2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
一般化の落とし穴に、土を盛る日々。 内なる子どもが、「成長なんて嘘さ」と呟く。 そうして、「強さもまた」と重ねる。 そこで問う、「そこに止まるため、強く成長すべき場面だとしたら?」。 魂が立ち止まる。
自らを含め、心をたやすく台なしにしようとする人々。 拡がり続ける傷痕を残すだろうに。 飢餓の結果、人を殺めて、肉を喰らうならまだしも? 手足が麻痺しても、法悦と化すダンスが可能であることは、忘れまい。
唄に美醜や新旧、明暗はついに関係ない。 無論、上手下手も。 戦意高揚は御免だが、要は感じるか否か。 お前の唄はお前が歌うに限るが、今日、共に歌う者と出逢えるかな。 唄がまず、自分の耳に届くといいね。
初対面の爺さんと婆さんが挨拶を交わす。 恋人たちは屈託を溶かし合い、夫婦が互いに滲むころ、子どもたちは肝試しに夢中だ。 和太鼓の音が空へ向かい、腹を打つ。 祭の夜の暗闇は、身心に明るさを灯していくよ。
祭の晩、1人の男を見つめていた。 目立つわけでもなく、静かなだけでもない中年男。 呑みっぷりのよさに思わず見惚れたのだ。 夜が急激に深まる。 男は素早く立ち上がり、手際よく机や椅子を片付け始めていた。
鳥たちは、一斉に飛び立つ。 決してぶつかることなく。 どのような擬音も想起させぬほど、鮮やかに。 声が聴こえた。 「ねえ、どうして、今のあなた方のようになってしまったの?」 亡き生命たちと、重なる声。
別れ際のこと。 チンドン屋に、子どもたちはいつもまでもいつまでも手を振っていた。 「今・ここは悪意と地続きだが、跳ねる音楽とも繋がっているさ」 シャボン玉は空へ、運がよければ遠くまで。 落涙の印の如く。
1人、2人と、ステージへ向かう。 音楽家たちは馴染みの楽器を手にする。 会場の熱は一気に上昇、拡がってゆく。 ついに奏でられるまでの、ごくわずかの時間。 そのときすでに、音楽は鳴り響いているのだった。
目が覚める。 調子を確かめようと、身体のあちこちを叩く。 ゆっくりと起き上がり、窓を開け放つ。 屋外を眺めつつ歯を磨き、緩い体操も。 それからだ、お茶を飲むのは。 毎朝の身も心も手繰り寄せる営み。
「酒・煙草は放射性物質以上の害」という言説が闊歩する。 前者は嗜好品としての害、後者は国境線も越えていく強いられた害。 緩慢な中毒と、明確な生命への損傷を同一地平で論じるとは――。 さてもさて、一服。
いつもより遅く目覚めた娘は、慌てて布団から飛び出す。 目をこすりつつ、まず金魚に餌を。 あれこれ手早く済ませ、歯を磨き始めたとき、突然、大声を出した。 「やったあ!」 そうして、「今日から夏休みっ」。
暑さに疲れ、座席で眠り、ゆれる会社員A。 その横、嫌悪感を示す神経質な会社員はBだ。 向かい合って座す会社員Cは微笑む。 「おれはAだな」と思う会社員Dとして、Aが目覚めたことを確認、やはり安堵する。
里山の幅30cm程度の道を歩く。 先行く人が踏み締めて道を作ってくれたことに、想いは跳ぶ。 歌いつつも1歩いっぽ、足もとを確かめる。 歩くことが、繋がってゆく生の悦びとなり、笑みが体内からジワリと浮かぶ。
川へゆっくりと入ってゆく。 冷たさが全身を走るものの、気にせず、のんびりと歩き始める。 太陽の方角、川上へ向かい歩き続けた。 汗をかいているが涼しい、清々しいが熱を帯びている――。 夏だ、夏の悦びだ。
娘が突然、「お父さん、お金あるの?」。 驚き、「普通はないものなんだよ」と間抜けな返答を。 すると、「本当?」と首が斜めに。 そうして、「普通、辞書に載っているか、調べるね」と明るい声が残ってしまう。
