深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ご馳走様=先輩の前となれば=/還暦百番勝負・9

「還暦なんだからさ」 先輩がたしなめて来た。 「事を荒立てず、粛々と進めればいいんだよ」 「そうだなあ」と実感、同時に、「いや」とも内心で。 「相変わらずだな」の見透かした声に頭を下げる、苦笑いの夜。

顔・4/還暦百番勝負・8

確かに、「泣くから哀しく、笑うから楽しい」ときも。 ただ、鏡を前に笑う練習? 笑顔の底に泣き顔が映っていないかな。 泣き顔が一瞬にして笑顔に変わる子どもたち。 そのとき何が起きたのかを想っているんだ。

走り抜ける/彼・6

やさしさそのものだったが、人々は誤解していた。 親しげには近寄って来なかったからだ。 彼は、孤独に耐えなかった。 むしろ、堪能していたのだ。 馬として生を得た彼の日々は、草原を走り抜けることにあった。

歩く・13/還暦百番勝負・7

毎夏、『森の生活』を書いたソローの朝に想いを馳せる。 確か、湖で泳いで1日を始めたのではなかったか。 湖が水の森なら、森は木々の湖。 近隣に森はない。 「せめて」と、公園の木々の親戚として歩いている。

憎悪ではなく/還暦百番勝負・6

知らぬ人と同じ事態に対して怒る。 結果、親しみが湧くことも。 肚は熱く、些細なことで呵々大笑さえ。 だからだ、韜晦や衒いもなく、開かれた静かな怒りが光るのは。 内側で拡充し、外側へ飛び出してゆくのだ。

祝福・9/還暦百番勝負・5

祝福しようじゃないか。 朝陽が昇るよ、西からではないが。 親も知らぬお尻のホクロも喜んでいるさ。 何故、自由になろうとしないのか不思議だが、とにかく今日が始まったんだ。 な、祝福し合おうじゃあないか。

飛び降りた人たち/この領土で・261

人生最後の1歩手前、「しまった」と体感したとする。 が、半歩手前がある。 仮になくとも、死ぬ瞬間、脳内には快感物質が出るとか。 出なくともいい。 仕打ちを超えた死という慈悲が待っていてくれるのだもの。

今も火だ/野の花チャイルド・21

花々と暮らす。 色や香り、姿が一体となり、愛でる者を通じ拡がっていく。 夏空の下、花々は響き渡っていくのだ。 風に吹かれれば、空気に染み入るかのように揺れている。 火が灯された静かな瞬間の連続の如し。

第百階級2013/還暦百番勝負・4

虚像や幻想などは求めていない。 井の中の蛙で十分? いや、満足していない、できるわけもない。 単に関係を作ることができないだけなのに、一匹狼を気取ることができれば幸いか。 そう揶揄し、焼けた道にいた。

描き続けている/還暦百番勝負・3

どこが、だるいのか。 仔細に感じていこうとすると分からない。 呼吸は体感しているが、どういうことなのか? 「病気や健康は関係ないよ」と言ってみたい。 ただ、その場所がどこなのかは、今も地図を描写中だ。

真夏の露天風呂/還暦百番勝負・2

露天風呂に入ると、落ち着くものだ。 軽くうなり、湯に入っていく人々。 そうして、肩までつかり、大きく息を吐く。 リラックスの要諦の呼吸法か。 沈黙を守り、感じているのだ、まだ言葉にはしていない快汗を。

疲れた身体に浮かぶもの/美味しい水2013・2

川や湖、海からあがってきた人。 獲物を手にしているわけではない。 単に水と戯れただけである。 が、一様に、ひと仕事、終えた顔つきだ。 つい今しがたまで自らが水に浮かんでいた如く、口元には微笑を浮かべ。

路上2013/還暦百番勝負・1

暑いあつい昼下がり、路上でふと、立ち止まった。 振り向けば、振り返る人の視線と出逢う。 お互い、瞬時にキョトンと。 見ず知らずの、老い始め同士だった。 2人は、軽く頭を下げて目礼、また歩き出していく。

働いているときの過ごし方/還暦十番勝負・10

労働の現場にいれば、そりゃあ怪しいことも仕出かすさ。 ただ、もう働き続けるしかないとしたら? せめて求め続ける。 微笑めることを。 大量殺戮した後、美しい音楽に酔ったナチスと異なる場所を発見するのだ。

反駁されたときの過ごし方/還暦十番勝負・9

じき還暦だ。 「それがどうした」と問われれば再び、「還暦だぜ」と。 「ボケたか」と笑われれば、ひと呼吸入れる。 そうして、こうだ。 「自らの認知症に悩みつつ、家族の介護で身を削る方々に言える言葉か?」

