深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

水が流れ、わたしたちは子どもとして産まれ直した/平成問わず語り・4

かつて何人かで廃屋を借りていた。 家賃1人当たり月5百円。 手入れを終えたとき、外観は変わらずとも家の産声を確かに聴いた。 そうして、水を引きに山中へ。 蛇口をひねり水が出たとき、明らかな歓声が――。

人が去った後の絶景/この領土で・243

廃屋や朽ち果てた民間アパートに惹かれてきた。 どれほど経つだろう。 貧しいと世間が眩しくて、目はつぶれる。 そうした折、人の去った情景がゆっくりと沁みて来るのだ。 結果、視力は回復、立ち上がっていく。

忘却/身体から・76

忘れてゆく、どんどん、そう、どんどん。 そのくせ、今が十全というわけでもないあたりが、なになのかと。 実に、なになのか。 胡坐をかき、窓の外を眺めれば曇天といった按配。 だが、手を打ったわけではない。

口ごもりながら/この領土で・242

百年後の子どもたちのほうが、学ぶ量は確実に増えている。 このことの意味は何か。 現代人は学ぶ対象に値しないようであるが。 今も海や山は眩しい。 学ぶ必要がない暮らしというヴィジョンもあっていいだろう。

当座の想い/当世労働者覚書・20

缶カラが路上に捨てられていた。 製造元で働いていたら拾ったろうか。 メールしつつ歩く人も増えた。 メーカーにいたとして、悲しんだろうか。 電力会社の勤労者だったら、皆は声をかけてくれるのだろうかとも。

ほら、まだまだだよ/言葉・57

大それたことが言いたいのではない。 自分にとって大切なことを記していくばかりだ。 あなたが無事で、佳き今日を迎えられるための言葉。 基本は想いだ。 視える言葉が立ち上がってきて欲しいばかりなのだった。

気分はもう、キンブルなリチャード/唄・25

遠くから唄が聴こえて来たような、そうでないような。 すると涙が突然出てきていた。 鎧が解け、無防備になったから? 裸になる強さは知っていたが、困惑するばかり也。 必要もなく、隠れ場所を探す街の中――。

午後3時に/老道・8

道端で爺さんと目が合う。 「あんた、寄ってくかい?」 平仮名で呼びかけられた。 即、「はい」と、わたしに一番近いわたしの口元から。 爺さんは腰を伸ばし、店を開け、目の前のコップになみなみと注ぎ始める。

共に喰らっている/この領土で・241

カラスを観察中の友人が、巣作りについて伝えてきた。 その営みに胸が締め付けられたようだ。 健気に見え、生存を賭していたと。 カラスも人も不吉な存在。 いや、カラスの子を守る自衛のほうが、実に眩しいと。

都市の一角で/身体から・75

ゆったりと歩く人がいた。 追い抜こうとする人も。 が、順番は変わらない。 よくよく見れば、ゆとりを感じさせる効率的歩行と、息せき切っているだけの非効率的歩行。 ふいに、「自由な身振りに自由は存す」と。

今日を今日に蒔く/都市サバイバル・ノート241

息を吸い終えるときまでに、大切な心をどれほど育てることができるだろう。 自分の記憶は外側にもある。 まず耕していくのだ。 明日、寛ぐ人がいるのだから、今いる場所は汚すまい。 今日は今日の種を蒔きつつ。

無事へ/都市サバイバル・ノート240

闘う際の原則は、逃げ道の確認・確保からとは何度でも。 勝つためではなく、負けないためにだ。 正体をなくすまで、やられることはない。 背伸びをして遠くまで見渡す。 這いつくばって道のりを見定めてもいく。

みんな夢の中2013/この領土で・240

「流された家が、そのまま棺桶さ」 どう応じていいのか、逡巡。 すると、「あはは」と笑われ、「あんた、いい人だね」。 顔を上げて、即否定、「単なる阿呆ですよ」と。 手を合わせた仮設仏壇には笑顔の人――。

今・ここという極北/身体から・74

宇宙には暦がない。 方角や笑い声もまた。 ただ、今日は月曜日、西へ東へと動き回る暑い1日だ。 自らの卑小さ、臆病ぶり、脆弱さを見詰めていこう。 そこに依拠して、どこまで行くことができるかが、肝の心だ。

やり過ごすことの効用/月下の貧乏人・18

人は、生き難いとき何を支えにするの? まず、お金が必要だ。 視野広く見渡し、バランス感覚を杖に移動も。 そうした前提を了解しつつ、つい、「ふざけろ」と浅い呼吸に。 ときに、やり過ごしながら、月の下へ。

