深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夏空の下、路上で昼寝をしていた/身体から・64

肉体労働者のころ、喜びは道にベニヤ板を敷くことだった。 空が屋根、大の字で意識喪失の充実を満喫するためにだ。 獣な日々は長期休暇だった? 気づけばどこでも眠ることができるようになり、今朝を迎えている。

競技ではなく、歩く、ただ歩く/2012(平成24)年夏・8

果てしなき快楽と相似の疲弊に、キックされ続けてきた。 真夜中、湖で、ふいに放り出されたかのよう。 だから、テレビ画面からも離れ、緑道へ。 きびきびと動けば、静かに喜ぶ身体。 その基本を回復させていく。

暮らす人々の疾走を想う/2012(平成24)年夏・7

忘却されたパレード。 生意気な暑さの中、想像力で届こうとする。 幽閉された解放が転じ、桎梏になっていやしまいか。 まず呼吸を整え、踏み出す。 大人しく座っていたのは、コテンパンにやられるためではない。

地へ滲んでいく血/言葉・44

疲れているのは知っているからだ、間違っていると。 マスメディアが撒いた血の歴史。 問う喜びを忘れず、状況からは逃げず、されど捕まらずだ。 自分の記した言葉を手直ししてはならぬときもあると、肝に銘ずる。

ここ最近、いや、ずっと/地声で・24

だまし絵の如く鮮やかではない。 艶があるわけでもない、春画のように。 強烈かな、それとも陰鬱かしら。 あるいは、笑えるくせに、深刻な風情? 辿り着いたとき、場所は消えてしまうものと、もう知ってはいる。

呼ばれているんだ/都市サバイバル・ノート206

友であるはずの方が倒れても通り過ぎていく人々。 世界は自由でない、平等でもない。 話は成立しない、地道に働いても貴賎はある。 絶望的楽観、楽観的絶望。 それ故、手招きする道標が微かに立ち上がっている。

再会のとき2012/プール絶景・8

話しかけられても笑顔を返すだけの、水中歩行をする少女。 プールで友とバッタリ再会を。 途端、水面に光が走ったかのよう。 手話で出逢いをしばし楽しむ。 そうして、2人は小さく並び、黙々と歩いてゆく――。

大きな木をみつけたんだ/ラブソング・45

落ち込んでいるんだね、あなた。 自壊しないために、身心が無意識で行う避難訓練だといいのに。 終われば、不測の事態がいつ来るか分かる――。 風が吹いてきたよ。 お茶を入れて飲もうか、あの大きな木の下で。

伸びをする快/山へ・3

山頂でのこと。 時はもう意識していない。 「ここはどこ?」と問うこともないだろう。 手は空のほうへ高くたかく伸ばす。 足は地へ深くふかく落としていく。 水を一口含む場所で、歩みが静かに止まっている快。

炎天/2012(平成24)年夏・6

恐怖から逃れ、快適も希求、さまざまな灯りを手に入れてきた。 結果、消えた黒い闇、現れた白い闇。 闇にも多種多様な色や段階があるのだが。 炎天下、涼しげにバスを待つ高齢者が空を仰ぎ、腕時計を外していた。

ジョニ・ミッチェルの耳/唄・11

当初から深くて広い場所の声を届けてきたのではなかった。 ただ、耳が身心に直結する唄を作ってきた。 一等身近な場所からの声が、昔の唄を新しくしていく、それもまた聴いている耳。 耳は死の後にも生きていく。

礼/当世労働者覚書・5

頭を下げぬ労働者、教師に医師、会計士。 値切られず、いいご身分? 「音楽が終わったら明かりを消してくれ」と自死した人非人に見えるときも。 礼の心で、「いずれまた」と、たえずお辞儀ができるといいのだが。

唄・10/2012(平成24)年夏・5

視界を固定的視点では広げぬよう、視力をのばす。 甘く淀んだ布団から飛び出す如く、身体の中へ疾走するのだ。 呼吸の清潔な熱、命名されぬ疾風。 「STAY!」と歌われる力強い悲しみの唄を聴く、歌いながら。

体内の天体へ/2012(平成24)年夏・4

休日はいらない、やり過ごすだけの平日を過ごしていないのなら。 眼球には留められない明るさを想像しつつ、釣り合いを取ろうとしていた。 大人騙しの儲けの法則に色目は使わず。 休日と無縁の天体の法則を思う夏の日。

母の葉の子守唄/2012(平成24)年夏・3

無防備なまま林の中にいた。 耳をそこかしこに差し出し、預ける。 耳鳴りのような静けさを越えた場所から静寂が来訪を。 と、そのとき、身心がキャッチしてしまうのだった。 穏やかな涼風が呟く葉擦れの言葉を。

