深呼吸する言葉・ワナタベジンジンタロウ

おっさん中退・ジジイ見習い

山彦/彼女・6

遠くから、祝福の唄が流れて来た。
ためらいがちの、か細くて小さな声。
聴こえていたものの、多くは聴いてはいなかった。
彼女は、ふと我に返るかのように耳を預ける。
そうして、木霊のように口ずさみ始めた。