深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

響くバラッド/ラブソング・14

響かせておこう、とろけるようなバラッドを。 そうして、シャンパンで乾杯をしよう、それからさ、夜の始まりは。 だろう? おれたちはこのまま、ここにい続けられるのか。 静かな怒りとともに、折れることなく。

私たちの望むものは2011/ラブソング・13

あなたはわたしを見つけてくれた。 わたしがあなたの虜になったとき。 風が風を孕んで吹き付けてきたが、共に生きているだけで満足だった。 「望むものはないさ」と求め合い、2人、倒れ込んでゆくばかりだった。

グローバル・ヴィレッジ2011/都市サバイバル・ノート150

暮らしに追われ、手助けできないからと、 罪悪感を持つことなかれ、後悔することなかれ。 倒れぬよう暮らし抜いていこう、 その場所の光を育んでいこう。 地球上はすでに、地続きになってしまっているのだもの。

まなざしを見つめる/都市サバイバル・ノート149

安価で手軽なデジカメで、周囲を撮ってみた。 対象と向き合うことも大切だが、要は視線の実感か。 単に巧みで、きれいな画像は響かないと、気づいてはいたけれど。 今も観ていたい、美しくも優しいまなざし――。

風と地下道/都市サバイバル・ノート148

風向きは、急に変わるもの。 立脚点は、絶えず変化する目の前にあり。 ホンモノ・ニセモノなる考え方に与するつもりはない。 ただ、そう言わざるを得ない現実は知っている。 いくつもの地下道を潜り抜けて行く。

焚き火を前に・2/都市サバイバル・ノート147

焚き火が好きだ。 見飽きるということがない。 特に何かをするわけでもなく、ただ適当な長さに切った木々をくべていくだけだ。 「いい仕事をしているな」と感じつつ。 いつも夜は深まっていくものと教えられる。

祈る・2

浮き足立った状況は続く。 変わらず健やかな阿呆もいれば、気づけば不治の病を得た善人も。 不条理に、「なんてこった」だが、摂理なのか。 思い残さず亡くなった人々のほうが少数の地上の歴史に、今宵は月光を。

靴ひもを結ぶ・2/都市サバイバル・ノート146

ついに善悪より、 生き延びていけるかどうかか──。 ただただ希望を持つしかない状況下、いつもの絶望できる幅も喪失中だ。 ゆっくりと靴ひもを結び直して、「行ってきます」の挨拶に、思いを幾度も込めてゆく。

パクリと

駅構内の柱に寄り掛かる、人待ち顔の少年。 鞄の中を探り、取り出したものを瞬時に認め、封を切る。 そうして、笑みを浮かべてから、素早く口もとへ。 ごく軽いステップを踏み、アンパンを頬張り始めたのだった。

お菓子な待ち合わせ/娘と・53

商店街で初めて待ち合わせをしたね。 おれを見つけて安心した途端、やっぱり走り出してきたよね。 小さな店には、お前の母親と食すはずのものが待っていた。 選び、予約できたこと自体、甘く大切なお菓子なんだ。

ライク・ア・ローリング・ストーン2011/ラブソング・12

あなたは急いで、どこへ行こうとしているの? わたしは長く、行くところも逃げるところもない、そう思い定めてきたよ。 どこへ行っても今・ここでしかないんだ。 頼むよ、お願いだからさ、慌ててもう転ばないで。

東京ネイティブ/合掌・12

ネイティブ・アメリカン曰く、 「母を売り買いするだろうか。 しかるに、今や母なる大地は売買の対象」。 事態は地続きで推移し、母は換金できないほどに汚染されてしまった…。 無神論者の合掌から始まる朝。

手仕事・1/都市サバイバル・ノート145

今日、地球上のすべての戦が終われば、 4・18以前と以後とでは何もかも変わるのだろうか、 望郷の思いも消えて、心はやわらかく脈打ってくれるのだろうか。 今日も、大切な無力感とともに、手仕事へ向かう。

まるで亡命者のように

長い時間をかけて、別れなければならない関係性もあれば、 毎日、出会い直す関係性もある。 今朝は、ブルーズの名曲が生まれる時代を感じている、残念ながら。 ぼくは誰と、何と、待ち合わせをしていたのだろう?

