2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧
健康法に邁進できるのは健康だから。 一方、病があっても行う養生法は命への褒美。 生は春、夏、秋と来て、死という冬で終わる? いや、養生しつつ四季を同時に暮らし、季節の消えた漆黒の宙へ解き放たれるのだ。
身近な障がいというが、実は誰もが今日の、明日の障がい者。 思う、「それに死んでいるほうが長い」。 終末論という敗北の言い逃れはいらない。 ここが終末、晴れわたる空の下の。 今日を、今を、死ぬ、生きる。
月日はふいに雲散霧消だ。 思い出そうとすれば、何故か方向感覚を失ってしまう。 今もここで、強くつよく思うことしかできない? ただ、何の不満があろう。 血を走らせ、熱いコーヒーを飲み始めている臓器の朝。
無神経と闊達は別物だが、この際、問うまい。 ただ、「駄目だっていいよ」とは伝えよう。 人様に必要とされるのなら。 仮にそうでなくても構わない。 ヒューマニズムよりも、存在自体の無事を願っているのだ。
バランスをとろうとして、基点は発生する。 そうか、理解はできないものの、納得できる領域もあるのだと、天を仰ぐ。 死より怖い飢えが身近な国で。 もう1度、踊ろうと、わたしも汗を拭う、水を服す、立ち上がる。
どうしてだろう、裏切ったと感じられないのは。 英雄ではない、何事かを成したのでもない。 転向したにもかかわらず、むしろ惹きつけられる存在。 人を見失わず、独りで共に歩む姿が静かに響いてくるのだった。
家族にも言い難い、薄汚れて卑しい、悪とも言える心。 憎悪に殺意も――。 より怖いのは、単なる指摘に止まる、否認と同じ、衰弱した文脈だ。 ならば、黙って暮らし抜いていく姿勢こそフェア、そう呟いておこうか。
それでも、木々を訪ねよう。 わたしたちにとって親しい、汚された親戚たち――。 あなたを呼ぶ1本の木と出逢えるはずだ。 ゆっくり確かに歩いていき、風と一緒に、1つだけ尋ねよう。 「また来ていいですか?」
子どもたちには見せたくない現実。 が、伝えざるを得ないときも。 戦争はどうか、犯罪は、また革命の名の下の粛清は――。 何をどう伝えていく? わたしは、深く広い場所の声を届けることができているだろうか。
子どもたちと遊んでいたとき、どうした流れか、突然聴かれた。 「戦争って何で起こすの?」 「何故起きるのか」ではなく、主体も明確に織り込まれた問い。 「宿題にさせてよ」 空へ向かい、ボールを蹴り上げた。
不幸や苦労、悲哀続きの人生。 人は最低と言い、本人も行き場のない想いで暮らしている。 いつか、「生きていてよかった」と体感できる、穏やかな風を嗅ぐときの如き契機はないのか。 たとえ錯覚でもいいのだが。
別れたくないから別れを体感する朝もある。 手放さなければ得られぬ残酷。 人と共に暮らそうとすることが美談とされる国で、宇宙の果ての少し先を思う、光る米粒を喰らいながら。 今生を祝福し倒せるか、どうか。
「何だかな」 何が、「何だかな」なのかは分からない。 ただ、ここ最近、口に出てくる言葉だ。 老けた子どものような面持ちで。 ただ、今もあなたのことは忘れていない、皮膚が、背骨が、内臓が感じ続けている。
肩で息をしたり、腰をすえたり、尻に火がついたり。 心には身体が必要だ。 あなたの身体に潜む美しい密林はもう、忘れたが。 いや、木々が生い茂っても想いは眠っているだけ。 目覚めるのは今宵、星々とともに。
遠くから列車の走る音が届けられてくる。 今宵この夜、あなたはやわらかい空気だ。 半歩はんぽの道のりなら、見えてくるだろう。 身心の導火線が湿っていても、出逢うのだ。 夜の産毛を堪能した後の、朝焼けと。
