深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

アートな・1/表現=運動=生活・2

いやはや素晴らしい作品の徹底的くだらなさだ。 美しくて訴えて来るものがあり、感銘さえする。 が、ついに関係がないのだ。 歩行とも、排泄とも、病とも、ましてや現在とも。 今、そこにある遠いマネーの如く。

下り坂で/身体から・103

年をとれば、下り坂をいかに下りて行くかが肝心との言。 「そうかもなあ」 が、実際のところ、下り坂に差し掛かり、まだ上る場合だってある。 山に入る人なら分かるはずだ。 比喩としての山は現実の場合もある。

「浮かんでいるなあ」/月下の貧乏人・46

愉しみなんかなくてもいい。 まずの話、とにかくだ、暮らしていこう。 静かに心へ届く月が浮かんでいるだけで、十二分じゃあないのか。 もっとも寒いのはごめんだ。 踏み潰すように押し寄せて来るものも、また。

叫び声を聴いた/路上2015・1

ふいに耳をつんざく声が。 実は子どもが泣き叫んでいたのだ。 「ママ、行かないで、あたしが悪かった、いけなかったんだよお」 母親は、子に背を向けて歩き出していた。 手元の小さな画面に夢中となりながらも。

気品が漂う/彼女・23

彼女はコーヒーを一口だけ飲む。 そうして、カップをテーブルに置く。 その折、麻痺した左手をしなやかに庇う。 身体を静かに叱咤するかの如く振る舞い、こう言った。 「もう1人の自分が生まれ始めているのよ」

触れること/彼・39

「褒めて育てたほうがいいよな」 すると、彼は、「違うな、認めて育てるだろうが」と。 褒めることの背骨がなければというのだ。 「それとさ」とも。 「じっくりと話を聴くこと、肌に触れることも大切なんだぜ」

刻々の再スタート/平成問わず語り・20

振り出しに戻ったとき、すでに老いていた。 怖いことだ、恐ろしいことだ。 が、しかし、陽が暮れて遠いのは何? 自由・平等・博愛の名の下の殺戮、民主・平和・啓蒙という廃墟。 「ここからだぜ、またしても」

まるで探偵のように/小道へ・7

1本の、存外、真っ直ぐな道を歩いていた。 立ち現れてくる、いくつもの道。 気づいた瞬間、微かな解放感が。 寒くなったものの、「春夏秋冬が偏在しているなあ」とも。 陽射しを浴びようと歩いていたのだった。

お金こそすべて/マネー2015・5

金が欲しい、そう、金だ。 大義や名誉、出世もいらない、金が欲しいだけさ。 人生、それだけじゃあない? 持った奴の言い草さ、持たない奴なら痩せ我慢。 ああ、戦争がなくなるほど、金だ、金、金が欲しいだけ。

来いっ!/この領土で・322

「こうなると想っていた」との感想を持った方が睨まれたという。 が、多くの人が想っていたことでもある。 「いつまで原始的なのか、人の原始の力もなく」 もう出かけたくない。 今ここで踊り出す瞬間よ、来い!

生まれ変わる感覚/唄・58

声を聴きたい。 静かで穏やか、よく通る弾む声を。 解決できると想うのは致命的な冗談だ。 解決できないと断言する根源的な宿痾も、壁。 生まれ変わる感覚を、流れて来て、いつしか届いていた唄で注入していた。

愛こそ滑って/唄・57

こんなときだ、何か大きな音で聴きたい。 そう体感していた。 が、聴きたいものが見つからず、結果、聴いたのはホワイトアルバム。 「そうか、ビートルズがいたじゃあないか」 ステップだって、踏んでみせるさ。

晩秋2015/平成四季派・17

見上げた空からは、とらえきれない冷たさだが、静かな匂いが舞い降りて来ていた。 厳粛さをバカにした人々も老いて入れ歯を。 「笑っちゃうね」 苦笑止まりでは小さな傷に。 ともに歩きながら再び空を見上げた。

「世界は寒い!」まま/この領土で・321

経済優先にテクノロジー偏重、進む国際化。 他に何が? 背景がよく視えて来ない惨事さえ。 人々が殺されて行くことだけは、十二分に分かった。 薄ら寒い状況下、すべての組織が寒さを一段と体感させるばかりだ。

反芻/身体から・102

暮らしを表現していくこと。 表現を暮らしていくことさえある。 単純の深さや単純な深さに帰っていく器量にも学ぶ。 今日も産業化されない場所を求めつつ。 反芻するだけで済まないものかと、身体に問うときも。

