深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

通じないと踏んでいる/言葉・257

記録は永遠に残らない。
夢中になって呼んだ本も、版元が潰れればアウト?
そも、放射性物質が安全になるとも言われる何万年後。
そのとき、今の言葉が通じるのかどうか。
日本の古典でさえ、学びの対象だもの。

▲『ベンチ』(写真)
座ろうと想った。
「あっ」
暑いが、秋なのである。

www.youtube.com道元について/今日も少しだけ】
 近隣の大学へ。
 今回の無料の公開講座は、『哲学者たちによる道元の発見と誤解』。
 目から、うろこ…。

 冒頭、「無限の中の1つの無限」という言葉を聴き、「すげえなあ」と。
 頭がクラクラした。

 いずれにせよ、講師・石井公成氏は、和辻哲郎氏にはじまり、田辺元氏、井筒俊彦氏等々の名だたる知識人の誤解を、笑わせながら、ぶった切っていくのだった。
 倉田百三氏など、「とんでもない奴」と。
 講師の略歴を調べると、1960年代末に高校生を送っていたことが分かった。

 要は、道元とは関係のない、自分の思想の表明でしかないと。
 例えば、ヴィトゲンシュタインデリダと関係付けた書籍もあるが、「まったく意味はない」と。
「新しい思想が出れば、また関連付けるのでしょう」
 つい、その手の本になびいてしまう自分に、苦笑いだったか^^。

 いくつか、記憶に残った言葉がある。
 覚書として紹介を。
道元は、「禅宗曹洞宗と言うな」と主張していた。
 釈尊そのものに復帰しようとしていたという。
道元は、漢字と平仮名を使ったのが画期的とも。
 坊さんは当時、漢字、もしくは漢字とカタカナを使っていた。
 いわば、道元語となっている。
国家主義に利用していた歴史的誤謬。
■東洋と言うが、東洋とは何か、単に西洋ではないことなのか。

 なお、石井公成氏は、『researchmap』というサイトで、道元に関する論文も公開している。
「100年の決着をつけた」という。
「スゲッ」

 どうか、今日も、ご無事で。

researchmap.jp


【追記/「さてっと」】
 いやあ、本来の学問のダイナミズムに、感服した次第だ。
「なんちゅうか、凄い」

 日暮れて道遠しというより、日暮れて四方暗しだが、俗流道元像とは違った姿が垣間見えたのである。
「発見の愉しさかな」

 佳き日々を。