深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

悪人/彼・36

彼曰く、「笑顔が魅力的な方がいたんだ」。 彼は、ミルクを入れないコーヒーを口に運ぶ。 「決して悪い人じゃないんだよ」 そうして、声を幾分落として、明確に発語した。 「しかしさ、奴はさ、悪人だよ、悪人」

冬前の仕事/身心から・101

疲れたとき。 使える余力を、振り絞る。 そのとき、余力を使いつつ、ためていく方法はないものか。 疲れ果てるのは、いつだって当たり前なのだから。 素寒貧の爽やかさも知ってはいるが、冬前には余力の蓄積だ。

都市歩行術/身体から・100

子どもは暴れ出す。 高齢者は渋滞を作り、若者は小さな画面に向かい、ふいに立ち止まる。 働く人は、つんのめりながら先へ先へと。 視界は乱れ、視点はぶれっぱなし。 身心のリズムで歩くのだ、半歩でいいから。

樅の木は残った?/老道・25

早朝、ズボンをはくとき壁に手をやるときがある。 その前に、さっと起き上がれなくなってきた。 排泄では緩んできた感覚も。 そも、食事中、こぼすようになってしまった。 「はっけよい残った残った」と朝から。

「水浸しじゃねえか」/当世労働者覚書・41

人が増えていけば、問題は発生するもの。 問題は、新しい問題をも招き寄せる。 一方、人が減れば減ったで労働強化に。 深刻な問題がそこかしこに。 病気になることさえできず、仮に患っても病院へも行けず――。

「働け!」/老道・24

「年金だけでは暮らしていけないよ」と幾度聴かされたことか。 資産に貯金、支援がなければやっていけないと。 そも、死ぬまで働かないと暮らしていけない? 今も失うものは鎖のみ。 もやは死んでも働けと――。

「まだまだ眠りたい、眠れる」/彼女・22

「大きくなったらどんな仕事したい?」 「眠る仕事」 「そんなのないよ」と言えば、「誰か、発明してくれないかな」。 「会社で眠って、帰宅後、疲れから眠れるのかなあ」 すると、「大丈夫」と答えるのだった。

ラグビー選手もいいが/水百景・16

プールでときおり逢う婆さん。 追い抜かれて歩き、ジャマにならぬようストレッチをして、稀にゆっくりと泳いでいる。 「たいしたものだぜ」 80歳を超えたと聴いた。 実は、スポーツ選手以上の負荷をかけている?

電車は今朝も/この領土で・318

礼儀や作法も欠落した電車内。 規則さえ身についていないが故に当然か。 いっそ礼儀はエチケット、作法はマナーと伝えれば理解し、ルールとしての規則を守る? 今朝も人心事故。 通勤電車はただただ走っていく。

阿呆三昧/彼・35

戦場――。 一瞬たりとも気が抜けない。 「秒刻みで莫大な消費が可能なんだよな」と彼。 お金が行き付く先の笑顔の連中の心。 「理解不能ではなく、分かりたくない」と呟けば、「それこそ敗北」と怒るのだった。

自問/平成問わず語り・18

自問した。 体験を経験まで深め、奥行きを作ってきたかと。 そうして、考えを成立させて、とらわれず、呼吸のしやすい広場をめざしてきただろうかとも。 まさか暮らしの梃子を手放してしまった? 自問している。

モニターから離れて/情報前線時代・10

望んではいないのかも知れない。 が、特等席に座らされている? 何でも視えているかのよう。 が、単に視ているだけのときが、足早に過ぎてゆく。 ふと、枯れ葉が落ちて来て、手のひらにおさまる情景を夢想する。

悲しき願い2015/姿勢・14

重い世界からの解放という願い。 が、ついに成就はあり得ない。 そこでだ、少しでも軽く暮らすためにも、意地でも跳ねていくこと。 その場その都度だ。 できないときは、引きこもっていくしかないじゃあないか。

「上等だぜ」/月下の貧乏人・45

空っぽだ。 毎度まいど、財布は空っぽさ。 しかも、身心や脳だって空っぽそのもの。 そのくせ、重くておもくて仕方がないったらありゃあしない。 だから、今日も、ゆっくりと静かに深く、椅子に座ってゆくんだ。

食卓を囲み/この領土で・317

兵器を輸出する企業で働く人々。 食卓を囲み、何を話す? そも、積極的平和主義という形容矛盾の文脈が、そこかしこに。 差別は当たり前、貧困もまた。 尽きない想いがあるのなら、語り出すしかないのだ、今も。

