深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

師走情景/彼・41

電車の中、彼は窓際にいた。
携帯を背広の内ポケットから取り出し、小さな声で名乗る。
そうして、窓の外へ亡羊と視線を放り、「そうですか」と。
明らかに肩が落ちていた。
駅に到着し、彼は茫然と下りていく。