2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
恋の体験がない人生でも構わない。 そう思う。 くぐもるばかりで、勇気もなく、進むに進むことができない一生。 それで、何が悪かろう。 ないないづくしであっても、生きていくことができる方途を発見していく。
疲れを取ろうと水着に着替えた。 労働の疲れを、身体の疲れで解消するには、プールはもってこいの場所だ。 息継ぎができるようになれば後は体力次第。 果てしなく遊泳できる感覚に。 身心が夏にもなる晩秋――。
「あのさ」と語り掛ける。 返事はないものの、彼が次の言葉を待っていることは了解できた。 瞬時のうちに分かったのは、身体の奥。 話し終えれば、彼が、「おい」と。 手元を観れば、熱燗を勧めてくるのだった。
議論より対話。 同様に、果てしなき会議より、親しみのある会話だろう。 そうして、能力を問うより、リスクを共有していくのだ。 成果や成績、結果や結論ではない。 生き生きとした実りこそ求めていくのである。
土産とは言えぬ音盤をぶら下げ、友人を訪ねた。 場所が成立すれば話は弾み、新たな場所となるもの。 結果、話は尽きぬ。 いつしか明るさをともなう夕闇が。 畳の上、ゴロリと横になり、それでも話し続けていた。
陽射しがありがたい公園の片隅。 静かに浮かれてくる。 陰惨な気分の斜面にいたはずなのだが。 天地創造は知る由もないが、太極拳を始める。 意識せずとも呼吸は整い、身心が合一、天と地が交感したかのようだ。
お前と飽きもせず話していた。 互いが、欠けた月に気づいたときのこと。 ついと訪れた沈黙。 結果、それまでのおしゃべりが対話となり、言葉が深まった? おまけに月の輝きが、一段と地上に届き始めたかのよう。
得意な料理は何か。 和洋中と考えたが、どれも決定打に欠ける。 1人のときなら、サッとできるものばかり。 こっそりと願う、「朝食が得意」と言えたらいいなと。 それも、病のある方と共に食べられる朝食――。
まだ暗い中、いつもより早くに目覚めた。 元気とは言えないにもかかわらずだ。 加齢というわけでもなさそうだった。 夢の中、怒りで血走っていたのだろうか。 強くつよく拳を握り締めて、今日を迎えたのである。
人類が誕生より今に至るまで抱え込んだ問題。 他でもない飢餓だ。 この2文字にまつわるすべて。 漠とした不安から核の恐怖に至るまで貫く難問。 人は他の生物を食べなくてもいいほどには進歩・進化していない。
眺めていた、遠くを近くを、山々を家々を。 新鮮な感覚にとらわれつつ。 景勝地にいたわけではない。 ただ、そこがいるべき場所だった。 消費の休日から離れた場所で、単純な深みを愛することができたのである。
絶望できるうちはいいときさえある。 暗澹たる状況下、言語化できず無自覚な場合に比べれば。 無意識に居座る悪意が、いつ理解不能な破壊へ突出するかもしれないのだ。 正確に絶望する。 そのように歩いていく。
だらしなく午睡をしたときのこと。 豊かな自然の国土で愉快に暮らす人々の夢を観た。 細部がリアルに迫って陶然と。 口元を拭い目覚めてから、選挙時、俄かに主権者となる民の国と実感を。 「いつもは誰で何?」
誰もが知っているが、気にはしていないこと。 例えば飢えと渇き――。 何かは胃袋におさめなければならない。 いざとなれば、グロテスクなものや、泥水でさえも。 知の披露でなく、知になることを暮らしていく。
できないことはできない。 いつだって、できることからはじめてゆく。 すると、いつしか、できるようになっている。 できることはできなくもなっていく。 いつか、みな、できる・できないではないところにいる。
シャワーを浴びていても、厭世的になるときはなる。 温泉という至福の場所でさえ。 毛ゴミが浮いているからではない。 失態を描く唄で悦ばれて何になる。 希望でなく、唯一無比の絶望を歌えなければと思うとき。
他人には期待し、自分には期待しない。 他人には期待しないが、自分には期待する。 他人にも自分にも期待する、または期待しない。 わたしはどう? 場合によるが、いじけず、居直らず、切れないようにしようと。
夜の闇が静かに迫って来ていた。 空気を入れ替えようと、窓を開ける。 忍び込んで来る夜自体の声。 耳を立て、その広がりを聴き始めた。 意味を明確に語り掛けてくるわけではないが、豊かな言葉が伝わってくる。
季節が移ろうときには、大切な声が発せられている。 しかし、目立たず、微かだから、聴き逃しがちだ。 どうするといい? 結果や成果は求めないこと。 身体の声が同調し始めていることに、率直になるといいのだ。
電車内から山々を眺める。 自問自答しながら。 答のない問いにさらされ、アクビを噛み殺したときのこと。 真っ赤な夕陽が車窓に映えていた。 と、そのとき、「台所やトイレ、洗面所のない答では仕方ないな」と。
山道を訪ね、歩いてみよう。 数少ない言葉で乗り切っていけると、分かるはず。 今なら川をのんびりと眺めるのもいいさ。 肯定的な形容句が飛来するかもしれない。 気づけば、わたしたちは深くなっているはずだ。
電車で座していたときのこと。 目の前、高齢女性が珍しく座ることができたからか、ほっとした表情を。 懐かしい佇まい。 その顔の変遷を思うと、親しみもわいて来た。 皺に溶け込む想いが滲み、暖を体感させる。
自分様の詰問口調、己を棚に上げ。 昼間っぱらから酒を呑んだのか。 口調自体も内容。 感染症を引き起こす悪性物質になるときもある。 いつも帰りたいだけだが、「おれはどこへ行こうとしているんだ?」と問う。
改札口から出て来る人たちのほうへ向かう。 構内に入って行く、伏し目をやめて。 通勤者たちの顔を見詰め始める。 傲慢にも淀んだ暮らしを体感。 わたしと違う顔だちだが、顔つきは似たり寄ったりと知りながら。
病気の方も元気な方も病院へ。 何が何でも病院へ。 行くべき方が行かないから、そう促す? 行く必要のない方が居座る問題はどうしよう。 お金がなくて病院へ行くことができない事態の急増こそをどうしよう――。
丁寧にいこう、丁寧に。 尻が浮いてしまっても、腰が座っていても事態は変わらない。 多く並べても、食べるときは1つずつ。 1つずつ対応していても、全体が見えていなければ捌けない。 丁寧に、丁寧にいこう。
読み書きの際、無表情だが、内部に育つ実り。 習慣が文化を、文化が習慣を作る。 休日、出かけなければという強迫観念で身心を浪費することはない。 今ここに滞在しているのだもの。 夜には月なる贈与も受けて。
静かに愛されている。 慕われるだけの、開かれた親しみやすさがあるのだった。 激しい風の中、それでもなお健やかである。 何より色の鮮やかな変容を浴びたいと思わせるのだ。 ただただ逢いたいと、想いは走る。
寂しい。 そのくせ、郷愁をそそり、闊達な過去。 悲しみが繰り返され、過ぎ去って欲しい現在に暮らしているから? 過去が未来だったらと――。 個体への習慣が個性、確かで豊かな朧、幻の過去が舞い降りてくる。
10年のことを、ひと言で言えないわけではない。 自転車に跨る。 逆に、昨日の1日を長編小説に仕上げることもできるだろう。 空を見上げ、自転車を走らせ始める。 言葉発生の必然性を感じたときの恐怖・歓喜。