2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧
お前にもできない、部屋に土足で入ること。 ただ、そうしなければ帰れない家もあるんだ。 政治家や学者、財界やマスコミは目の前にいながらにして雲隠れしているよ。 そう、お父さんだって泣くときぐらいあるさ。
辻褄があわずとも、結局、強引に決着がついていく。 まるで呪いのよう――。 水は腐敗、空気の垢はたまり、木々は汚れきっていくだろう。 委ねるつもりはないが、一言、言おう、「今朝咲いた花を、巻き込むな」。
食卓を囲もう。 事実と遠い新聞でさえ、敷けばもう食卓さ。 そうして並べよう、秋の声を。 地上で初めてザクロを食した人のことを想像して。 今や食べられるものは少ないとも言うが、食卓は成立させられるんだ。
銃口へ花をさすにも、見えぬ銃口だらけ。 「暴動でもぬるい、テロがなぜ起きない?」 一方で自らをなだめるのに必死な人々。 わたしは、楽器を初めて手にしたときのことを思い出している。 すでに初秋、初秋だ。
「待ってろよ!」 言葉は出ずとも、内心、叫ぶ。 「勝手に行くなってば」 あの日から生まれた美談に醜聞、怪談。 「おれもまた暮らそうとしているんだ」 そう、すでに何日、8・15を暮らそうとしてきたことか。
ウェブ上の短文。 読み始めた当初、内容を問わず、「何のSOS?」と――。 見知らぬ人と目が合ったときの、明るい戸惑いか。 わたしも短文を記載してきたが、共生へと歩む狼煙への反射であることを願っている。
高齢の男とお茶を飲んでいた。 彼はたばこの煙を吐き出し、呟く。 「人は死ねばゴミ。だから、死体は可燃物として処理をすればいい」 犬に喰われる自由もあるが、ゴミになる解放もあるのかと陶然としたのだった。
いつの時代、どこの場所でも断言できる。 国の中枢のみを目指す連中、商いの拡大だけに向かう輩に信は置けぬと。 ただ、国土を現状の如く壊した餓鬼はいない。 今も、そう今も小競り合いをしている場合ではない。
お前を独り残し出て行くとき、胸はしぼむよ。 いずれ訪れることだと分かっているけれど。 手掛かりを置いていけるといいな。 いや、いっそスッキリか…。 食べられるものが少しはあるはず、ゆっくり食べるんだ。
40歳になりたての男と、仕事の話を終えた。 途端に彼は、重苦しい日々を問わず語りで――。 話し終えて、紅茶のおかわりを注文、自分を励ます笑みを浮かべる。 それから思い出したように、ネクタイも外し始めた。
今いる場所とは何処か? 言い切ってみようと呟いてみる、「大量殺戮をして逮捕者が1人も出ぬ国」と。 「えっ、本当なのか!?」 米粒さえ遠く、顔色はとうに失せている。 晒され続けて、今朝も合掌から始まった。
電話越しに声を聴く。 亡き人のためにも生きていくと決意した方は呟いた。 「あのとき、一緒に死んでいればよかった…」 事態が好転せぬ中、そう体感もしたという。 「でも、今、死ねば無駄死に。できないよね」
大金を手にしたら? 自転車で東京の外れから都心の老舗ラーメン屋へ。 昔、家族で暮らした地域も回りたい。 帰路はプールで汗を鎮め、帰宅後はビールのガブ呑みか。 想像しただけで豊かな気分になれるのだった。
一服つけ、荷物を解く。 ひと段落したところで、電話をかけ始める。 無事、帰宅できたことを報告しあい、再会の約束を。 ひとっ風呂浴びるのはまだ先だが、身心は満足している。 キャンプがまた、終了したのだ。
死に至るまで血を流すのはご免だ。 ただ、心も殺す物質が地上に根をはり、血は流さずとも…。 それぞれ家路を急ぐが、実は同じ密室の中、しかも「外部=内部」なのだ。 今や何も食べずに暮らすことさえ夢想する。