根拠へ/唄・55

今、奮い立たせてくれる唄。 が、口からこぼれて来るのは、単なるラブソングばかり。 囚われてしまうなら、愛とは言えない。 それでもなお、ラブソングを歌い、立ち上がっていく。 根拠はそこにしかないからだ。

その場で開始/健康法大全・6

医療費削減には最適の体育施設。 運動で健康になり病気予防? が、閉じ込められ、拷問器具に起源を持つ機器に弄ばれているかのよう。 むしろ空いた公園こそチケットいらずの施設。 その場で即、歩き始められる。

逃げられないぞお/情報前線時代・9

通信機器は今や毛細血管。 身心丸ごと享受しつつ、緻密につかまっている感覚が湧いて来る。 青臭い? そう、現実知らずの、いや、現実を見ようともしない結構毛だらけ、乱れ髪の毛もなく。 逃げるときは失った。

慶賀なり/この領土で・316

身近な方に安心感を与える、開かれた方。 きっと佳きことが何か、静かに伝わっていくだろう。 美しい心を熱く追い求め、かまければ? 心は逆に、薄汚くなっていく場合も。 安心感は関係からわいてくるのである。

次々に予測を/小道へ・6

歩く、歩き続ける中で、歩く。 小道とはいえ、いくつもの道が次々と眼前に。 木の右側か左側かとは考えず、歩く。 身心はたえず選択しているのだった。 癖もあるのだろうが、基準はどうやら快の予測にあるのだ。

素面で暮らす難儀/この領土で・315

分からないことが増え続ける一方だ。 そも、相変わらず戦争が生産されている。 いけないことをすればやめる。 気づかなければやめさせるもの。 が、超消費社会のたどり着いた場所では、空爆で多額のお金が動く。

一億一心だなんて/平成問わず語り・17

強さにはいくつもある。 例えば闘う強さ。 耐え忍ぶ強さも。 優劣はつけられない上に、強さを求めること自体、間違いやすいものだ。 が、日本人の寂しさ、転じて、熱狂する姿に耐え続ける強さは、とても欲しい。

超高齢社会という薬物療法/老道・23

武が文をやり込め続けた歴史。 今も相変わらず地続きのままだ。 腹では、戦いたいという欲望の絶えずの発生。 要は、戦いたくて仕方がないほど欲情している? 萎えるための老化という薬が即、効くといいのだが。

種蒔く人々/地上物語・5

人々は今日もテーブルに。 豪華な食事をとり、実は飢えている。 食べれば食べるほど、飢餓状態へと。 腹は十分に満たされているのだが。 アスファルトを剥がし、ポケットから種を取り出す人々が横切って行った。

弱音を吐ける回復の途上/彼・34

「マシだぜ、疲れただなんて」 彼は、杯を空けてから続けて曰く――。 「辛いのは当然さ。でもさ、弱音を吐けるだけマシになったんだ」 そうして、「すでに立ち上がり始めた言葉だよな」と。 店外には汚れた川。

解いていく/この領土で・314

関係ないと想えども、今も左右両陣営。 世界とやらを意識した国際派に、あくまでもここに固執した土着派も。 いずれにせよ、一途な閉じた党派性には懲り懲り。 国家偏重主義にも。 自ら開かれないで、どうする?

下僕国家/この領土で・313

要は、今もまだ下僕なのである。 改正云々の話ではない。 つまり、娯楽でやり過ごし、下を視ては安心、本来自分の分け前なのに喜んでいただく在り様。 正確な位置を見抜けないまま。 「下僕からの解放」と呟く。

軍隊という重い手荷物/この領土で・312

軍隊への自由に軍隊からの自由? そも、軍隊と自由とは相反するもの。 何も守ってくれないことは、明々白々たる事実。 あれば安全というが、自国民を轢き殺した戦車も。 手ぶらがいいさ、倒れるとき手を出せる。

顔を照らすもの/老道・22

あえて愉しみを求めなくともいいのかも知れない。 ほら、浮かんでいるものがあるよ。 愉しみはときに濁るものだ。 ほら、心地よさそうに輝いているよ。 寝た切りであっても、月光を浴びることはできるのだった。

自分でできる幸/老道・21

美味しいものでなくてもいい。 自分で食べられるのならいいのだと。 入浴や排便もまた自分でできる悦び。 ご高齢の方からよく聴く話だ。 自分を生かしてくれる技術を、自分でできることが幸せだというのである。