深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

目の前には食事/還暦百番勝負・84

齢を重ねても未熟と痛感する日々だ。 途方に暮れること自体に苦笑してしまう。 柄にもなく、何故生まれて来たのかと。 目の前に食事があれば食べるが如く暮らしてきた。 食べられなくなれば、「了」と想いつつ。

夜の広場で/月下の貧乏人・26

夜の広場に立つ。 雲はなく、星々は輝き、月がグルリを淡く広範囲に照らし出す。 安らぎに似た感情が内臓からやって来る。 孤立していても、距離が見定められていれば問題なし。 宇宙が視えているじゃあないか。

「あぢ〜っ」となる前の日々に/身体から・86

夜の肌寒さはまだ続く? 逝ってしまう日々なる極寒。 束の間の夏の、内臓さえ暑い一瞬をふと乞う。 朝には温かいスープ、夜にはアルコールで、身体を内側からさすっていく。 まだ、いや、いつも希求する熱の束。

本を暮らす/還暦百番勝負・83

1冊の本とつき合うが如く1日を過ごしてみる。 目次を作る要領で、流れを読む。 本文としての暮らしは丁寧に。 奥付を記すように、今日を確かなものとする。 最後には、タイトルを書き直し、今日を閉じるのだ。

看護師として/彼女・9

静かな語り口で、歩み出す言葉を記してきた。 長時間、高齢者や病人、障がい者の話を聴き、道標を共に描いていく。 彼女は言う。 「効率を追いかけないほうが結果的に効率的」 そうして、悪戯っ子の如く微笑む。

意味付与の空しさ/山へ・8

高い場所に立つと眺望がよくなる。 山での話だ。 人生の比喩として語ることには違和感を覚える。 むしろ、低い場所にいると高い場所がよく視えるものなのだ。 これは山にも一脈通じるエピソードでもあるのだが。

この場所で今/言葉・73

この場所で、いくつの言葉を記してきたのだろう。 立ち上がるため、積み重ねてきた? どうだろうか。 むしろ、たえずゼロへ向かって言葉を打ち込んできたのだ。 毎日まいにちスタートラインに立とうとして――。

高齢者まみれ/この領土で・332

超を冠した高齢社会を迎えた。 となれば、元気で健康な在り様が本来の姿といった視点では、つかみ切れない。 要支援・要介護こそ、本態ではないのかと――。 いや、今の社会ではなくとも。 病気で何が悪いのか。

縁側で逢おう/ラブソング・64

あなたの中の子どもと出逢い直したい。 そのとき、わたしの中の子どもは目覚めてくれるだろうか? 必要ないさ、2人という関係の子どもが芽生えるから。 関係の縁側で脚をぶらつかせよう。 笑い出すわたしたち。

夕陽赤く2014/言葉・72

机上に置かれたペットボトル。 蓋を開け、コップへと注ぐ。 一口、二口と飲み、特に思い浮かぶこともなく、椅子に腰掛け直す。 窓の外には、すでに夕陽。 「あっ、詩だ」と体感、ゆっくりと読みたくなっていた。

「やだなあ」/この領土で・331

問題を解決しようとしない? 致命的なことに、問題として認識していないときさえ。 格差社会、要は階級社会が進めば、戦争という名の公共事業を担う軍隊へと進むばかりだ。 その証明はしたくない。 断固として。

欲しかったこと/この領土で・330

スパイはスパイ映画を視ない。 同様に、いや、それ以上に為政者は民の声を聴かない? 窓を開ければ、陽射しがカーテンの裾をくすぐり始める。 そうだ、そうした関係が欲しかった? 涼風も参加すればいいのだが。

死の淵より2014/言葉・71

死の床でさえ、言葉の嘘で、つながることができる。 問題は流儀。 作るより受信、加工するより耕すのだ。 素早く、性急な判断を廃し、甘い幻想から身を剥がして行く。 おもてなしではなく、「恩返しだよな」と。

もはや、むき出しな死に/還暦百番勝負・82

いつ、どこで、どのように伝えること? 死そのものではなく、過程としての死を。 共に暮らしていけば伝わる領域はある。 もうすでに、愉しみや悦び、希望があっても構わない。 言葉を最後まで手放さないだけだ。

思わず/合掌・44

毎朝のことだ。 仏壇へ向かい、頭を軽く下げる人。 手のひらを合わせ、わずかの静かなしずかなときが流れていく。 一瞬、昔に移動したかのような、いや、未来にたどり着いたかのような。 祈る人に向かって祈る。

