上げます/都市サバイバル・ノート72

脆いのに鈍く、鈍いのに細い、 軽く、単にはしゃいでいるだけの、滅びの空虚。 感染には要注意だ。 予防法の基本はやはり、ゆったり食べては、すっきり出し、ぐっすり眠る「ゆすぐ」。 地上で、地に潜むが如く。

あっいっうっえっおおっ!/おっさんの夏日記・14

「あっ」と気づき、安心立命。 「いっ」と疑いつつも、意気投合。 「うっ」と来て、右往左往。 「えっ」と驚く、栄枯盛衰。 「おっ」と悦ぶ、温厚篤実。 あいうえお、あえいおう、あららのあらまあ、明日また。

休日は裸足/おっさんの夏日記・13

小心者だ。 爆弾のスイッチを押せないほどには。 肚は座っている。 逃げるべきとき逃げられるなら逃げ出すだろう。 ダボラか――。 ただ、靴を脱いだだけで解放感に浸れることは知っている。

われも海の子、大の字を描き浮かぶ/おっさんの夏日記・12

浮いている、海の上の人々。 夏空のほう、ときに流れる雲を突っ切る鳥たちもまた。 浮いている、溶けてゆく。 どちらが上にいて、下にいるかは、もはや不明だ。 浮き続けてゆく、地球の皮膚の上。

そうともさ/おっさんの夏日記・11

旬のロックとされる音盤に手を伸ばす。 グループ名も頭に入らず。 はなっから落ちてゆく疾走感。 やられた。 ロックの精神の1つ、開かれた透明な哀しさに。 そう、身心すっぴん、非力で生き延びるのだ。

暮らしの敗戦国

「なっちゃねえな」 親が子を、子が親を、子が子を、親が親を殺しているという。 「ったく」 せめて情死の救いがあればいいものを。 老老介護の共倒れには手助けが介在する分、光明の如し? 今、眼前の敗戦国。

千年の唄/おっさんの夏日記・10

いつからか、聴いて欲しい唄がある、 いや、違うな、 共に聴きたい唄がある。 書き直され、書き続けられていく唄──。 顔も知らない、すでに出会ってしまった千年先の友と、 愛の唄を聴こうか。 今日も。

真夏に歌う100文字ソング『すっの唄1番』/おっさんの夏日記・9/ワンダフル・ワールド3

すってんてん、てけつく、てけつく、すってんてん。 すったもんだの、すってんてん。 すってんころりん、すってんてん。 すくっとすっぱり、すってんてん。 すっぴんぴんの、すっかりすっぽり、すってんて〜ん!

畳の上で・1/おっさんの夏日記・8

暮らしている、畳の上で胡坐をかき。 暮らしている、日毎夜毎、食卓を囲み。 暮らしている、風鈴の音を聴きつつ、ゴロリと横になり。 暮らしていく、あいつらと。 暮らしている、暮らしていきながら。

ここ2、3日の腹具合

定義している間にも、対象は変化するもの。 そも、暮らしに方程式はない。 あばよ、一般化に潜む虐殺と同根の誤謬、極端な物言いに隠した不感症、愚な規定ではなく規定の愚。 汗の夏を、ただただ暮らしていく。