深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

幸福論・3/遺志を感じるとき

ほんの少し前のこと、多くの方々が戦争で亡くなられた。 被害・加害、渾然一体の中で。 私は、また出かけよう。 本来いらぬが、手を合わせたいが故にある墓へと。 見知らぬ親族も眠る、石の温もりに触れるため。

幸福論・2/雑感

万が一、グルリに役立てば嬉しいが、 生きた証は決して求めていない。

幸福論・1/ついに娘ネタ・5

散歩の途上、娘が話しかけてくる。 軽蔑や憎悪、高慢や恐怖など、微塵も介在しない親和性。 私は黙したまま、 「些細なことを楽しく感じられる力があれば十二分」と体感、 2人で歩き続けることにした。

人間磁石

損得勘定ばかりのご時世に、 すばしっこくて頭脳明晰、そのくせ何やら鈍な輩にそそのかされ、 正直者はやっぱり馬鹿をみている。 そうして、隣人に気づく、同じ匂いのする。 何よりさ。

仏壇に線香

今日もまた、 かけがえのない 普通の1日でありますように。

詩人の位相/言葉・11

詩人は輝く盗人。 その証拠に、 「命を革める革命」(注1)の契機を奪われてもなお、 「夢見る力」(注2)を回復させようと、 妖しく光る垂直的言説で、 人心を奪う者さえいる。

土2009

土地ではなく、土に惹かれる。 都合のいい普遍はないが、 土と暮らすことを自ら望み、 身心も静かに耕してきた人々が皆、 似た表情なのは何故? 思い立ち、狭い畑でスコップを握る早朝、 鳥が飛び立つ。

拝啓 総理大臣・大統領殿/戦争の生産中止を願う

最高に効率のよい最低の消費行動、戦争。 それより儲かるアイデアはないのかな。 失業対策にもなってきた兵器と暮らす職業。 それより確かなシステムはないのかな。 ただでさえ、老後のゆとりなど描けない中で。

壁は語る2009・3

壁よ、 「禁止することを禁止する」と語る前に、 「決めることを決めるな」と語れ。

少食でも食べ過ぎ

空腹なときもあったが、 この56年間、 十分食べてきた。 今や食は細くなっている。 とはいえ、今後もまた、食べていく。

『イデオロギーとしての英会話』2009

ファック・ユー? カタカナ語に逃げず、言葉は適切に使いましょう。 「糞ったれ」、ないしは「テメエ、ぶっ殺すぞ」ではいかがでしょう。 えっ、リストラ? 首切り、いや「人殺し!」と、腹からの大声でどうぞ。

わが家の、大地の承認/3口

世界への出口であり、 家族への入口でもある食卓。 時に独りへの窓口ともなり、 燗をつける。

単純で大切な歴史認識

身心の健康・安全を守る術を十全に体得しても、 結局のところ、 社会・環境に左右されてしまうものだ。

ある中毒患者の弁・1/人生万歳・2

「失って初めて気づく大切なもの」という文脈は常。 ただ、体力の衰えには愕然とする。 やはり、私という肉を腐らせ、私を食中毒、いや自家中毒にさせぬよう、 歩き中毒、つまりはアル中として酒とつき合うか。

いけね、俺も墓参り、行かなきゃ/人生万歳・1/合掌4

癌と告知され、主治医の前で思わず、 「ガ〜ン」ともらした母親の アサハカな夜は老けゆく。 今はもう合掌、誰もいない海。 まっ、母ちゃん、1杯やっか?

長野から日本、アジアへ/日本の運動・1

長野の長命化の源にはヴ・ナロード(人民の中へ)の精神がある。 蒙を啓く運動であるにも関わらず、耳を塞ぎ、目を瞑り、口を閉ざす人々を責めてはいない。 医療従事者たちは、共に生きようとしただけなのだ。

剥き出し/祝福・3

加齢とともにろくなこたあない。 同世代同様、死は身近となるばかりで、 周囲には介護に認知症、リストラが続く。 が、不条理こそ人生、 朝からしっかり食べ、暮らしていくだけ。 祝福の術は手中にこそある。

オヤジも冷や水

子どもは春、若者は夏、中年は秋、高齢者は冬を生きているという。 ただ、秋に半袖1枚で過ごせる日もあれば、 冬の山頂で夏と同じ汗を拭うことも可能だ。 1日を通じて四季を体感することも、もちろん。

笑人=人は笑う・笑いは人=

共に喜び、怒り、哀しんだ人々より、 他愛なきことでさえゲラゲラ笑い合えた奴らのほうが、 深いかどうかは分からぬが、結果的に長いつき合いとなっている。 私の関係性の故郷。 故郷は消せない、なくならない。

秋を味わう/とんでもない世の中だ2009

私が生まれてから、つい今しがたまで、 とんでもない世の中ばかりだったという。 笑みがこぼれた日々でさえ。 そうだ、茄子を食べよう。 失うわけにはいかぬ食卓で過ごしやすき気候は薬味。 秋を生きる。

肥大の秋

酒席で、「食欲と空腹は違うぜ」と言いかけ、 果たして今の俺はどちらかと黙り込む。 酔うほどに腹十分は肥大化し、ついには不明に。 当然、腹八分は無効となる。 窓の外、秋の夜空には欠けた月──。

同性愛カップルの会話

「人は所帯を持ち時間をかけて恋心を失っていくんだな」「で?」 「家族愛、否、人類愛に目覚めるんだ」「単なる隣人愛だろうが」 「そっかあ」「今は俺たちがまだ、異性愛と近似の執着で暮らしていて残念なだけさ」

言葉の通り魔へ・3

排他性に満ちた辛気臭い言葉。 全能感・多幸感に囚われ、飛び出てきたのだろう。 何様か、認めて欲しいことを陰湿に隠す自家撞着。 もう出て行こう、獣たちが眠る前の森へと。 1杯の熱いお茶を呑むために。

雨漏り

大人たちの狼狽をよそに、 雨漏りが奏でるリズムにあわせて、 子どもたちは手を叩き、歌い、踊ることができるんだ。

遠い秋の記憶

校庭で私を見つけた顔見知り。 血相を変え、走ってきた。不吉な予感も走る。 目の前で息を整え、彼は言う。「夏休み、終わっちゃったね」 手元のボールを手渡す。キャッチボールを始めた。 友達と。

21世紀暮らし

わららが狂喜の、 「体験の体験化・体験の情報化・情報の体験化・情報の情報化」が問われる世紀の、 生き延びる道を教えよ。

朝日のあたらない場所/身体から・29

人の前腕内側中央あたりは、 生涯にわたって日が当たりにくいとか。 だからこそ、子ども時代の皮膚を多少なりとも保てるそうな。 その場所を空と交互に眺めれば、 日当たり悪きことの効用に思い至って愉快なり。

別れのサンバ2009/水百景・8

深夜、家路を急ぐ。 雨が降り出していた。 少し、そう、ほんの少しだけ雨が降り出していた。 顔にはやわらかく水滴が積もっていく。 秋の来訪を告げる夏が、「あばよ」と。 私は、「またな」と自転車を降りる。

老道・2

戦禍で暮らす子どもたちのため、 家族にも知らせず、 貯金通帳をそっと差し出す、ご高齢の方々がいらっしゃる。 「私には先がない」と。 脳裏に餓死する姿が浮かぶが、 「構いはしない、私はもう生きた」と。

崖っぷち系

不治の病、金欠病。 毎度毎度のお馴染みさんらしい。 特効薬はあるにはあるようだが、とんと見かけない。 今や症状の進行を見守るばかりか。 って、おいおい、単に俺のことかあ。