嫌なことでも、好きな人となら、つい楽しめる場合も。 自分探しという幻想、そのしみったれ具合には反吐が出る。 しらふの素っ裸で、行方不明になりたいほどさ。 抱きしめたいのは、人と人とで通わす生への想い。
通勤電車で新聞をひろげる都市労働者はめっきり減少を。 一方、取り締まる側さえ大手メディアに驚いていると聴く。 各地の抗議行動を、ほぼ報道しないからだ。 真実なんぞ求めない、事実を、ただ事実を開示せよ。
不思議だ、花は美しい上に言葉を発しないとは──。 法律や宗教、状況や時代には疎遠だが、至極まっとうに暮らす人々を想起する。 いとも簡単に折ることができる、花。 にも関わらず、色彩を躍らせて咲いている。
お利口さん、勝手に躓け。 アニキは南へも向かったそうだ、奥方が大あくびの最中にも。 そうして、黒船来襲頼みか。 土星と火薬、水仙を合体させて理解不能に陥ったかのような、とぼけ倒す国には毎度お似合いか。
あなたが生き延びられなければ、誰もが生きる気力をなくす――。 そう思わせる、低くて広く繊細な場所で、包括的な生き方を選んだ人々もいた。 出逢える力があるうちに、出逢いたい。 いや、今すぐ、逢いたいよ。
長く教育を受けて、お金にも恵まれてきた人々。 とはいえ、君子にはなれぬとは状況が証明中だ。 咬んだ後、食べるならまだしも、平然と生体実験をしているかのよう。 目の前のどぶ川も、人々の体内を流れている。
自らのナイーブさを単に表明しているに過ぎぬ批判。 せめて批評の困難さを通過すればいいのに。 暗い記憶は整理するより、掘り続けるしかない。 ただただ、暮らしてゆきたい日々。 罰はいらぬ、罪もまた。
流浪の民となるしかないのか。 そうだ、人と揃わなくていいが、きれいな想いを描こうと歌い始めよう。 美しくなくとも、いずれハーモニーとなるはずだ。 でなければ、ここは消える。 今宵の聴き手は、月と星々。
今、地球上で豹が走った、しなやかに速く。 豹は、走ることができなくなった姿について、悩みはしない。 寂しくなるだけの明日は、想像しないかのよう。 ただただ疾駆と跳躍の日々。 柔らかく強い今、豹は走る。
お前に友だちがいて嬉しい。 大きな夕陽が見事に落ち、もう帰る時間だね。 ただ、約束すればいい、「また明日」と。 仲良くなるとは生命を愛すること、手放さないようにしようか。 身心に溶け込ませておくんだ。
ガタンゴトン・ガタゴトンと、風が列車の走る音を届けてくる深夜。 故郷はないが、望郷の念がわく。 「風は多くのもの・ことを運んでくるなあ」 トテチテタ・トテチタテ。 グラスを置いて、身心の弦を張り直す。
暮らしを左右する感情について学ぶこと。 支配されるだけではなく、見つめるものでもあると。 慌てて走らず歩くこと、友と食卓を囲むこと、暮らしが微笑になっていくこと。 今日も大切なことをつかんでいくのだ。
街へ行こう、わたしもたまには。 量ではなく質、善悪ではなくサービス、何より切実な歩行者を求め。 手中に収まらぬ爆発が怖いから。 動物が火を恐れるが如し。 街へ行こう、憤怒を散らし、ひと呼吸つけるのだ。
器が大きい嘘? 冗談、言うなってばさ。 笑い終えたとき訪れるものが、空虚か、充足かで関係も分かるもの。 正当な差別? あるわけないよ。 負の感情はときに鮮烈だが、今はいらない。 仕事だ、仕事、今日の。
言葉だけに頼り過ぎる精神の荒廃。 誰の中にも眠る病を叩き起こしてしまい、自ら感染することはない。 「こうした時節に、それでも夏はまた、来たんだな…」 たとえ落ち込んでいても、生命も蠢く、蠢いているよ。