2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
電源に刃物を刺せば火花が飛び散るよ、ときには痺れたりする。 ご免だよ、ましてや他人様に向かってなんて。 わたしの言葉の故郷、波の立たぬ、静かで低い場所が断言する。 苦笑しつつも、「刺す前に跳べよ」と。
連れ合いと仏壇を前に祈る。 「何に?」とは聴いたことがない。 “本来無事”へ向かい、安心安全を祈願していることは分かっているから。 「そうか」と気づく。 信頼する由縁を毎朝、傍らで体験してきたのかと。
日が昇り、人々は腰掛け、暗い物を生産し続けた。 ふいにグルリは暗闇へ。 ただ、子どもらは、いつまでも見えない影を踏んでは遊び続けた。 その場所こそ、昼の身体。 足下を照らす光が、わたしを歩み出させる。
夫が問う、「ウチで一番いいものは?」。 妻は応えられない。 「余ったものではだめだ」の言に微笑む。 「被災地ではまだまだ物資が必要」と知った杖が頼りの夫、支える妻。 眩しい陽射しの中、考え続けている。
好き嫌いでは疎ましがられるだけ。 損得や美醜、善悪だけでも届かないもの。 大切なのは人と人との相性、要は息が合うかどうか。 ただ、それをも超えてゆくことができるといい。 落ち葉は踏み締めてもいいかな?
優しさと親切は違うが、ごちゃ混ぜな日々。 直に刃物を持ち歩かなければいけないのかと…。 今は危惧に終わり一息? 1度持てば、銃に機関銃、ついに原子爆弾。 無力のまま、遠くまで石蹴り遊びはできるんだ。
非正規雇用労働者は休暇とも無縁。 自死・餓死者も出て、殺意を持ち当然だ。 口は1つ、内臓も左右両方にあるとは限らぬから、均衡だって崩すさ。 今も手遅れの領域が侵食中。 腰を下ろしつつ、尻は浮いていく。
「アウシュビッツでは、人々は眼前の現実を信じようとせず、殺されていった」とも聴いた。 初めから肝がすわった人物はいやしない。 言っておきたい。 疑わない人が悪いのではない、騙す奴こそ地獄行きなのだと。
身心をつねり、ひっかき、おまけに嘘まで言う。 延命したいからとはいえ、何たる話。 厳密に言えば、ゲップは自分だけのものではない。 吐瀉物も、また。 ただ、当事者がすべて片付けるのが筋というものだろう。
美味しいものは食べてみたい。 されど、食べなくて生きていけるのなら、「いいだろうな」とも。 豚や鳥、牛などを、ひねり潰し続けたくないもの。 食べずに生命を養えれば日本脱出、いや、脱国家も近いはずだ。
狭い玄関で場所取りをし、2人で靴紐を結び始めた。 お前はおれに、「行ってらっしゃいっ」の後、即、「行ってきます!」と。 ドアが開けば、雨風も飛び込む。 「数値、やばいぜ」 マスク顔で、同時に飛び出す。
この世は不条理で不透明、しかも無慈悲、おまけに――。 この後にも、言葉は果てしなく続けられるだろう。 しかし、「それだからこそ」という一言で、今も切断するのだ。 それだからこそ、条理と透明、慈悲をと。
利用する駅で降りると、楽隊が演奏を。 人々が通り過ぎる中、目を閉じて微かに身体を動かす方も。 今や幸福か不幸かは知っちゃあいない。 義援金の箱を目端でとらえたが、おれもまた目を瞑り、幸福感に包まれた。
善きことを持続できない原因。 個人の意志や根気といった問題に収斂させるのはどうか。 他者が身心に住み着けば、努力なしで熱心に取り組む場合も。 自分の、隣の、生きようとする生命をまず受容することからだ。
千を超える発信をしてきて、今日も慣れないだろう。 送信ボタンを押すときの、軽いが、不安な緊張感。 だからだろう、いつも一瞬、祈る気持ちにさせられてきた。 合掌こそしないが、「できれば届くといいな」と。