逃げるしかないときがある。 しかも、逃げる姿勢が問われるときが――。 消息を絶つ寂しさも感じるはずだ。 だが、風は、今・ここだけで発生したのではない。 勝つためではない、負けぬために逃げるときがある。
今夜また、お前と逢えるだろうか。 暗く見えない場所で育つ領域もある。 飛び出していったお前と、また逢えるといいのだが。 湿った土地で伸びていくものもある。 いつか逢うお前は、どのように現れるのだろう。
心が静かになる物語を読み始めよう。 が、連続射殺魔や連合赤軍、オウム等もまた、着地していない。 個性的な個人を求めてこなかった。 個体の個別性が発光することに惹かれてきたのだ。 うろついている、いく。
捨て身の戦法で、身も蓋もないわけではない。 上機嫌なら、信じてもいない神仏にもご挨拶さ。 解放、とどのつまりは不届き含みでいくかな。 もっとも、「昼寝はもうやめて、さて夕寝でも」が最善の場合もあるんだ。
「関係ないさ」と言い切りたい。 が、わたしにもできない。 どうしてだろう、スッカラカンなのに。 涙が出ても怒らず、怒っても泣かないと決めようか。 遠い場所の暮らしが昔や明日、今ここと同じと知っている。
生き物と暮らす悦び。 犬に猫、兎に亀、金魚に兜虫、花に盆栽、いっそ鉱物も入れようか。 深く呼吸している姿。 見つめているだけで気分がいい、懐かしい。 暑くとも失いたくない温かみを実感できるのだった。
身体の前で、手のひらを合わせる。 手を立て、後頭部を見せるほど、頭を垂れるときも。 たった、それだけの動作に万感の思いを込められる妙。 「ありがてえもんだな」 編み出してくれた先人たちにも合掌を――。
天候の豹変で窓を開ける機会が増えた。 馬鹿者の如く空の様子をうかがうのだ。 言葉にできない領域を見抜くより、言語化できる世界を確かに届けるほうが大切なときもある。 大雨の直前、窓を閉じ、日和見と呟く。
山頂で空を眺めていたが、あそこも家。 雲が走り感嘆符付きの言葉が飛来した場所も、家だ。 強力な武器もいずれ竹槍になると再確認した身心1つ、ここも家。 では、死は家出? いや、そここそ長く澄み続ける家。
勇ましく呼びかける人に限って消えていく、消されてもいく。 いつものこと、どうしたものか――。 わたしは、信用できない場所で詩歌を、ただ、詩歌を希求していた。 疑わしき朝もやの中で、日差しを待ちながら。
「あっ!」 丸い驚きの声に皆の視線は指さすほうへ。 「虹っ」「にじよね」「ニジニジ」とキャッキャッ騒ぎ出す。 素寒貧だったが、グルリにも明るさが。 ほどなく虹は消えるだろう、後は黙して見つめるばかり。
篤実な方だなと思った。 身体から微笑んだのだ。 彼女は言う、「もう泣かないでと、耳の奥で声がしたの」。 まだ子どもの声だったそうだ。 「おかしいわよね」、一拍置き、「どれぐらい経ったのかしら」と――。
「相変わらずだな、お前の低迷ぶり」「お互い様さ」 苦笑し合う。 「風邪なんか引いたときにゃ、なかなか抜けない」「効用なんかないよな」 酒が回った、2周ほど。 だが、おれたちにも細く狭い道は見えている。
無闇と叩かれるのは、もうごめんだな。 頼んでもいないのに突然現れる広告のこと。 生産手段を持たないからと業界に巣くうのは当然のことだ。 ただ、おれには分からないんだ、戦を生産しては食い、笑えるなんて。
夜の森の中、ランプを消せば、自分の胸元さえ見えなかった。 この国のようだ、そう苦笑を。 唄を口ずさみ、瞼を閉じれば、やはり漆黒の闇だ。 ただ、ほんのりと温かみが。 明るい兆しさえ覚える暗さなのだった。