深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

人災も続く中、「隠れ家だなんて何処にあるのさ」と/言葉・39

悲劇を忘れようとする人と、忘れまいとする人と。 おぞましいことが繰り広げられてきた点に変わりはない。 調子のよい言葉と、突出していく言葉とを混同しないことだ。 すかした大人の流儀はもう通用しやしない。

3月11日以降/言葉・38

悪意なき言葉もまた、心を蹂躙する契機が一段と増えた。 だからだ、底の想いからしか語るまいと、あらためて決めたのは。 感想や話題、議論は今も遠い。 穏やかな波打ち際で、ふと愕然とすることもあるのだった。

眺める/些事の日々・70

車窓から山々がうかがえた。 悠然、されど闊達な振る舞いの如し。 いわゆる行動には結びつかないが、己が眼前を明るく照らす言葉もあると言いたくなっていた。 今はまだ、吐き気を抱えてでも生きてゆけるだろう。

血を超えて/祈る・3

無論、歴史にイフはない。 ただ、「仏陀・キリスト・ムハンマド等がいなければ?」と考え、存外、試されていた。 救済という血まみれの営み。 平らにしてくれるのは、寄り添う丁寧な暮らしぶりだろうと祈りつつ。

新人事始/些事の日々・70

優先席に座る若者は、確かに病気のご様子。 タイムカードを押すとき、軽い死を味わうのか。 怠惰も命懸けの時代。 ただ、多くの人々と心ときめかすことが可能な宗教からは、逃亡だ。 突っ立っているだけでいい。

スーダラでゴーゴー/地声で・18

悪いと分かっていて、してしまうことがある。 注意が逆効果の場合も。 良いと理解していて、できないことがある。 促しが鎖となるときも。 意志が入り込めない事態もある故に、契機を潰す、または開く、これだ。

宮谷一彦という転がる人/日本人の元気・8

昔、宮谷一彦氏は描いた。 「喜べ! ついに我が家の米びつを投げ出す時が来た」と。 度肝を抜かれ、首肯していた。 明日なき前夜の様相も呈す折、思い出した言葉だ。 腹へ胸へと、リアルに迫ってくるのだった。

手紙2012/地声で・17

おれたちの口癖が、「もう行かなきゃ」だったときがあるよな。 結果はお笑い種、今のここ。 「生きることによって生じた問題はより生きることによって解決」しないとも知った。 が、なあに、何度でも何度でもだ。

自爆する国/状況から・42

西日差す部屋で、話を聴く。 多くの生命を帰還させてきた方の、「自殺は肯定するところから」との言に唸る。 「今ここの充実が急務」とも。 「まず、ねぎらいの言葉を」との一言に、この国の自死が臭うばかりだ。

また腰を上げる人/言葉・37

「断言で展望は開けぬ」と言い切ろうか。 例えば人生は1度きりという言説。 敗北を受容した者、つまり死者が立ち上がる場合もあるのだ。 1度の人生に畳み込まれた、いくつもの人生。 硬直の泥水は避けてゆく。

ついには耳鳴りのよう/些事の日々・69

大集団が渇望する美談のバトンリレー自体、醜聞。 押しつけが命を蝕む。 そうした折、日々の汚泥から漏れてくる魂の痕跡。 細く曲がりくねっていて小さい声が耳に痛い。 だが、耳を傾ける、澄ます、預けてゆく。

鞄への挽歌/些事の日々・68

使えなくなった鞄を見つめる。 捨て場へ置き、しばし歩き、振り返った。 静かに眠り始めている。 あらためて、「身心の一部だったな」と。 「起こすことはないか」と言い聞かせ、新しい鞄とともに駅へと向かう。

身心で聴く/都市サバイバル・ノート196

現代に暮らしていて、近代の音楽に聴き惚れることがある。 中世・近世のそれに惚れぼれとすることも。 ただ、身心を貫くのは古代、いや、有史以前の音色か。 夜空では星々が、親密、かつ密かに語り合っているよ。

火の列車/天下の太極拳ヨーガ野郎・2

身心は生命を走らせる鉄道だ。 加齢で廃線になる場所もあるが、ゆっくりと脚裏を伸ばせば火の列車が走り出す。 湿った導火線に点火できるときさえある。 遠くから訪れる深い呼吸を捕まえ、悦びが走る春を試みる。

マーキングみたいな/居場所・2

旅の途上、移動の果てにしてきたことがある。 ゴロリと横になれる、わたしを呼ぶ青草を探すことだ。 そうして、バラバラになり始めた身心を回収するのだった。 果たして地上の一隅が、わが家と呼べる場所となる。