子どもらは、朝の花火や夜の影踏みさえ楽しむ。 今日はブランコに乗り、気ままな月への旅行? 汗の夏に月を眺め、ふと思う。 「花を無理に咲かせようとするのではなく、種子のままでいようとするのもいいなあ」
介護の現場にいる方が呟く。 悲劇が重なる中、「感じるのは罪悪感でなく、無力感だけでいい」と。 「いつも感じてきた無力感を共有することが肝心だぜ、と思うのです」 無力の人に宿る力に、身心が貫かれていた。
お前の皺は美しいよ、馬に口づけするときは。 老いた身体は輝くよ、夜に姿勢を正し歩むときは。 いつか訪れる寒い季節に辿り着けるといいね。 その後も安心さ、お前の母親もおれも、先に帰った故郷にいるのだもの。
人は多くを成して来た。 だが、人でなしとしか思えぬ輩も。 もちろん、悪者を仕立て上げるだけではすまないが、システムの批判だけでも埒は明かぬ。 根源的な問いに叩きのめされながら、おれもまた、種子を蒔く。
歯を磨き、お茶を啜り、爪を切る音が描く光景。 視ていなくても体感している、視えている。 言葉なく、「明日にたどり着いた今日を暮らしなさい」と促されるときさえ──。 そのときだ、深海からの声がするのは。
状況が欠落した他人事のような衛生的物言い。 自分が状況そのものという点を忘れてはいまいか。 実際、流行りの自分様もまた、状況に強いられた産物。 理解しただけで手打ちをするには、おいおい、まだ早過ぎる。
愛すると分かることがあるよ。 例えば世界の深さ。 物は失っても、「分かったことまで奪われてなるものか」だね。 そうだ、自らを使い切る人は、そう多くないんだ。 暮らしを手放さないように暮らしていこうか。
この感じ、覚えがある。 「あっ!」 ロックについて散々話しても通じなかった、あの感じ。 経済レベルでしか語らない手合いに、暮らしを奪われた人々の、次の言葉は届かないのか。 「原発が憎い、それだけです」
大掛かりなマジックショーに嬉しいため息をもらす。 テーブルマジックにさえ。 ただ、憎悪の対象を作り出し、繋がりをなし崩し的に壊していく巧妙な手口には騙されまい。 もっともっと笑って、騙されるためにも。
当然、人非人も跋扈したさ。 ただ、哲学も心理学も宗教も歴史も地理も政治も法律も経済も教育も医学も家政学も言語学もおよびでなかった。 人が人の手を取る姿には。 信じる・信じないでなく、手はただ伸びた。
着たい服? 人様に迷惑をかけない裸体。 一番食べたいもの? 美味しい霞! 暮らしたい家? 隣家との境がない拡がり。 支えてくれる名言が必要なほど底にいるわけではない。 逆立ちができたときは嬉しかったな。
前ばかりを視ていては、後ろどころか天地左右も見失う。 ついに自分がいる場所さえ不明に。 今や過去の知恵は役立たず? 今日も多様性の渦の中、バランスをとろうとしているだけさ。 相変わらずの出たとこ勝負で。
成長すれば何とかなるだなんで卑しいことさ。 そもそもが、成長できると思ってはいけないよ。 傲慢で下品な心持ちなのだもの。 いいじゃあないか、すっからかんのままで。 お前は今、ここの呼吸を重ねてゆく。
もはや無残でしかない成長の文脈。 転ぶし倒れる、漏らすし惚けるは仕方ないじゃあないか。 ピンピンコロリ願望は分かるが、老いを受け入れることこそ急務。 そも、成長するだけでは、自分自身とさえ出会えない。
自転車で雨から逃れようとしていた。 孤独より、ちょっとした寂しさに脆くなったな。 路上で音楽を聴きつつ、笑顔で踊る人。 「いかすぜ」 「暑中お見舞い申し上げます」と記す機会を失した、雲隠れの夏の日々。