2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
肉体労働者のころ、喜びは道にベニヤ板を敷くことだった。 空が屋根、大の字で意識喪失の充実を満喫するためにだ。 獣な日々は長期休暇だった? 気づけばどこでも眠ることができるようになり、今朝を迎えている。
果てしなき快楽と相似の疲弊に、キックされ続けてきた。 真夜中、湖で、ふいに放り出されたかのよう。 だから、テレビ画面からも離れ、緑道へ。 きびきびと動けば、静かに喜ぶ身体。 その基本を回復させていく。
忘却されたパレード。 生意気な暑さの中、想像力で届こうとする。 幽閉された解放が転じ、桎梏になっていやしまいか。 まず呼吸を整え、踏み出す。 大人しく座っていたのは、コテンパンにやられるためではない。
疲れているのは知っているからだ、間違っていると。 マスメディアが撒いた血の歴史。 問う喜びを忘れず、状況からは逃げず、されど捕まらずだ。 自分の記した言葉を手直ししてはならぬときもあると、肝に銘ずる。
だまし絵の如く鮮やかではない。 艶があるわけでもない、春画のように。 強烈かな、それとも陰鬱かしら。 あるいは、笑えるくせに、深刻な風情? 辿り着いたとき、場所は消えてしまうものと、もう知ってはいる。
友であるはずの方が倒れても通り過ぎていく人々。 世界は自由でない、平等でもない。 話は成立しない、地道に働いても貴賎はある。 絶望的楽観、楽観的絶望。 それ故、手招きする道標が微かに立ち上がっている。
話しかけられても笑顔を返すだけの、水中歩行をする少女。 プールで友とバッタリ再会を。 途端、水面に光が走ったかのよう。 手話で出逢いをしばし楽しむ。 そうして、2人は小さく並び、黙々と歩いてゆく――。
落ち込んでいるんだね、あなた。 自壊しないために、身心が無意識で行う避難訓練だといいのに。 終われば、不測の事態がいつ来るか分かる――。 風が吹いてきたよ。 お茶を入れて飲もうか、あの大きな木の下で。
山頂でのこと。 時はもう意識していない。 「ここはどこ?」と問うこともないだろう。 手は空のほうへ高くたかく伸ばす。 足は地へ深くふかく落としていく。 水を一口含む場所で、歩みが静かに止まっている快。
恐怖から逃れ、快適も希求、さまざまな灯りを手に入れてきた。 結果、消えた黒い闇、現れた白い闇。 闇にも多種多様な色や段階があるのだが。 炎天下、涼しげにバスを待つ高齢者が空を仰ぎ、腕時計を外していた。
当初から深くて広い場所の声を届けてきたのではなかった。 ただ、耳が身心に直結する唄を作ってきた。 一等身近な場所からの声が、昔の唄を新しくしていく、それもまた聴いている耳。 耳は死の後にも生きていく。
頭を下げぬ労働者、教師に医師、会計士。 値切られず、いいご身分? 「音楽が終わったら明かりを消してくれ」と自死した人非人に見えるときも。 礼の心で、「いずれまた」と、たえずお辞儀ができるといいのだが。
視界を固定的視点では広げぬよう、視力をのばす。 甘く淀んだ布団から飛び出す如く、身体の中へ疾走するのだ。 呼吸の清潔な熱、命名されぬ疾風。 「STAY!」と歌われる力強い悲しみの唄を聴く、歌いながら。
休日はいらない、やり過ごすだけの平日を過ごしていないのなら。 眼球には留められない明るさを想像しつつ、釣り合いを取ろうとしていた。 大人騙しの儲けの法則に色目は使わず。 休日と無縁の天体の法則を思う夏の日。
無防備なまま林の中にいた。 耳をそこかしこに差し出し、預ける。 耳鳴りのような静けさを越えた場所から静寂が来訪を。 と、そのとき、身心がキャッチしてしまうのだった。 穏やかな涼風が呟く葉擦れの言葉を。
