完璧にアウトの精神状態ではなかった。
だからだ、唄を聴けたのは。
ストレスでダメなとき、唄どころではないものだ。
唄を聴いていくうちに、弾むものが湧き出てきていた。
何と無敵に感じられてきていたのだ。
【『赤目』をあらためて読んだ/今日も少しだけ】
白土三平氏。
亡くなってから、いくつかの作品を読んだ。
どれもみな、「ううむ」と。
友人が、『赤目』を、高校生時代に読んだ衝撃を知らせてきた。
探したが、手元にない。
そこで、図書館から借りてきた。
一読、「すげえなあ」と。
首が飛ぶ。
人はバラバラにされて突き刺さっている。
妊婦の腹はぶった切られる等々──。
解説を、鶴見俊輔氏が書いていた。
趣旨は、「大学からではなく、小学校から見せて、馴染ませる」。
今、視ると、多くの映像体験を積んでいるだけに、やはり牧歌的な領域もある。
が、やはり、たまげる描写も多い。
それを小学校からとは、鶴見氏も大胆である。
とにかく、殺人はもとより、強姦より強烈なことが描かれているのだから。
性がすでにして、臭ってもいるのだった。
まあ、免疫がついていいのだろうか。
実際、わたしたちは読んで、びっくらしたのだ。
ちなみに、白土氏の作品は、集団が主人公という点も、かつてないことだったか。
「すげえなあ」
どうか、今日も、ご無事で。
【追記/「すげえなあ」】
『赤目』では、感染症を意図的に引き起こし、それまで勝てなかった領主に立ち向かっていくのだったが。
コロナ禍、ふと想像することもあるのだった。
佳き日々を。