1日/手仕事・4

朝、事情を抱えて目覚める。 夜、事情が事態になっていなければ眠りへと向かう。 そうした中、時間をひっかき集め、終わる前に次のことを開始する。 終わらせないために腰を立て、足を運び、手を使っていくのだ。

電話急げ/2012(平成24)年夏・2

メディアの発達で、大量の情報を手軽に送・受信できるようになった。 結果、友人らと過ごす時間が減少傾向? が、何のための倹約だったのか。 静かに降り積もる談笑のときを持つかと、携帯電話に手を伸ばす夕刻。

不治の病/言葉・43

変革に関する情報の横流し業者よ、去れ。 変革と表現、生活を等式で結ぼうとして沈黙せざるを得なかった人々。 その沈黙の言葉こそ、聴き取ろうとしている。 持病と記して、括弧笑いと付け足すつもりは毛頭ない。

戦時下/言葉・42

目の前にはご高齢の女性。 戦時下の話となり、身を自然と乗り出す。 「悩んでも仕方がないことばかりだった」と笑う声に滲む慙愧の念。 雨は、すでに本降りに。 が、言葉が焚き火となり、身心をあたためてゆく。

顔・3/ラブソング・44

あなたの顔を見つめ、いつまでも話をしていたい。 食べ物は命、せめて美味しく食べながら。 悪戯ぐらい笑ってほしい。 少しのお酒が、身体からの唄を思い出させてくれるはず。 夜の涼風も一緒にハミングするさ。

新しいリズム/当世労働者覚書・4

来いよ、新しいリズム、落ちて這い上がる。 行こうぜ、壊れた壁の先の、壁を造った根源へ。 笑わせろ、余裕やゆとり、机上の戦略戦術メモ。 ブンドるのだ、奪われたものを。 それは、わたしたちのものだ、と。

居場所なくとも/ラブソング・43

居場所はないと、またも思う剥き出しの国。 疎外論に精通しても寂しい想いは消えない、消えやしないさ。 そうだ、まとめた荷物にしろ、いつだって捨てられる。 お前とあいつ、おれがいればもう十分じゃあないか。

呼吸・31/ラブソング・42

なあ、大丈夫か? 桎梏の定義でしかない言葉を信じ、生きていこうだなんて。 無論、おれも他愛ないものさ。 ただ、少なくとも行くところは知っている。 ここさ、想い続けているお前が呼吸を続ける、ここなんだ。

新聞ガミという環境問題/当世労働者覚書・3

戦争推進した新聞。 弁当の包装紙になったり、風呂焚き用に使われたり、箪笥の揺れを止めたりと活躍を。 今や習字の練習用にも、お呼びでない? 捨てられるだけになった活字の伝統的寝言三昧。 あばよ、盗人。

木枯らしの中で/当世労働者覚書・2

乗客とはいえ訓練も積まず乗っていい? いくらなんでも笑う訓練よりマシ。 内臓の体操術、勉強の勉強法、そも、稼ぎ方も習わなかったが。 それはまあいい、今日も今日とて地上の無宿人の脱法ヴィジョンを垣間見る。

言葉は踊る/娘と・79

いつか踊ったね、お前と。 暗い店で、煤けた小部屋で、暑過ぎる路上で。 ただ、世界は明白できれい、涼しげだった。 思い出すと、風雪に試される屈託も舞うんだ。 何より交わした言葉がステップを踏んでいたね。

今ここの他に何処が?/2012(平成24)年夏・1

拝金主義者どころの話ではない、貨幣そのものと化した輩が跋扈中。 が、逃げられない、逃げない。 結果、1つだけの希望に信は置かず、手を這わす。 怒り抜くしかない暗澹を抱え、浮遊ではなく、軽やかでもなく。

思い出の事件/些事の日々・74

路上で呑気に間取りを描き、遊んでいた、音がした。 観れば果実が落ち、血痕の如きシミ。 落下の瞬間を決めることはできない。 気づけば落ちて、生死の国境線を越えるだけ。 陽は、強くつよく差していたはずだ。

男の中の男へ/裏切り者からのご挨拶・1

何を気取っているんだか。 男の助平心が滲んでいるよ。 爽やかな笑顔とセットの欲情が、ほら、ご飯粒の如く口元にくっついている。 いっそ、おれが抱いてやろうか? 男がときにどれほどひどいか、教えてやるよ。

でたらめ/唄・9

歌うしかないときがある。 気づけば歌っている。 歌詞は特にない、メロディー・リズムもあってなきが如し。 肚からやって来るものに乗って、喉を通過させれば、初耳の唄だ。 身心に響かせ、ただただ歌っていく。