深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

経済の敗戦国に暮らして・1/都市サバイバル・ノート82

銀行の銀行による銀行のための人質生活――。 ついに分からないさ、国家が人を殺す道義なんて。 分かっているよ、「分かりたくない」と思っていることを。 敗北も明確に示さなければ、何も継承されていかない。

夢の吉祥寺2010

目論見が外れた母は言う。 「欲しがっていた自転車、ごめんね」 子は察して頷き、それでも駅前の電飾は観ようと歩きだす。 共にいるだけで満足だと、互いに伝わるには少し時間が必要だ。 つい昨夜のことだから。

原っぱで火を凝視する/都市サバイバル・ノート81/合掌・7

電車内を移動するほど忙しくはないが、 立ち喰い蕎麦屋の美味いところならいくつか知っている。 たまには、炭火をチロチロと燃やすか。 そうして、勇んで焼く肉片に喰らいつくのだ。 屈託も灰とし、合掌しつつも。

公然と透明人間

ウェブ上で全裸の男女が交わる。 知己にも発見してもらえぬ、顔を持つ顔がない文脈──。 仕事後は各々の住居へ。 地域崩壊を証明する行為は、公然と空虚に激しく続く。 俺は子どもたちの手を握り締めているか。

冬・風・出立

殺されるのが嫌だから殺すだなんて…。 突風・北風・寒風。 「信用できない」と退路をたち、呟くのだとしたら、その言葉を信用するさ。 ゲップとしての言説ばかりでは、耳元で愛を歌えなくなってしまうから。

3つの出来事から呑気で元気

絶望が救いのときもある。絶望できる幅に気づいたとき。 高齢者には子どもの記憶力が超能力、子どもには高齢者の包み込む力が。 いっそ死ぬ前に笑うための稽古でも。訓練でなく。 さて、気の元へ、気を呑みつつ。

そうだ、脳元気でいこう

断言が心の怠惰を証明しているときがある。 そも、威圧・威嚇の罠。 いっそ元気という規律、いや礼節こそをと言い切ろうか。 身体の明晰さにも出会うのだ、何度でも。 自由の唄もいいが、自由に歌ってゆくのだ。

そうだ、井の頭動物園へ行こう

街角のモニターには戦禍の映像。 そこに、流れてきた恋唄がかぶさる。 ふと、動物園へ歩を進める。 あくびをする平和の証を眺めようかと。 ベンチではお茶を飲む家族連れ。 漂う香りと老いた象にも目を細める。

いつかまた

暗く哀しげだが、透き通る眼で、まっすぐに見つめてきたお前。 実は俺を突き抜け、遠くを見据えていた。 伝言さえ残さず、消息をたったな。 「なあ、元気か?」 舗道で今でも、振り返ることがある。

希望を、ただ希望を・1

草の根グローバリズムが徘徊中だ、剥き出しの。 必要なのは、今も生き延びる方途。 寂しき皮肉屋にかまけている暇はない。 希望の、たとえ破片といえどもひっかき集め、キラキラさせてゆくんだ。

フォー・エバー・ヤング2010/娘と・38

お前が刺されませんように。 軽蔑されてもいいが、哀しみを振り撒きませんように。 たった1人でいい、寄り添える人と出会えますように。 暮らしに抱きしめられ、何より愛することが日々の仕事となりますように。

後6週間

とにもかくにも暮らしてきて、 12月31日から1月1日になった途端、気分は一新。 あれはいい、実に。 今年も初っぱなに体感したあの気分を、 後6週間という慌ただしい時期のどこかで、 少し味わい直してみる。

アイ・シャル・ビー・リリースト2010

抱いたか、抱かれたかは判然とせぬまま、 朝に向かい薄く目覚めていた。 お前が出ていくとき、俺が何をすべきか判断できず、 ましてや冬の到来が災いかどうか、不明のまま。 朝日は昇り始めていた、ゆっくりと。

謝罪/自転車にのって2010・4

飛び出してきた自転車に衝突! 相手は短い茶髪、この時期の短パン、眉毛は剃っていた。 「気イつけろっ」 すると、青年は思いがけぬ謝罪の反応を。 「ごめんなさい」 嬉しい裏切りに、「大丈夫か?」と思わず。

ご挨拶2010

「ちはっす」 ベンチで靴ひもを結ぶおばちゃんに声をかけた。 届かず、続いては大声を出す。 すると顔を上げて、「どもね」と笑顔。 背後には、友人なのだろう、2度目の深々としたお辞儀をする初対面の婆さん。