「最近、嬉しかったことは?」の問いに即答できる方が減少を。 わたしは、そうだな、知った子らが突然、挨拶をしてくれたこと。 向こうが先に、気づいてくれたんだ。 自転車に乗る者同士、微笑み合いすれ違ったよ。
日を追うごとに遊びから遠くなる。 山歩きに海泳ぎ、川歩きなど、遊びは自然とともにあった。 「よく遊んだな」と発語できず、身心の内側に付着する物質。 畳の上、大の字で目を瞑って、訪れるものを待っていた。
お前を守り抜きたいが、もう無理なのか。 追い込む言葉が飛来する。 ただ、おれは伝えられるだろう。 人は、安心して死ぬこともできるのだと。 そう学んできた、父母や友人、愛する人々から教えられてきたのだ。
雨が降り出し、風も出ていた。 寄る辺ない男は店の前で逡巡したが、ついに決意を。 もう3週間も考えてきたのだ。 店を出たときには、コートを着ていた。 胸を少しだけ張り、「そうだな、上も向いて歩くか」と。
陽射しは山道でまだ寛いでいた。 熱いコーヒーを、わたしは飲んでいる。 菓子を頬張る、上出来だ。 ほどなくすれば、陽は急激に落ち始めるだろう。 再び湯を沸かす、「ファンタジーとは、このことか」と気づく。
嘘のない暮らしは、スッキリしている。 成長しない暮らしは、未来の人々とも共生できるだろう。 美の余韻に浸る沈黙の暮らしよ、続け。 上を向けば友の雲、眺めて厭きることを知らず。 単純な1日の困難と喜び。
力はなく、才覚と縁はなし、持ち合わせも知れたもの。 成長からは遠く、嘘はつけずに、自慢することもない。 ただ、不安や恐怖は一切なく、日々、微笑むことができる。 そうした国を望んではいけないのかしらん。
生命が助けを求めたとき、人々を見放す国家の存在理由とは? 「脱国家」とも呟き、周囲を見渡す。 価値を共有、相互扶助が溶け込むネットワークこそが有用だ。 人類が最後にかかる病気だとしても、希望をと――。
不吉で暗い曇天下、公園で子どもたちが走り回っていた。 歓声を上げ、顔を真っ赤にして。 「元気とはこのことだったな。そう、そうだったよな」と体感。 休日、それ故に身心がほぐれ、寛ぐこともできるのだった。
道端で偶然出逢った男たちも立ち話を始める。 通り過ぎるとき、「そうか」の声。 振り返ればまだまだ続く様子、わたしも「そうか」と頷く。 大きな木のかたわら故、話は深まるばかり。 雨はすでに本降りだった。
物質的豊かさは大切なものの、羨まない。 とらえ切れぬ化け物だもの。 だからか、山への思慕が募る。 寛容だが厳格、突き放すが迎え入れもし、耐えることを静かに受容できた。 全身で足場をつかまえてゆく快汗。
古びることがなく、古より新しく鮮やかなもの。 朝陽に朝露、雲に陽射し、そうして夕焼けに闇夜。 目を覆う状況下、途方に暮れもするのだが――。 ただ、今日もまた、案の定、蘇る感覚へと誘ってくれるのだった。
雄大な景色を体感できる、小さなおれ。 「私はあなた/私以外に見えないあなた」という興味深い言葉を読んだ。 即、「あなたは私/あなた以外に見えない私」と思う。 おれたちは小さくも大きくもない拡がり──。
見ている眼は固定され、眼自体を見ることはできない。 同じく聞いている耳は音を立てず、聞こえない。 嗅いでいる鼻が臭いを発しても詰まり、臭わない。 今は身体の内側へ出向くが、いずれ外側へ帰ってゆくのだ。
「お爺さんが横断歩道を渡り切れず、一緒に渡ったわ」 実は周囲にいた家族に対し、憤懣やるかたない連れ合い。 結構毛だらけだが、おれの二日酔い、体調不良は? 「あはは、ご自由に」 いかすぜっ、秋空の高さ。