雨天結構・2/都市サバイバル・ノート195

雨の休日、頃合いを見計らい歩き出す。 大股で歩くだけで、遠くの広い場所へ行けそう。 雨脚は家路を促すが、「まだまだだ」。 公園では湯を沸かし、熱いあついコーヒーを。 今しばらく、空っぽを堪能するのだ。

プール主義者として/些事の日々・67

金銭感覚の基本に“温水プール2時間2百円”がある。 だから今の文庫本を高いと思うことも。 近所のおばちゃんの言葉、「高齢だと5千円も貴重よ」が身にしみる。 金持ちより金持ち臭いほうが嫌、と負け惜しみ。

煙が目にしみる2012/死者たちと・2

葬儀のときのこと。 足が痺れて立てず、すっ転んだ喪主。 それを視て笑いを抑えた親族の開きっぱなしの社会の窓。 あれこれの泣き笑いは続き、かくしていつか再会をと約す時間が。 煙が、やはり目にしみる。

傘がない上に、雨を見たかい?/些事の日々・66

『美貌の青空』に対して醜悪な曇天? いや、怪奇な雨だ。 傘がないことも大変だが、今や雨の現実を見たかどうかも切実な緊急課題。 いやいや、今も一緒くたの困難まみれ。 老いの受容も奪っていくじゃあないか。

平成四季派・1/些事の日々・65

電車の座席で、短い脚を石原軍団のように伸ばす阿呆。 教養とは身心の縁取りがきれいなこと。 放り出されたとしても、そこがどこかは分かる身心を持つんだ。 視てごらん、来春へ向かう夏がもう、始まり出したよ。

画集に風/エピソード・1

雨の日、画集を濡らしてしまう。 後日、「乾かすか」と窓際に干せば、風が吹いている。 晴天が描かれたページまでめくられていくかどうか、賭けの心持ちに。 「画集そのものを初めて見つめたな」と気づきながら。

桜酔い/死者たちと・1

胸が塞いだとき、亡きオヤジやオフクロがやって来て踊り始めた。 「どうした?」と。 女の子もいて、「あっ、お前、そこにいたのか」。 よくよく見れば、顔見知りたちも談笑を。 やはり、わたしの笑う番が来た。

桜の木の下には肢体/地声で・16

桜を愛でたとき、身心は春空も体感していた。 気づけば形を変えている雲もまた。 息を引き取るまで繰り返される呼吸は平静だが、上気するのは何故? 季節の証は変化、桜よ、それでもしばし、人懐っこい春を舞え。

涙が涸れる2012/地声で・15

信号無視は当たり前、人を押し倒し座席は分捕り、記念日にしか思い出さない――。 「緊急事態になれば大変なこった」 いや、今ここの緊急事態か。 わたしも子どもたちに伝えるのだろう。 遠くまで行くんだよと。

手出し/些事の日々・64

隣人が倒れそうになれば、手がサッと出る。 そうした身心感覚の醸成が、今も課題か。 朝の電車内で、ファストフードの臭うパンを、冷めたコーヒーで流し込む光景が指し示すもの。 双方、手も足も出ずに倒れ込む?

朝の自転車置き場で/些事の日々・63

中年男が慌てて疾走してきた。 が、乗っていた自転車が、置かれた1台の自転車に触れ倒してしまう。 5台がドミノ倒し。 ただ、彼はすべて立て直し手を払う。 時計を冷静に一瞥、続いてランナーとして走り出す。

この1年/地声で・14

飛び込む情報に怒り、涙し、何より凍てついてきた。 甘い記憶に淫することもせずに。 束の間の生に穏やかさを望むのは、正気を保つため。 一方、「もう無理だよな」と言い聞かせるのは、新たな出立のためなのだ。

ミニコミ主義者として/些事の日々・62

今、贈られて嬉しい物質は何か? 開かれたミニコミだと即答できる。 胸いっぱいの想いで創られた手紙としての日記・日記としての手紙。 まだ自分にも見込みがあると気付かせてくれたことに対し、感謝するだろう。

曇天の効用/些事の日々・61

帰宅時、駅から歩き始めた。 夜空に月が浮かぶが、雲で尻も隠す。 「雨になるのかな」 鞄の中、空の弁当箱が微かに鳴っていた。 その拍子に合わせて歩けばリズムは早まり、階上のわが家からの灯りはもう目前に。

余はやけくそである/馬鹿宣言・4

出鱈目な唄をがなって、エッサホイサッサ。 思いつきステップ、素っ頓狂なダンス&ダンス。 実は主役は脇役、脇役こそ主役、ヘイヘイホオ〜ッ。 眉間の皺に気づけばシャッフルシャッフル、パッピプペポオオオッ!