朝、事情を抱えて目覚める。 夜、事情が事態になっていなければ眠りへと向かう。 そうした中、時間をひっかき集め、終わる前に次のことを開始する。 終わらせないために腰を立て、足を運び、手を使っていくのだ。
メディアの発達で、大量の情報を手軽に送・受信できるようになった。 結果、友人らと過ごす時間が減少傾向? が、何のための倹約だったのか。 静かに降り積もる談笑のときを持つかと、携帯電話に手を伸ばす夕刻。
変革に関する情報の横流し業者よ、去れ。 変革と表現、生活を等式で結ぼうとして沈黙せざるを得なかった人々。 その沈黙の言葉こそ、聴き取ろうとしている。 持病と記して、括弧笑いと付け足すつもりは毛頭ない。
目の前にはご高齢の女性。 戦時下の話となり、身を自然と乗り出す。 「悩んでも仕方がないことばかりだった」と笑う声に滲む慙愧の念。 雨は、すでに本降りに。 が、言葉が焚き火となり、身心をあたためてゆく。
あなたの顔を見つめ、いつまでも話をしていたい。 食べ物は命、せめて美味しく食べながら。 悪戯ぐらい笑ってほしい。 少しのお酒が、身体からの唄を思い出させてくれるはず。 夜の涼風も一緒にハミングするさ。
来いよ、新しいリズム、落ちて這い上がる。 行こうぜ、壊れた壁の先の、壁を造った根源へ。 笑わせろ、余裕やゆとり、机上の戦略戦術メモ。 ブンドるのだ、奪われたものを。 それは、わたしたちのものだ、と。
居場所はないと、またも思う剥き出しの国。 疎外論に精通しても寂しい想いは消えない、消えやしないさ。 そうだ、まとめた荷物にしろ、いつだって捨てられる。 お前とあいつ、おれがいればもう十分じゃあないか。
なあ、大丈夫か? 桎梏の定義でしかない言葉を信じ、生きていこうだなんて。 無論、おれも他愛ないものさ。 ただ、少なくとも行くところは知っている。 ここさ、想い続けているお前が呼吸を続ける、ここなんだ。
戦争推進した新聞。 弁当の包装紙になったり、風呂焚き用に使われたり、箪笥の揺れを止めたりと活躍を。 今や習字の練習用にも、お呼びでない? 捨てられるだけになった活字の伝統的寝言三昧。 あばよ、盗人。
乗客とはいえ訓練も積まず乗っていい? いくらなんでも笑う訓練よりマシ。 内臓の体操術、勉強の勉強法、そも、稼ぎ方も習わなかったが。 それはまあいい、今日も今日とて地上の無宿人の脱法ヴィジョンを垣間見る。
いつか踊ったね、お前と。 暗い店で、煤けた小部屋で、暑過ぎる路上で。 ただ、世界は明白できれい、涼しげだった。 思い出すと、風雪に試される屈託も舞うんだ。 何より交わした言葉がステップを踏んでいたね。
拝金主義者どころの話ではない、貨幣そのものと化した輩が跋扈中。 が、逃げられない、逃げない。 結果、1つだけの希望に信は置かず、手を這わす。 怒り抜くしかない暗澹を抱え、浮遊ではなく、軽やかでもなく。
路上で呑気に間取りを描き、遊んでいた、音がした。 観れば果実が落ち、血痕の如きシミ。 落下の瞬間を決めることはできない。 気づけば落ちて、生死の国境線を越えるだけ。 陽は、強くつよく差していたはずだ。
何を気取っているんだか。 男の助平心が滲んでいるよ。 爽やかな笑顔とセットの欲情が、ほら、ご飯粒の如く口元にくっついている。 いっそ、おれが抱いてやろうか? 男がときにどれほどひどいか、教えてやるよ。
歌うしかないときがある。 気づけば歌っている。 歌詞は特にない、メロディー・リズムもあってなきが如し。 肚からやって来るものに乗って、喉を通過させれば、初耳の唄だ。 身心に響かせ、ただただ歌っていく。