ここにいるよ/ついに娘ネタ・11

娘は、わたしに気づかず、 目の前を、跳ねながら通り過ぎてゆく。 本来はいない時間に、紅葉を眺めるため、 広場のベンチに腰を下ろしていたのだ。 心とは何か、断定できないが、 確かに感じていた、その存在。

『ヘルプマン』や『岳』、あるいは

帰路の電車でマンガ本を読み始めた。 ついとこみ上げてくるものが。 涙腺は緩み、「やべっ」。 眼前にはおっさんのギョッとした顔。 しばし耐えたが、なあに、構うものか。 涙顔になってみるさ、晴れた心だぜ。

愛について/娘と・37

寄り添うなら静かに、媚びるなら柔らかく。 ポップな重力や新鮮な成熟、拡がる密度や穏やかに跳ねる情感を、 軽やかに、あくまでもステップを踏むが如く。 温かく開放的、鮮やかな気持ちも、胸に宿らせていこうか。

野の花チャイルド・4

同じ名を付けられた野の花もまた、1つとして同じ色・形のものはない。 そのことにあらためて気付く朝だった。 遠い昔に蹴った缶がたった今、落下して立てる音を聴くのにも似た感覚――。 まだまだやっていくさ。

プライドについて/娘と・36

自分の愚劣・卑劣を見つめて、明らかにすること。 「すべてを公然とせよ」さ。 恥そのものとして、這っていくしかないんだ。 結果、自恃が生まれるのだろうし、 そも、自恃があるのなら、きっとできるはずだよ。

迷走者

暮らしと呼ばれる小さな事故が押し寄せる日々に、決定的遊泳術はない。 そう知りつつ、雨の日、「積極的判断停止・瞑想」とメモをした。 「人様の財布に手を伸ばす執着は、とうに消えた」と、確かに感じながら。

手紙2010・2

ウェブ上の検索の手軽さと、読み込むしぶとさとは違う。 単なる弱さと、弱くあり続けることもまた。 ただ、善し悪しを言っても意味はない。 わたしは、昔、届いた読み終えるつもりのない手紙を、捨てないだけだ。

冬の前に/言葉・21

たった一言で興ざめさせてしまうことがある。 思い出す、暗くて寒く、ときに痛い季節の前、 銀杏の葉が舗道を照らし出すことを。 先人からの贈り物の言葉もまた、 足下を明るくするように、降り積もらせるのだ。

わたしも、ラジオのボリュームを上げた

ラジオから唄が流れてきていた。 遠くで暮らす方が、身近に感じられていく。 哀しい暮らしが、暮らしの哀しさも体感させる唄。 リクエストした方と同じ食卓につき、挨拶も抜きで、親しく話し始めていた。

亡き同時代人と暮らしてゆく/呼吸・21

忽然と蘇ったベンヤミンの言葉。 「夜の中を歩み通すとき、助けになるのは橋や翼ではなく、友の足音だ」 希望を開示せず、批判に止まる言説は御免だ。 友の足音を聴き逃すまいと、呼吸を重ねている、重ねてゆく。

自慢について/娘と・35

無知で傲慢、不服従の汚れ好きに問題はない。 ただ、目立たぬことさ。 愛さえ迷惑がられているご時世だもの。 革命ごっこならぬ権力ごっこの自家撞着が闊歩中さ。 単なる暮らしを自慢できるようになるといいね。

いつまでも初心者

いつまでも生きる上でのアマチュア。 今は、あえて身心を使ったほうがいい老いの初心者か。 鮮烈ではない初体験、新鮮な追体験。 身心を長く運転してきたが、やはり玄人にはなれない。 勘は少しあるようなのだが。

秋の山道を想う

リンゴの落下を認識する前にも、リンゴは落ち続けていた。 光と渦。 歴史上の事実にしろ、順番に解明されてきたわけではない。 浮遊と重力。 歩き続けたい秋の山道、その香ばしい光景は今も必要なのだ、わたし。

永遠のアイドル

花を手にする顔見知りの爺さん。 「ネクタイもしちゃって、何だか物騒だね」 すると照れて、小さく笑い、「俺にも墓参りする相手はいるんだよ」。 別れて、眺めていれば、正装の爺さんたちが集合中――。 えっ?

触れることについて/娘と・34

好き嫌いの前に相手を感じるようにしてごらん。 まず相手を丁寧に触ってみるんだ。 屈託や元気の源など、いろいろ感じるよね。 好き嫌いは遠くへ行くだろう? かけがえのなさに出会った証、そこが出発点なんだ。