もっともっと/都市サバイバル・ノート144

探りながら、ゆっくりと確かめる。 いつしか素早く小刻みに動き、ついに、しなる──。 汗は月を映して輝き、地上を照らすだろう。 皮膚から入り込み、口からも吸う音楽の法悦。 もっともっと音楽を、ダンスを。

春の風/野の花チャイルド・6

花々が咲いているのに風。 人生論の誤謬も明らかになった春、 駅のホーム、枯れ木として立つ。 「つくづく寂しいものだな」 強風が吹く中でも花々は咲き出す、そう思い切る。

東京ブギウギ2011/ラブソング・11

夜もやわらかく、あたたかくなってきたね。 気がふれるほどの美しい星空を、眺めていようか。 出合えるよ、街の方角からやってくる、新しい1日の始まりと。 そうさ、おれたちも朝になってしまおう、ふわっとさ。

時には母のいる子のように

テレビを観ていて、もらい泣きした母親。 かつて疎ましく感じたが、今や同じか。 年を重ねて無闇と愛を思い、要は無防備になったのだ、 おれは母親になったのだ。 いつか、母親を産めるまでになれるのだろうか。

東京キッド2011/ラブソング・10

つっかけで外へ飛び出す。 お前は追いついてきて、コートのポケットの中の手に指を絡ませてきた。 何だか口笛でも吹けば、お前は真似をする。 が、音にもなっていない。 切ない明るさが、月の如く胸に住み着く。

東京屠民エレジー2011

怯えや怒り、哀しみで疲弊するグルリ。 呪詛の言葉が発火する。 耐えている、危機意識さえ打ち砕かれて。 懺悔の値打ちもないとは、このことかと。 無名の、噛み締めた唇の傷痕と暮らしている。

野の花チャイルド・5=武蔵野中央公園にて=/都市サバイバル・ノート143

まなざしで、一直線に愛でる。 妖しさや切なさ、不気味さを含めて、美しく咲き乱れる花々を。 地球の甘い吐息が耳元をかすめていく。 花々とわたしのまなざしが交差したときに。 そのときだ、歩き出したのは。

今宵この夜2011/ラブソング・9

行間を読む必要もなく、毎日が底抜けの土壇場状況。 人質感覚は消えない、消えやしないさ。 耐えるばかりで、今夜も最後の晩餐? さてもさて、息が上がることがないよう、あなたと夜空を散歩しよう、あてもなく。

強い想い/ラブソング・8

春、手はまだ、コートのポケットに入れている。 世界は意味ではない、無意味でもない。 今日も拝むことはせず、あなたを尊ぶことに賭けるだろう。 老いた桜の木のかたわら、「どうか、ご無事で」と強く念じながら。

ペスト2011

万死に値する輩が蠢く中、 死ぬなら1回で十分。 名誉回復が未来永劫できぬ様相の中、 朝の大気を吸って、ゆっくりと吐き出すことさえ忘れがちだ。 調査結果は知らぬが、人々の死がこたえることは熟知している。

つい口笛/ラブソング・7

お前の好きな唄が何だったのか、よく思い出せない。 今まで気にしたこともなかった。 何故かは分かっている。 月並みだが、お前が唄そのものだったのだ、 硬質で、甘く、何よりリアルな声を持つ──。

恋する二人2011

春の陽気だ。 ただ、無頓着な2人。 陽だまりで有頂天だもの。 そう、悪くないさ、春そのものになれるだなんて。 春を必要としないほど。

1枚の写真/ラブソング・6

記憶の底から1枚の写真を取り出す。 おれのシャツを羽織り、あたたかい陽射しに目を細めるお前はまだ、若い。 微笑む姿は、到達できぬ地平線を秘めていた。 2人が始まった場所、おれが今、掘り始めた輝く穴蔵。

福島から遠く離れて/都市サバイバル・ノート142/祝福・4

「命が助かったことを、喜べない…」 そう呟いたあなた。 せめて微笑みかけることはできないものか。 互いに祝福し合える方途のかけらでもいい、どこかにないものか。 あなたは、わたしと同じ土の上に立っている。

まずの話が花見/都市サバイバル・ノート141

周囲から邪険にされず、身心まずまず好調、 不思議と希望があり、そこそこ暮らせればいい──。 ただ、窓辺で眺める夕陽にも浮かぬ思い? あなたの清貧へのきれいな思慕が、 どうか自粛に回収されませんように。

「花見の自粛」を自粛/都市サバイバル・ノート140

患者が亡くなっても、「手術は成功した」。 その言葉に周囲は幾重にも苦しみ、悲しむ。 今や不安、いや恐怖を与える安全。 死者が出ても安全なのだろう。 桜に失礼な状況下、あの老木に逢いたい、逢いに行こう。