物に囲まれているときの過ごし方/還暦十番勝負・8

出かける前、部屋の中を眺めた。 引っ越してきて以降、随分と使わない物に囲まれてしまったなと。 が、特にどうということもない。 気にしたら、果てがないからか。 眺めのいい場所へ出かけるほうが肝心だった。

忘れたときの過ごし方/還暦十番勝負・7

忘れない、今や通路も求めていると。 ときに通路への通路も希求している。 忘却の推進はいつもの手だ。 発見しよう、通路を、探し出そう、広場に出る通路を。 忘れない、広場はおろか、通路さえ消されたことを。

執着したときの過ごし方/還暦十番勝負・6

瞑想は究極の解放への道という。 ならば、今生への執着は? 自慢できる人生ではないが、捨て難い。 いっそ、執着して平気な場所へたどり着けたのなら? そのとき、執着からは少し解放の匂いが漂ってくるだろう。

戦車を幻視したときの過ごし方/還暦十番勝負・5

子どもたちが通学路を行く。 ふと、「理想は足下を見失わせるな」と。 が、あったが故に、現実で人殺しをしなくて済んだのだ。 今後、分かち合うのは互いの我慢? 通学路が、いつまでも通学路でありますように。

触れていく/言葉・58

言葉自体に良い悪いはない。 ただ、相変わらず表現の自由は心もとない。 いっそ自由の表現に点火か。 少し触れれば熱が伝わる言葉。 厳密に断定できずとも、言葉の自由1つ2つで、足取りが軽くなるときはある。

夏の朝の過ごし方/還暦十番勝負・4

洗顔して目覚めていく。 いちいち意味付与はしなくとも、動くことができる習慣の妙。 大切な内臓感覚も目覚めさせていく。 束の間、目を閉じて座り、呼吸へと向かうのだ。 酷暑にも応じ始める身心の芯という杖。

いつもの過ごし方/還暦十番勝負・3

「お前はどんな奴だ?」と問われれば、即答する。 「おれは気楽な奴だよ」と。 たいていのことはオッケーさ。 ただし、自分勝手に負担をかけてくる輩は苦手、おまけに金はない。 将来もないが、爆笑はしている。

図書館で突然、音色を聴いた/この領土で・260

「こんにちは」 音のような声、声のような音。 振り向くと、知らない幼子が挨拶の励行を教えられたのだろう、微笑む。 今夜には忘れるだろうが、応えた、「とってもこんにちは」。 苦笑し、目礼をする背後の母親。

夏の夏/プール絶景・10

暑い、とてもとても、とってもさ。 天は阿呆の如く青く、木々は揺れているが熱風、文庫本の活字が目に痛い。 眼前にはプール。 足先から冷やしていく。 首にさすのは痛い陽射し、ついには一気に水中の人となる。

夏の快汗/マザーネイチャー・8

つないでいる手。 道を歩くとき、階段を上るとき、橋を渡るときに。 が、手はいつしか離れて、独り、歩き出すときが。 自然に訊ねたい、どうしたいのと。 汗を流して自然を訪ねたい、自然には歌ってほしいのだ。

壊れものの過ごし方/還暦十番勝負・2

人は等しく壊れものへの道を歩む。 ときに目を逸らし、向き合って来た。 が、正面から睨む齢を迎える。 再生できない途上は、絶望に終わらぬ拡がりも持つ。 生きている間は死を受容しない歩みが、あってもいい。

休日の過ごし方/還暦十番勝負・1

「生に意味がなくてもいいんだ」 そうした解放へ向かう考え方があってもいい。 死んだら意味もへったくれもないのだもの。 そも、死は生の側にあり、死んだら死はない。 今は骨まで愛してならぬ、骨まで休めて。

夏の蟻/歩く・12

リラックスが大事という。 ただ、つい力が入ってしまうときが。 しなびたまま、だれているだけの場合さえ。 リラックスするにも充実が源? 夏空の下、草木で覆われ狭くなった道を、いっそサバサバと歩いてゆく。

無神論者の居場所/この領土で・259

大切なことは、いつも観念? 神や仏に始まり、自由や平等、博愛。 平和や正義も顔見せだ。 比べ、差異化していくしかない言葉の行進。 降りることはできないというが、「えっ、そうなの?」と砕け、呆けていく。

遠くまで行くんだ2013/この領土で・258

よくよく観れば、無法地帯。 が、地帯はなくなる様相だ。 結果、無法もなくなるといった戦法なのか? 涙より広くて、感動より深く、笑いより遠い場所へ行くのだ。 1人の食卓で、夜の果実に、かじりついていく。