親愛の情を交わす時間。
たとえ少人数であれ、テーブルを囲み。
ささやかだが手作りの料理に舌鼓を打ち、思わず感嘆してしまう美酒。
申し分ないときが漂っていく。
それだけでもう、何も入らない今宵この夜へ。
【彼を視る/今日も少しだけ】
電車から下りて、歩いていた。
目の前には、いつも逢う、老い始めた男。
通勤で、同じ路線を使っていた。
いつのころからか、気になりだしていたのである。
「どの駅から乗ってくるのだろう」
東京・杉並を住居としていることは、分かった^^。
わたしは始発駅を利用しているため、座っている。
彼は、立ちっ放し。
仮に、座席が空いたとしても。
通常なら快速を利用してもいい路線だが、彼も、わたしも鈍行だ。
彼は立ち続けている。
本を読んだり、スマホを覗いたりはしない。
ただ、立ち続けている。
目的の駅に着く。
彼は、ルールやマナー、エチケットを守り、階段を姿勢よく、落ち着いて、静かに下りて行く。
そうして、乗り換えの電車を待つ。
わたしは、階段を、さらに下りて行く。
「ああ、今日も彼と逢えたな」と。
【追記/「さてっと」】
普段、テレビは視ない。
ただ、今、視ている。
『エルピス』だ。
評判を読んだからである。
「すべてを公然とせよ」
昔の言葉を想った。
佳き今日を。