深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

思い出話

一般化の落とし穴に、土を盛る日々。 内なる子どもが、「成長なんて嘘さ」と呟く。 そうして、「強さもまた」と重ねる。 そこで問う、「そこに止まるため、強く成長すべき場面だとしたら?」。 魂が立ち止まる。

ラストダンスは私に2011/プロテストソング・1

自らを含め、心をたやすく台なしにしようとする人々。 拡がり続ける傷痕を残すだろうに。 飢餓の結果、人を殺めて、肉を喰らうならまだしも? 手足が麻痺しても、法悦と化すダンスが可能であることは、忘れまい。

唄・5/娘と・63

唄に美醜や新旧、明暗はついに関係ない。 無論、上手下手も。 戦意高揚は御免だが、要は感じるか否か。 お前の唄はお前が歌うに限るが、今日、共に歌う者と出逢えるかな。 唄がまず、自分の耳に届くといいね。

まるで起承転結のように/祭日・3

初対面の爺さんと婆さんが挨拶を交わす。 恋人たちは屈託を溶かし合い、夫婦が互いに滲むころ、子どもたちは肝試しに夢中だ。 和太鼓の音が空へ向かい、腹を打つ。 祭の夜の暗闇は、身心に明るさを灯していくよ。

祭日・2

祭の晩、1人の男を見つめていた。 目立つわけでもなく、静かなだけでもない中年男。 呑みっぷりのよさに思わず見惚れたのだ。 夜が急激に深まる。 男は素早く立ち上がり、手際よく机や椅子を片付け始めていた。

またしても鳥たちに

鳥たちは、一斉に飛び立つ。 決してぶつかることなく。 どのような擬音も想起させぬほど、鮮やかに。 声が聴こえた。 「ねえ、どうして、今のあなた方のようになってしまったの?」 亡き生命たちと、重なる声。

祭日・1

別れ際のこと。 チンドン屋に、子どもたちはいつもまでもいつまでも手を振っていた。 「今・ここは悪意と地続きだが、跳ねる音楽とも繋がっているさ」 シャボン玉は空へ、運がよければ遠くまで。 落涙の印の如く。

音楽はすでに

1人、2人と、ステージへ向かう。 音楽家たちは馴染みの楽器を手にする。 会場の熱は一気に上昇、拡がってゆく。 ついに奏でられるまでの、ごくわずかの時間。 そのときすでに、音楽は鳴り響いているのだった。

洗顔物語・2/都市サバイバル・ノート181

目が覚める。 調子を確かめようと、身体のあちこちを叩く。 ゆっくりと起き上がり、窓を開け放つ。 屋外を眺めつつ歯を磨き、緩い体操も。 それからだ、お茶を飲むのは。 毎朝の身も心も手繰り寄せる営み。

害も知っているベランダの蛍たち

「酒・煙草は放射性物質以上の害」という言説が闊歩する。 前者は嗜好品としての害、後者は国境線も越えていく強いられた害。 緩慢な中毒と、明確な生命への損傷を同一地平で論じるとは――。 さてもさて、一服。

洗顔物語・1/娘と・62

いつもより遅く目覚めた娘は、慌てて布団から飛び出す。 目をこすりつつ、まず金魚に餌を。 あれこれ手早く済ませ、歯を磨き始めたとき、突然、大声を出した。 「やったあ!」 そうして、「今日から夏休みっ」。

ABC の歌2011

暑さに疲れ、座席で眠り、ゆれる会社員A。 その横、嫌悪感を示す神経質な会社員はBだ。 向かい合って座す会社員Cは微笑む。 「おれはAだな」と思う会社員Dとして、Aが目覚めたことを確認、やはり安堵する。

歩き続けて・3/家族と・2

里山の幅30cm程度の道を歩く。 先行く人が踏み締めて道を作ってくれたことに、想いは跳ぶ。 歌いつつも1歩いっぽ、足もとを確かめる。 歩くことが、繋がってゆく生の悦びとなり、笑みが体内からジワリと浮かぶ。

川を歩く・2/家族と・1

川へゆっくりと入ってゆく。 冷たさが全身を走るものの、気にせず、のんびりと歩き始める。 太陽の方角、川上へ向かい歩き続けた。 汗をかいているが涼しい、清々しいが熱を帯びている――。 夏だ、夏の悦びだ。

トテチテタ・2/娘と・61

娘が突然、「お父さん、お金あるの?」。 驚き、「普通はないものなんだよ」と間抜けな返答を。 すると、「本当?」と首が斜めに。 そうして、「普通、辞書に載っているか、調べるね」と明るい声が残ってしまう。

