2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧
逢いたい。 陽射しさえまどろむ暖かい縁側で、熱いお茶を啜るまるい人々と。 逢いたいな、寒風が痛い夜、脱皮する個体と会話をしつつ、自分の歩幅で歩く人たちと。 やはり、この一言だ、「いつも逢いたいなあ」。
山へ入っていく。 1つひとつ、余分なものが削ぎ落とされていく感覚も芽生えて。 踏み出していけば、春、硬い土が軟らかくなる瞬間に鍬を走らせたかのようだ。 脳髄にまで響く手応えを磁石として歩み出していく。
夜の逃げ場所もなくなった、夜自体が隠れ家でなくなったときから。 が、構うものか、いつもさらされ、むき出しさ。 戦略・戦術は大切だが、すでに用なしだ。 息苦しいのは当然だ、せめてゆっくり吐き出してゆく。
職場で働き続けられる条件は、いくつかある。 よい給料、恵まれた人間関係、行うに値する仕事等。 1つでもひっかかれば何とかなる。 そうしたことを望めるほどの歴史的変化。 報われるかどうかが胸に迫る中で。
事件・事故の報せを知るにつけ、この世は地獄の事態かと。 昼に寛げ、夜に隠れる場所はない? ただ、極楽はある。 戦前・戦中・戦後の三位一体化状況であっても。 寒い日には湯、暑い日には木の下へ出向くのだ。
艶やかではないし、目立つわけでもない。 ただ、静かで決まって明るく、人知れず愉しげな様子。 眺めれば眺めるほど、惹かれていく。 足手まといではなく、おっとりと、されど凛と咲き始めたお前。 冬の花1輪。
できるなら、よしとする暮らしについて語りたい。 淡々と自然に滲み出てくる言葉、冷静で初々しい発語。 もう望めなくなってしまった? 冬空に飛び立つ鳥たちの、涼しい目元に関して目端を利かせていくのだ――。
都合よく、すべて収束するわけではない。 明確な結論があるわけでもないだろう。 仮にあったにしろ、ご存知の如く、暮らしは続く、エンドマークの後にも。 収束や結論は大事だが、それだけではないということだ。
朝暗きころより目覚め、手早く働き出す。 命を削るが如き営為は、実は暮らすため、暮らし続けるため。 生きることが無聊をかこつだけなのだとしても。 踏み出す、この先にも道はあると思い定め、踏み出してゆく。
相変わらず消費に恋愛、競争だらけ。 すでに昔からと言っても過言ではない? 歩くのが望みだ、走るのではなく。 歩き続けられる歩行法を末長く希求、瞬時に行う――。
親の想いは古今東西、近似。 周囲とうまくやっているか、親しい人はできたか、何よりしっかり食べているか――。 友人知己に対しても、同様なのだろう。 成功しなくとも、暮らしていれば、まず安心なものなのだ。
おれはここにいる。 今。 名前で呼ばれることが多いが、命名の由来は聴き忘れた。 長く、唄が発生する場所の音を聴き分けようとしてきたようだ。 そうして、いつか、あなたのいるところへ行くことは知っている。
つくづく思う。 つましい食事に満足でき、歩くことを楽しめ、ゆっくり休めるだけで十分だと。 闘いがなければ、なおよしか。 この満足が、睡眠を削る労働や、餓死の上に成り立っていないことを、切望する冬の朝。
押し寄せる不幸でしかない事態。 それでも、光明となる仕事を成した市井の方々――。 艱難辛苦に立ち向かった太い姿勢と、今も出逢うことができる。 己が身心に刻み込まれるよう、刻苦勉励、ときに笑みを浮かべ。
「みな、消えた」 続けて、「煽るだけ煽り、いなくなった」と彼。 「そうかな」と問えば、「消えた。だって、おれ自身、おれから消えていたもの」。 窓を開ければ、冷気が一気に、「目が覚めたな」と押し寄せる。