台所の宇宙/平成問わず語り・19

基盤に基本。 ただ、立つ場所が変われば変化する基礎。 喜劇に人情噺、悲劇にも冗句、認められてしまった前衛も。 今も剥き出しのまま放り出された亡命者? 聴こえはいいが、渦を巻き流れ落ちて行く水流なのか。

収容所/彼・38

「八方塞がりさ」と彼。 「でもさ、もっと悪い事態になることを思えば」 ひと呼吸入れて、「今は一服」と。 「美なんか探しちゃあいない」とも。 「収容所という考え方、考えという収容所を超えて行きたいんだ」

狭間で/この領土で・320

貧しさや病、何より寂しさで覆われていくばかり。 例えば見下すことが戦争を露出させてもいく。 独りでいたい? 大切にしたい想いだが、慎むべきときも。 独りでいられない、独りではない桎梏と解放の狭間――。

密かな願い/身体から・101

「思考は肉の分泌物」と記したことがある。 「ゲップとしての虚無」とも。 心身一如と言うまでもなく、身体と心、脳は一体。 加齢からか腰痛の日々に想う。 腰砕けにならぬよう暮らしていこうと、密かに静かに。

寂寞/野の花チャイルド・36

花の名をいくつ挙げられるだろう。 青臭いことにも夢中だったが、気づいたよ。 風土などを見据えることも大切だし、強さや粘りも必要だろう。 が、毎日、花と出逢ってきたのかと。 寂寞に耐えられればいいのだ。

いくつになっても/当世労働者覚書・42

偉さが弱点に。 周囲の下卑た馴れ馴れしさ、いいや、親しげな濡れた縄に締めつけられるからだ。 酷寒の折、解きようがなくなる事態にも。 人間として生きていく辛さ? 何、猛省を手放したことが問題だったのだ。

壊れる寸前で踏み止まりながら/都市サバイバル・ノート280

不安なのは当然だ。 長期の原発問題に重い税金、しかも軍靴の音も。 だからもう不安にならず、できうる限り正確に怖がるんだ。 もはや個人の感受性だけを頼りにできるわけもなし。 正鵠を得た恐怖感が微かな光。

イチョウ並木を想い出している/平成四季派・16

冷たい雨が降っている。 「葉が落ちなければいいが」 イチョウ並木の輝きを想い出しているのだ。 本格的寒さが訪れる前の贈り物。 潜り込んでも、身心をあたたかく包む自然もあると、今年も体感したいのだった。

可愛がる人々/この領土で・319

可愛がるが、同じ場所には立っていない。 とどのつまりは、排除。 草むらを歩くときに似て、脚がもつれる。 呼吸のしやすい場所は、相変わらず、もやの中。 言い切ってしまおう、今は自由への志向こそ自由だと。

歌姫だなんて/唄・56

どこまで行くのだろう。 そう想える歌手が稀にいる。 行くところまで行くとしたら、つき従ったり、つき添ったりはできる? いや、聴き続けられるのだろうか。 没我の唄同様、自身もまた消失してしまうのではと。

喪うこと/合掌・51

得るとは失うこと。 歩き終え、面と向かったのは古の人々のお墓だった。 誕生は悦ばしいが、死ぬ人が1人増えることでもある。 手のひらを合わせ、噛み締める。 失うとは得ることと今は想えぬまま、青空を睨む。

今どきの存在論/彼・37

「無意識に天下を欲する育ちの悪さ」 彼は、吐き捨てた。 「自分が想っていないところにも自分がいるのだから」と。 「していることだけに目を向けてはいない」 むしろ、「在ること自体を見詰めていくさ」とも。

おそらく健やか/天下の太極拳野郎・14

身心が動いていく、同じ方向へ協力して。 ときに危険を察知? 前へ出向く上半身、後ろへ退却する下半身。 頭は真っ直ぐ、眼もまた。 瞬時であると同時にゆったり動作を確認しつつ、柔らかく、おそらく健やかだ。

恋しきは暖かさ/焚き火を前に・3

焚火の愉しみは尽きない。 木々が燃え終わっても、おきは残る。 木々をまた集め、ゆっくりとくべていく。 一瞬でグルリが狭く明るくなり、心地よい暖かさが戻ってくるのだった。 手を自然とこすり、当て始める。

秋花/野の花チャイルド・35

花がこぼれているよ、咲いているんだ。 一生懸命に努力したのだろうか、勉強とかも。 お金のようなものは流通しているのかな。 野に花が咲いているよ。 グルリを明るくして、ただ静かにこぼれていくばかりだよ。