あらさっと/都市サバイバル・ノート180

嫌なことでも、好きな人となら、つい楽しめる場合も。 自分探しという幻想、そのしみったれ具合には反吐が出る。 しらふの素っ裸で、行方不明になりたいほどさ。 抱きしめたいのは、人と人とで通わす生への想い。

後々、何十年もかけて謝罪文を書くのか

通勤電車で新聞をひろげる都市労働者はめっきり減少を。 一方、取り締まる側さえ大手メディアに驚いていると聴く。 各地の抗議行動を、ほぼ報道しないからだ。 真実なんぞ求めない、事実を、ただ事実を開示せよ。

咲き続ける/野の花チャイルド・9

不思議だ、花は美しい上に言葉を発しないとは──。 法律や宗教、状況や時代には疎遠だが、至極まっとうに暮らす人々を想起する。 いとも簡単に折ることができる、花。 にも関わらず、色彩を躍らせて咲いている。

黒船、まだか?/トテチテタ・1

お利口さん、勝手に躓け。 アニキは南へも向かったそうだ、奥方が大あくびの最中にも。 そうして、黒船来襲頼みか。 土星と火薬、水仙を合体させて理解不能に陥ったかのような、とぼけ倒す国には毎度お似合いか。

逢いたくて逢いたくて2011/ラブソング・28

あなたが生き延びられなければ、誰もが生きる気力をなくす――。 そう思わせる、低くて広く繊細な場所で、包括的な生き方を選んだ人々もいた。 出逢える力があるうちに、出逢いたい。 いや、今すぐ、逢いたいよ。

麦茶をもう一杯

長く教育を受けて、お金にも恵まれてきた人々。 とはいえ、君子にはなれぬとは状況が証明中だ。 咬んだ後、食べるならまだしも、平然と生体実験をしているかのよう。 目の前のどぶ川も、人々の体内を流れている。

暗い日曜日2011

自らのナイーブさを単に表明しているに過ぎぬ批判。 せめて批評の困難さを通過すればいいのに。 暗い記憶は整理するより、掘り続けるしかない。 ただただ、暮らしてゆきたい日々。 罰はいらぬ、罪もまた。

唄を始める/ラブソング・27

流浪の民となるしかないのか。 そうだ、人と揃わなくていいが、きれいな想いを描こうと歌い始めよう。 美しくなくとも、いずれハーモニーとなるはずだ。 でなければ、ここは消える。 今宵の聴き手は、月と星々。

豹は走る

今、地球上で豹が走った、しなやかに速く。 豹は、走ることができなくなった姿について、悩みはしない。 寂しくなるだけの明日は、想像しないかのよう。 ただただ疾駆と跳躍の日々。 柔らかく強い今、豹は走る。

手を振り、大きな声で、「バイバ〜イ」/娘と・60

お前に友だちがいて嬉しい。 大きな夕陽が見事に落ち、もう帰る時間だね。 ただ、約束すればいい、「また明日」と。 仲良くなるとは生命を愛すること、手放さないようにしようか。 身心に溶け込ませておくんだ。

風は運ぶ/都市サバイバル・ノート179

ガタンゴトン・ガタゴトンと、風が列車の走る音を届けてくる深夜。 故郷はないが、望郷の念がわく。 「風は多くのもの・ことを運んでくるなあ」 トテチテタ・トテチタテ。 グラスを置いて、身心の弦を張り直す。

今日を生きよう2011・3/娘と・59

暮らしを左右する感情について学ぶこと。 支配されるだけではなく、見つめるものでもあると。 慌てて走らず歩くこと、友と食卓を囲むこと、暮らしが微笑になっていくこと。 今日も大切なことをつかんでいくのだ。

吉祥寺へ行こう

街へ行こう、わたしもたまには。 量ではなく質、善悪ではなくサービス、何より切実な歩行者を求め。 手中に収まらぬ爆発が怖いから。 動物が火を恐れるが如し。 街へ行こう、憤怒を散らし、ひと呼吸つけるのだ。

さてと/些事の日々・7

器が大きい嘘? 冗談、言うなってばさ。 笑い終えたとき訪れるものが、空虚か、充足かで関係も分かるもの。 正当な差別? あるわけないよ。 負の感情はときに鮮烈だが、今はいらない。 仕事だ、仕事、今日の。

蠢く/些事の日々・6

言葉だけに頼り過ぎる精神の荒廃。 誰の中にも眠る病を叩き起こしてしまい、自ら感染することはない。 「こうした時節に、それでも夏はまた、来たんだな…」 たとえ落ち込んでいても、生命も蠢く、蠢いているよ。