1人で笑っていられる、朝陽を浴びられたら。 大勢の中でも泣いていられる、夕陽を眺められたら。 大切なのに、放っておけること。 どうということはないが、どうでもよくないこと。 昼月を感じて、歩いていた。
あっちでうんざり、こっちでがっくり、そっちでさっぱり。 充実と無縁でも構いはしないのだが。 野良犬はともあれ、野良猫もいないとは、「おやまあ」だ。 湯に浸かって、温かい飲み物があれば、まずまずな冬に。
禅詩人・高橋新吉氏は晩年、身体にこだわったとか。 身体からはついに逃れられないものな。 学ぶことは多いが、追いつかない。 それでも、虚空に散らばるまで、この肉の小舟に乗り続けることを学び、訊ねていく。
歩き疲れる前には落ち着ける場所を探そう。 まず腰を下ろし、ひと休み。 それからだ、小さな火をおこし、温まるのは。 塩はある、明朝も平気さ。 楽しもうか、暗く美しい、いろいろなものが見えてくる夜の闇を。
寒風の中、外へ飛び出す。 対等な出方で支配・所有を狙うビジネスマンの如き人々に気づく。 途端、シャドーボクシングを始める己が。 実は体内でのこと。 善意の、面倒くさくて、恐ろしい領域を睨みつけていた。
お前とは、慌てたことと同義の、電話での会話はしたくない。 微かな声を響かせ合っていたいんだ。 祈りのような、耳に吹く風のような糸電話を思い出す。 確かに届いてくるよ、いつも聴いているよ、お前からの声。
周囲に散らばる胸苦しい音。 死は死、いくら検証を重ねても。 いつ、何のために、どのように、何故亡くなったのかは、突き止められないにしても。 だからだ、死は、人を瞬時にさらっていくのでなければならない。
人見知りで寂しがり屋、人好きな自分に照れてもいるね。 わたしであっても、おれであっても、ぼくであっても伝えておこう。 人から想われ、人を想ったとき、唄はもう生まれていたのだと。 実は胎内でのことだよ。
初出勤の改札口。 思い詰めた顔や、沈んだ顔、疲れた顔が足早に通り抜けていく。 すべて網羅された顔も。 動きのない脱色された顔もまた当然か。 小1時間も経てば表情を取り戻すしかないが、肩は落ちていない。
逃亡しても至極当然の事態だ。 逃げられる場所があるのなら、悪びれることはない。 「ただ」と思う、ただ、逃げようとしなかった場所も身心に刻み込んでおくことだ。 逃げられず、立ち尽くしただけのときもまた。
1歩いっぽを体感しつつ歩く困難。 ふと、「傷は傷なのか」と。 ポジティブに考えようが、ネガティブに思い煩おうが、変えるべきは変えていくしかない。 早朝、歩き続けていると、歩行は意志のステップへと――。
暗闇が深いまま、明けない夜もある。 どうしようもないことなのだ。 概ね不公平で不合理、ときに不潔で不届きなときも。 が、事実を受け止めるのだ、「仕方ないさ」と深く呟いた後に。 ついに諦めないためにも。
今朝も歩行が仕事。 目的地は必要ない、歩くこと自体が目的だもの。 ご近所も新鮮な本拠地の容貌に。 逃げ場所はないが、逃げ足を鍛え始めれば再確認できた。 身心の親和力と出逢っていくことが、望みだったと。
朝のグルリを一新させる陽射し、昼ののんびりと泳ぐ雲、夜の心の隅を照らす月光。 祈りを受け止める星、息を呑む虹。 霜柱を踏みしめて歩く夜明けに、気づく。 腹の足しにならぬものが、いつも心に染みるのだと。
地震はよく起きるし、原発もたくさん。 崩壊した学級にリストラ続きの企業、公害も。 暴力団は元気だし、軍隊だって必要とか。 おまけに天井知らずの借金まみれ。 ダンナ、お安くしときますぜ、この瑞穂の国家。