今日も今日とて/ウロツキスト・5

興趣に富む悲哀なら、まだひと息つける。 薄氷を踏む想いで、実は水浸しの中だ。 進んでいるのではなく、単に大渋滞か。 故事を超えていく? いや、失った後にも失っていくのだ、失わずに済む暮らしを求めつつ。

唄・24/当世労働者覚書・19

疎ましい雨がまた、降り出したね。 美しさが哀しさに転じるときの、哀しい美しさが滲むよ。 馴染めない苦役としての労働? いや、労働は今も苦そのもの。 厭きる程度の楽しみは雨に流して、声を浴びていこうか。

呟いていく/言葉・56

事実を指摘しただけで発言した気になるなんて。 半歩先も語っていないのに。 共感できないのは、共生できないと分かってしまったから。 道しるべとなる言葉を。 生き延びていく、共生へ向けた共感からの言葉で。

「あきらかに違う」/この領土で・239

戦後、焼け野原で立ち尽くした方が言う。 「東日本大震災後とでは明確に違う」 そう呟き、「放射能が怖くない明日があった」と。 彼はゆっくり席を立つ。 ひと息つくため、「お茶を入れましょう」と足下を見る。

森の生活2013・3/都市サバイバル・ノート239

やはり森だ。 絵画や写真で決まって惹きつけられる題材は。 実は不気味だが、心が豊かになっていく切り取られた森。 静謐で賑やか、薄暗くて明るく拡がっている。 もう気づいている、現実の森に今、呼ばれたと。

いやな感じ2013/この領土で・238

戦争は鬼の如き容貌でやって来るわけではない。 親しげに寄って来るのだ。 自由・平等・博愛をもたらすと喧伝しつつ。 気づけば渦中の人となり、夏でも震えて飢え、血まみれに。 拳を隠し、強く握り締めている。

わたしにも夢がある・2/この領土で・108

生きている間に観たいシーンがある。 叶わぬとは知っているのだが。 だからか、幾度も脳髄で想い描いてきた。 なに、他愛ないことだ。 陽射しの下、人々が集まり死者と穏やかに語らっている、それだけなのだが。

ヴィジョンへ半歩/呼吸・43

呼吸がしやすくなる暮らしはつかめるのか? 言い難いことだが、記しておく。 「何も残らないことに微笑めるヴィジョンがあってもいい」と。 毎朝、快適に目覚めるのに必要なものは? 実は、そう多くはないのだ。

月がとっても赤いから/この領土で・107

酩酊の夜中、車は走っておらず、人もいない。 赤信号がポツネンと。 「奇妙な花が宙で咲いているな」と。 「砂漠の信号でも待つだろうか」とも。 その後だ、水たまりに映る赤が月に被る様子に見惚れていたのは。

2013年6月6日朝/合掌・42

子どもの泣き声と犬の哀しい目、遠くからの金切り声。 もう出遭いたくはない。 退屈な平穏は、かけがえがないものだ。 忍耐の結果ではない。 教えられた記憶はないが、何故か朝に手のひらを自然と合わせている。

裸族/裸足で行こう・4

生きることが下手だと大変だ。 が、単純に諦めるしかない。 巧みになれば必ず臭う身振りがないだけマシだと。 のぼりつめる人は技巧を捨てることに腐心するものだ。 いつでも、どこでも脱ぎ始められるのである。

地球に着地する日々/老道・7

昔ながらの民間アパート2階のドアが開く。 爺さんが出てきた。 目の前には、急な階段。 手すりにつかまり、1歩、また1歩と下りてくる。 地面に着地して、ため息を吐きつつ、天を見上げて、もう1つため息を。

満足できない2013/幸福論・11

暮らしていくだけで何が悪かろう。 それでいいんじゃあないのか。 疎ましきは幸福至上主義に幸福ファシズム、幸福症候群。 不幸だろうが、勝てなかろうが構わない。 負けない暮らしを送っていけるのなら十二分。海女(あま)のいる風景作者: 大崎映晋出版社/メ…

平成のラスコールニコフへ/都市サバイバル・ノート237

現実の前でなく、渦に揉まれる、現実の自分・自分の現実。 大地にしっかりと足をつける? 足下は揺れ続けたままだよ。 慌て散らかして右往左往さ。 落ち着き払うことができない場所からの半歩が、互いの1歩へ。

生かされていない、つまり生きていない/都市サバイバル・ノート236

体験からの教訓が活かされないのは有史以来? 経験まで止揚したとしてどうか。 伝わらない上に無視さえされている。 暑くなってきても、朝、湯を沸かすことに変わりはないのだが。 今朝も古の人々と話している。