一緒にいる。
が、しかし、別々な存在だ。
だからこそ、一緒にいられるのではと。
もし同じだとしたら、逆に気持ちが悪いのではないか。
山道をともに歩いていても、まったく同じ道を歩いているわけではない。
【「元気でな」/今日も少しだけ】
朝。
通勤電車で座っていた。
隣に座した青年のひじが当たる。
「おいおい」
視れば、パソコンに向かっていたのだった。
「何だかなあ」
注意をしようかと。
が、しないでおいた。
賃労働に追いかけられていることが、明々白々だったのである。
新宿駅に到着する少し前のことだ。
どこぞにデータを送付できたようである。
静かにパソコンを閉じていた。
駅に着く。
プラットホームは、コロナ禍なのに混んでいた。
彼は、パソコンを鞄にしまい終え、人々の中へ。
振り返り、視線が合う。
特に何もない。
が、振り返ったこと自体がすでにして、挨拶のようなものなのだろう。
わたしは、すぐに下を向いて、マンガ『ブルージャイアント』を読むのだった。
どうか、今日も、ご無事で。
【追記/「さてっと」】
年末か。
今年も、やけくそか。
賀状である。
始めなければならないのだったが。
佳き日々を。