野良な猫や家族/この領土で・329

野良猫がいない街は息苦しい。 人々が憩う緑地の背景の高層ビルという資本の論理。 ホームレスになって当然の事態――。 が、その姿は消されていくのみ。 わたしたち、いや、わたしの居場所が消失していくのだ。

待っている/言葉・70

日記を公開するなら方法が必要だ、手紙としての。 手紙を閉じるなら決意が必要だ、日記に秘密を記すが如く。 誰が何と言おうと、伝えるべきは伝える。 伝えざるを得ないことも、また。 言葉は静かに待っている。

情報社会の渦中で、束の間の身心運動/都市サバイバル・ノート249

鍬を久しぶりに手にした。 土で育つ生命を食卓へ迎え入れるために。 今や青空はもちろん、雨降りもまた切なる願いの対象だ。 汗する労働と向き合う人々は、もはや存在感がない? が、身近に思う日々なのだった。

別れの言葉/言葉・69

死ぬときだって元気、元の気が必要なのだろう。 何処かへ旅立つのだから。 息を引き取るまで、耳奥に届くものがあるからといって、励まさないで欲しい。 気が散って仕方ないもの。 抱きしめる別れの言葉こそを。

超高齢社会という野戦病院にて/この領土で・328

今も厚い靴下を履く杖が頼りの人々。 若く元気な医師に理解できぬ領域があって当然だ。 ただ、それ故、多くの患者たちを捌くことができる? 老化同様、超高齢社会に特効薬はない。 であるが故の人間という存在。

今も、今のチーム/都市サバイバル・ノート248

関係で大切なものは、何? まず、意味不明の緊張は緩ませること。 そうして、ほぐすのだ。 いつか気づくかも知れない、お互いが衒いなく、つながっていたと。 その場その時々の開かれたチームというヴィジョン。

小声で/還暦百番勝負・81

60年以上生きてきて、分かったこともある。 至極納得のいくことなのだ。 どのようなことか? 権力の否定は当然として、どう身体化していくのかが、たえず問われているのだと。 無論、大声で言うことではない。

臭う卵が脳内に/この領土で・327

いつからか。 「こういう人であふれて欲しい」と思わなくなったのは。 思えなくなったのは。 理性ではなく、感受性に忍び込み、美しくも恐ろしい卵を産み付けていく策略が増えた? 効率ばかりだと非効率なのに。

浅いニュース/この領土で・326

悲しみに浅い深いがあるのか。 拡がっていくばかりの中で。 そも、相対的なものではないだろう。 ニュースは伝えてくる、「ご遺族は深い悲しみの中で――」。 それはそうだが、釈然としないまま、実は呆れている。

夜の中へ、または時計を止めて2014/野営生活覚書・6

野営地にたどり着く。 木々を拾い集め点火を。 後はただ、火のダンスを眺めて杯を重ねるばかり。 いつしか、皆、押し黙っているが、互いの気持ちは通じ合っている。 身心豊かな時間、止まったときが流れていく。

自転車にのって2014/些事の日々・82

自転車でのんびりフラフラと。 すると、走る青年たちが、突然横に。 いとも簡単に追い抜かれ、その姿はどんどん遠くへと。 何やら愉快・痛快な気分に。 ペダルを漕ぐスピードは同じまま、鼻唄まで出て来る始末。

ゴールデンな/月下の貧乏人・25

「休めるの?」 「暦通りさ」 そうした会話を幾度してきたことだろう。 労働が休日に概ね食い込むが、それでも自然の懐へどんどんと入り込んでいく。 かくしてカレンダーは、月を眺める暦となっていくのだった。

楽はどこ?/些事の日々・81

介護は当事者ではなく、家族の問題? 施設でひどいことがあっても、文句は言えない、言わない。 だから、声は聞こえず、改善もされない? 働く人も、家族も、何より当事者も懸命に待っているのだ。 今日の楽を。

「マジっすかあ?」/些事の日々・80

生計が立つ? 座りっぱなしさ、そのくせ楽ではない。 市民と呑むのは大変だ、ビールから始めるのだもの。 アル中予備軍とやるのは気楽でいい、財布にも、何より身心にも。 ちんちくりん、ああっ、ちんちくりん。

神様お願い2014/この領土で・325

仮設住宅から静かな声が届く。 生活者の絶望を隠蔽するほど酷い国家もないだろう。 かの国を冷笑して済む場合ではない。 遠慮がちの呪いさえ届かせないような神。 すでにして神こそが呪われてしまっているのだ。